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中国経済の高度成長は後10年や20年は続くらしい(足下の株価は別問題だけれど)
27日の Japan Times。足下の中国株は過熱気味だとするブルームバーグの記事の下に「中国経済は長期的に無敵」とする中国人学者の経団連での講演を紹介している。どっちも説得力があるが、中国経済のマクロ分析のほうが特に裨益するところ多大。中国株への投資は10年20年で考えるべきだな。
この記事(ブルームバーグの記事はオンラインで読めないのでマクロ分析の方だけ):
China's growth outlook largely immune from outside turmoil | The Japan Times Online: "China is headed for continued growth of about 8 percent a year on average over the next 10 to 20 years -- backed by abundant domestic savings that support investments, and an almost unlimited supply of labor that will keep wage costs low, a Hong Kong-based scholar told a recent seminar in Tokyo."
要旨:
Lawrence J. Lau という香港の大学教授の経団連での講演。中国経済は今後10年から20年にわたって年率8%程度の成長が続く。国内貯蓄が投資を可能にする。無限に安い労働力が存在する。
この中国経済の高成長は外部要因からの影響をほとんど受けない。石油供給が止まったりなんかは別だが、中国経済の成長は輸出にほとんど依存していないからだ。
中国経済は設備投資主導である。その資金は国内で賄える。外部要因からの影響は受けない。
一人あたりのGDPはまだ1980ドル、まだまだ先進国水準である10000ドルにはまだまだ。最初に社会資本に投資をづることから成長が始まった。これは19世紀の米国や明治維新から第二次世界大戦までの日本と同じパターン
国内貯蓄は最近40-50%にも達している。これで国内投資は十分に賄える。
外国からの直接投資は総投資の10%を占めるに過ぎない。海外からの投資が途絶えても大したことはない。
賃金が上昇することはない。第一次産業はGDPの12.5%を占めるに過ぎないが、中国の労働人口の半分が第一次産業に従事している。過剰になっているので、これが今後第二次産業と第三次産業の必要労働力の供給源となる。
中国の輸出はGDPの35%を占めるが、加工輸出が多く、純粋に中国での付加価値部分は輸出の20.4%に過ぎない。つまりGDPの7%を占めるに過ぎない。
だから(対外要因で)たとえ輸出がストップしても残りの93%がちょっとがんばれば大丈夫なのだ。また中国の輸出企業のほとんどは外資系。彼らが困るだけ。
米国議会が人民元を切り上げろと言っているが、中国の付加価値ベースの輸出の19.1%しか米国向けでなく、たとえ人民元を10%切り上げたとしても、中国の米国向け輸出価格は2%程度上がるにしか過ぎない。
とても説得力がある。周りがいくらいじめようとしても中国経済の高成長は当分続くな。明治時代の日本ととてもよく似ている。明治の日本が持っていなかった巨大な国内市場も持っている。明治の日本よりはるかにポジションがいい。中国やロシアの汚職などの社会問題が取りざたされているが、明治時代の日本でも官から民へのタダ同然の国家資産の払い下げで多くの新興財閥が成立したし、その多くがいまでも残っている。明治の日本でも汚職は日常茶飯事だった。
さて中国株だが、これも同じく明治時代の日本に被せて考えるといいかも。漱石の『猫』では清貧に甘んずる苦沙彌先生の所に株で儲けて羽振りのいい教え子がやってくる。「先生、株を買いなさい、何時までもしけた暮らしをするんじゃなくって」という。苦沙彌先生は当然そんな話には耳を貸さない。だから苦沙彌先生こと漱石は死ぬまでお金に困った。一方、永井荷風のお父さん(公務員)なんかはお給料の中から株を買って一財産を築く(その金で放蕩息子の荷風はいい思いをした)。短期的に調整はあったものの、明治以降日本の株価は一貫して上昇を続けたのである。
中国株は10年20年持つつもりで買うと面白いと思う。それまで死んでしまう人はどうする? まあ、新たに「こども」を作ったと思って、その成長を見守ることを生き甲斐としましょう。