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2007/04/02
内弁慶陸自にネパール失笑
谷川昌幸(C)
1.陸自派遣の国民責任
3月31日の陸自カトマンズ到着と入れ替えに,逃れるようにネパールを離れた。とうとう大切な何物かを失ってしまった,という深い絶望感を抱きながら・・・・。
日本人はネパールに対し,もはやこれまでのように,無辜・無実(innocent)ではありえない。軍人を送り込み原罪を犯した国の国民として行動せざるを得ない。ネパールの人々の前では,日本国軍人をネパールに送り込んだのは他の誰でもない私自身であり,責任は私自身としてとらねばならない。それが民主主義というものだ。
2.陸自到着への失笑
陸自のカトマンズ到着の様子は見ていない。日本ではかなり詳しく報道されたのではないだろうか。カトマンズポスト(4/1)は,その様子をあざ笑うかのように,嘲笑するかのように,こう伝えた。
――国連停戦監視要員到着など,これまでネパールではほとんど注目されなかった。ところが,3月31日の日本陸上自衛軍(SDF)6人の到着は別だ。記者の大群(horde)がくっついてきたのだ。日本から9人,ニューデリーから4人,バンコクから1人。ネパールメディアも大量のレポーターを出していた。びっくりした空港係員が,明日(スウェーデンから2名,ザンビアから8名到着予定)もこんなに取材陣が来るのかと聞くと,「まさか!」と一蹴された。この大量の取材陣に対し,日本のIshibashi中佐(Lt.Col)は日本語で日本のテレビ取材陣とだけ話しをした。ネパール人記者にはチンプンカンプン。仕方なくカトマンズポストは日本大使館員のコメントを得ようとしたが,説明役の大使館員は見あたらなかった。(Kathamndu Post, April 1,2007)
記事を書いたT.ポカレル記者は,明らかに日本側の対応をバカにしている。はるばるネパールくんだりまで来たくせに,陸自派遣について,金魚の糞のように,メダカ学校のメダカのように尻にくっつき群れている日本人記者だけのために,日本語で説明して何になるのか。ネパール平和構築のために来たというのであれば,ましてや初めて軍人を送り込むというのであれば,派遣団長か大使館員が当の派遣先のネパール人記者(=ネパールの人々)のために派遣目的をちゃんと説明すべきではないか。礼儀知らずの無礼者! 記事からポカレル記者の心中を察すると,おそらくこんなものだったのではないだろうか。もしそうだとすると,このポカレル記者の怒り,失笑,嘲笑はよく理解できる。
3.あまりに内向き,島国的!
軍人を送り込みながら,その意図を派遣先人民に説明しようともしない日本政府! 大使館員は総辞職ものだ。少なくともネパールの代表的英字紙カトマンズポスト記事からは,そう読みとれる。同紙だけではない。別の英字紙ヒマラヤンタイムズ(4/1)も,団長と駐ネ大使のいる到着写真は大きく掲載しているが,写真キャプションだけで,解説記事は一行もない。書きたくてもチンプンカンプン日本語だけでは,何もかけなかったのだ!
何たる失態! ネパールの人々は日本軍人のネパール初進出(あるいは侵略)を目にしているのだ。なぜ,ちゃんと説明しないのだ。何たる鈍感。外交音痴。日本に外交はあるのか!
内向きな,あまりにも内向きな! 島国根性丸出し。大使館も派遣陸自隊長も東京の本庁を向いている。内弁慶! 内弁慶は外に出るな!
4.見透かされた派遣意図
自衛隊派遣が日本国益(常任理入りなど)のためであることは,ネパール人にはもはや自明のことだ。私自身,短期間であったが,ネパールの政党関係者や国会議員,知識人,ジャーナリスト等々に繰り返し説明してきたし,マオイスト旅団長にもちゃんと説明しておいた。
私が説明するまでもなく,陸自隊員6名など,ネパール側はバカにしている。要するにお客さんだ。日本人観光客と同じく,お金を落としてさえくれれば,あとは余計なことはするな,ということ。
ネパールは,経済開発は遅れているが,政治交渉術には長けており,とうてい内向き日本大使館,派遣陸自隊員には太刀打ちできない。ネパールは,政治文化大国であり,後進国などと高圧的な態度で臨むと痛い目にあう。
陸自隊員に出来ることは,最大限カネを落とすことと,兵器保管庫のモニター画面を見ることぐらい。モニター画面監視は東京でも出来るのだから,カネだけ残し,隊員自身は一刻も早く撤退されることをお勧めする。ネパール政治文化の泥沼に引きずり込まれる前に!
(了)
ネパール評論 2007/04/02
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