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重油95万トン支援時に、日本は「拉致」に固執できるのか
「クニ滅びて軍備あり」を避けるため、軍事費を少子化と温暖化対策に
安住るり 2007-02-15 08:03
北京で開催されていた北朝鮮の非核化をめぐる「6カ国協議」が2月13日、難航を予想する声から一転、「合意文書」作成に至った。「非核化」への第1歩として北朝鮮はヨンビョンの核施設を「閉鎖」する。その「見返り」はとりあえず「重油5万トン」だ。
2月13日、6カ国協議閉幕式典前に手をつなぐ首席代表たち。左から、金桂冠外務次官(北朝鮮)、武大偉外務次官(中国)、ヒル国務次官補(北京で、ロイター) 安倍首相は幹事長時代から一貫して北朝鮮に対しては「圧力」重視の姿勢を貫いてきた。「核」問題よりも「拉致」問題を最優先課題とすることを内外に繰り返し表明してきた。しかし、ここには「長期外交戦略」がなかったと言わざるをえない。日本国内の情緒的な世論の動向に対応した情報戦術であった。これが行き詰まりを迎えることは、必然だったのだ。アメリカのネオコンの政策が間違っていたのと同様に。
「拉致問題に進展がない限り、北朝鮮への支援には応じられない」と、今のところ安倍首相も、麻生外相も言っている。しかし非核化の第2段階である重油95万トンの支援へと進んだときに、5カ国(米・中・露・韓・日)から、日本だけが抜けるということは事実上、不可能ではないか。米国からの協力要請が来たときに、安倍政権が逆らえるだろうか。
アジア外交はやっと、正しい方向を目指すレールに乗って、慎重ながら6カ国が同じ列車で進み始めた。北朝鮮敵視政策を「ブッシュのアメリカ」が放棄せざるをえなくなったのだ。この「意味」はとてつもなく大きい。必然的に、日本の北朝鮮政策も「大転換」を迫られている。安倍首相はそれを理解しているだろうか?
今の日本の軍備は、北朝鮮を「仮想敵」として組み立てられている。1989年までは「社会主義国ソビエト連邦」が日米安保の主たる「敵国」だった。しかし、それは消滅した。代わりに「共産党一党独裁国家・中国」が恐怖の対象とされた。
しかし今や、よほどの経済オンチでないかぎり、日本と中国は互いに最大の貿易相手であることを知っている。中国の「軍拡」に警戒はしても、それが実際、日本に向けて使用されることを現実問題として怖れる人はほとんどいないだろう。
それでも、日本に軍備が必要だという理由に「中国と台湾の対立」が挙げられていた。しかしこれも、10年も前から相互の経済関係は太い動脈で結ばれており、「独立」か「統一」かという問題をあえて決着させず、「現状維持」の線で落ち着かせる、というのが両者のホンネであった。
最近、決定的なことがあった。台湾の急進独立派政党・台湾団結連盟を事実上率い、台湾独立派のシンボルと見られていた李登輝・前総統が「独立を追及する必要はない」と地元誌のインタビューなどで語り、その旗を降ろしたのだ。
もう1つの根拠の「テロ戦争」という概念は、米国の盟友の英国も今や放棄しようとしている。「軍隊」で「テロ」を抑えることは不可能なばかりか、むしろ逆効果であることが世界で証明されつつある。
「日本の軍備」の「仮想敵」はどこに存在するのか?
2年半前に、記者は別のインターネット市民新聞に「MDなんぞに無駄金つことる場合やなかろ?」という記事を書いた(MD=ミサイル防衛)。轟々たる批判コメントが寄せられたが、事実上の財政破綻国家ニッポンが、限られた国家予算をどう使うべきかに私には自信があった。優先順位は冷徹に考えなければならない。
少子化対策、温暖化対策は、ただちに具体化して実行に移さなければ、やがてクニは滅び、地球はニンゲンに復讐する。「女性・子供にやさしく、地球にやさしい社会」への政策大転換のために、予算配分を大胆に変える必要がある。さもなければ、50年後の日本の姿は「クニ滅びて軍備あり」になってしまうだろう。
http://www.ohmynews.co.jp/News.aspx?news_id=000000005298