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http://www.amnesty.or.jp/modules/news/article.php?storyid=267
アムネスティ・インターナショナルの最新報告によれば、中国の経済成長の原動力である数百万の移住労働者は都市の下層階級として扱われている。最近の改革の中にあっても、彼らは医療制度と公教育を受けられず、ひどい過密状況に暮らし、常に搾取的労働状況にさらされている。
「中国のいわゆる奇跡的な経済発展は悲惨な人的代償により成り立っている−都市部の地方からの出稼ぎ労働者は職場で最悪の扱いを受けている」とキャサリン・バーバーアジア・太平洋副部長は語る。「彼らは長時間残業を強要され、病気でも休暇を拒否されることが多く、微々たる賃金で危険な職場環境の下で働かされている。」
「雇用主による搾取と同時に、移民の家族は日常のあらゆる面で差別的な政府規制に直面している。都市住民であれば利用可能な住宅手当と健康保険を拒否され、子どもたちは事実上、公教育制度を受けられずにいる。」
働き口を求めて中国の都市に移動した出稼ぎ労働者は150万から200万人に及び、その数はさらに増加することが予想される。一部の都市では彼らは人口の大部分を占めている。
国内移住者は一時的居住者として戸籍登録制度(hukou)に、地元当局で登録することが義務付けられている。その非常に面倒な登録を終了した人びとも、彼らの一時的地位のために住居・教育・医療制度や雇用において差別を受けている。多くの人びとはその登録を完了できず、正規の地位がないまま滞在しており、警察・地主・雇用主や地元住民からの搾取に脆弱な状況にある。
「中央政府は出稼ぎ労働者の苦境改善にいくつかの措置をとっているが、最大の問題―社会的出自が基準となっている戸籍登録制度が差別を存続させていること―は根底に残ったままである」とバーバーは語る。「政府は戸籍登録制度を改革し、すでにある医療制度・より公平な雇用状況と無料の初等教育を保障する法律を執行するよう各省の当局に働きかけるべきである。」
経営者は様々な戦略を使って、労働者の辞職を阻害している。一般的に、国内移住者は未払い賃金があり、つまり仕事をやめれば2,3カ月分の給料を失うことになる。企業主は旧正月の前、給与支払いをわざと保留し、祭事期間の後、労働者が確実に仕事に戻るようにしている。何百人もの移住者がその祝日に故郷に帰るための列車の切符を買うことが出来ない。しばしば経営者は労働者の転職を防ぐ目的で手付金を違法に支払わせる。戸籍登録制度による不安定な地位のために、国内移住者は不平を訴えない傾向にある。
このような戦略で、増え続ける労働者不足に対し、経営者は賃金を上昇させずに対処することができている。これが、正常な市場状況下で、なぜ労働者不足に呼応して給与が上がらないのかという疑問に対する答えである。
21 歳のザンさん(女性)というある移住者は、北京郊外の衣料工場で働いていた。労働者は3カ月分の給与が支払われていなかったが、彼女らは損失を諦め、工場を去ることに決めた。しかし、工場内に閉じ込められ、外出には許可証が必要だった。ついに1人の労働者が門の鍵を盗み、彼らは一度に逃げたので見張りは捕まえることが出来なかった。ザンさんは「その時、私達は本当に満足した。実際に、4カ月分の給与を失った人たちもいた」と述べた。
数百万人の国内移住者の子どもたちも影響を受け、正規の教育を受けるために奮闘している。多くの地域で、両親の戸籍未登録、移住者への過度の課税や高額な授業料のために彼らは事実上公教育を受けることができずにいる。
「中国は無料の初等教育を提供してきたが、中央政府の努力にもかかわらず、省立学校は国内移住者には支払えない額の授業料を取っている」とバーバーは話す。「その数百万人の子どもたちは中国の未来である。したがって政府は彼らに教育を受けさせるべきである。」
報告書「中国の国内移住者:差別と不正―奇跡的経済の人的代償―」(英文)は以下のサイトでご覧になれます。http://web.amnesty.org/library/index/engasa170082007
2007年3月1日
AI Index: ASA 17/009/2007