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http://espio.air-nifty.com/espio/2007/04/post_90a6.html
からの転載です
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意外に思うかもしれないが、声を掛けられたので先日、「チャンネル桜」の討論番組に出演した。
http://www.ch-sakura.jp/programs/program-info.html?id=1433
「率直に言って、南京事件と慰安婦問題は負け筋だと思う」などと筆者は冒頭発言した。
その意味を簡単に言うと、ディテールをいかに懸命に否定・反論しても、かえってそのことが、全体として否定・反論できない事実を浮き彫りにする結果になってしまい、まさに相手の心理工作の術中にはまってしまうからである。
討論は刺激的で勉強になったが、情報活動そのものに焦点を当てるという当初の企画からは若干話題がずれたのではないかと思う。
筆者はもう少し細かい話が議論になるのかと思っていた。
たとえば、例のマイク・ホンダ氏のケースなどである。
http://komoriy.iza.ne.jp/blog/day/20070315/
結論から先に言うと、確たる根拠は何もないが、やはり心理工作の臭いは感じる。
http://www.asianweek.com/2001_08_03/news_honda.html
しかし、産経新聞や読売新聞が強調するほど、明確な証拠があるかと言えば、それも疑問に感じなくもない。
重箱の隅を楊枝でほじくるようなことを書くと、そもそもCRP(Center for Responsive Politics)
のRは「Responsive」であって、「Responsible」ではない。英和辞典でも英英辞典でも、responsiveに「責任がある」という意味を直接見出すことはできない。
しいて訳せば、「即応政治センター」とでもいうことになろう(献金状況を調べれば、ネット上で簡単に答えが返ってくるという意味でresponsiveなのか、そういう有権者の行動に政治家はresponsiveであらざるを得ないということなのか意味は分らない)。
不思議なのは、古森氏ほど駐米経験の長いベテラン記者がこういうミスに気付かない点。古森氏クラスともなれば、細かな言葉の意味の違いに注意を配らないはずがない。CRPに直接取材すれば、電話にせよ、対面にせよ、先方から間違いの指摘があるはずだから、その点でも不思議である。
さらに不可解なのは、そのまま誰のチェックも経ずに産経の紙面に記事が掲載されている点。
それは言葉尻の問題に過ぎないとしても(もっとも、この記事が中国の宣伝工作に対する逆宣伝を意図して掲載されているのだとしたら、ごく基本的な事実すら踏まえていない不注意な印象を与えるのでマイナスである)、この記事を読む限り、「団体献金」の実態がよく分らないという点である。
2005年から2006年を例に取ると、記事で言う個人献金の割合は全体の52.8%である。
http://www.opensecrets.org/politicians/summary.asp?CID=N00012611&cycle=2006
46.4%はPAC献金。
http://usembassy.state.gov/posts/ja3/wwwh3cpn.html
これは「事実上の団体献金」に当たるものだそうである。
http://www.office-spc.com/backnumber/data00/0471.html
PAC献金の内訳(breakdown)は、上のCRPページの二番目の円グラフの欄にも記載されている。
http://www.opensecrets.org/pacs/memberprofile.asp?CID=N00012611&Cycle=2006
すなわち、「イデオロギー上ないし単一の課題」に関するPAC献金額は、PAC総額の3.7%、すなわち、献金総額の1.7%程度になってしまう。
ホンダ氏は広範な人権問題を扱っているらしいので、実際に中国関連のPAC献金はさらにその一部ということになろう。
産経新聞がこの点に触れていない事情はよく分らないが、十分な取材はできなかったか、取材はしたものの、記事の論旨にはむしろマイナスの材料が見つかったのかもしれない。
個人献金者のリストも、CRPで確認できる。
たしかに記事が指摘するとおり、中国系の献金者が目立つが、明らかに日系の献金者も散見される。
「中国系」の如何は、どうも名前をもとに判断しているようだが、これではその献金者が大陸系なのか台湾系なのかもよく分らない。
中国系の個人献金額にしても、献金総額にしても、突出して高いとまで言えるかどうか、若干微妙である。
もっとも、それはある意味、当たり前の話であって、そんなに露骨では宣伝工作の効果が薄れてしまうからである。
だから、このケースが仮に中華人民共和国の心理工作だとしたら、いわゆる「灰色宣伝」に該当するということになるのだろう。
日本政府その他は、灰色宣伝や黒色宣伝に対して、白色宣伝で対抗しようとしているのであって、それは恐らく先方の思惑通りの展開なのである。
そして、この件は(仮に宣伝工作だとしたら)、結果的に絶大な効果を上げた。
というのも、中・韓のみならず、米国の主要なメディアが激烈な対日批判を展開したからである。
5.いずれにしても、公安調査庁は、CRPのサイトを見れば簡単にチェックできることすら調べていなかったに違いない。
2007.04.20