★阿修羅♪ > アジア10 > 731.html
 ★阿修羅♪
それでもチベットを支持するべきか(L'ECUME DES JOURS 〜日々の泡〜)
http://www.asyura2.com/07/asia10/msg/731.html
投稿者 gataro 日時 2008 年 4 月 07 日 22:14:49: KbIx4LOvH6Ccw
 

Trackback People の「平和ピープル」(http://tbp.jp/tbp_3609.html)で大津留公彦(http://ootsuru.cocolog-nifty.com/blog/2008/04/post_7a1f.html)さんが、「それでもチベットを支持するべきか(L'ECUME DES JOURS 〜日々の泡〜)」を紹介されている。いろんな角度からチベットで今起こっている事態を考えるのに有意義ではないかと思ったので、転載しておく。

============================================

http://hibinoawa.blog10.fc2.com/blog-entry-668.html から転載。

それでもチベットを支持するべきか(L'ECUME DES JOURS 〜日々の泡〜)

フランスではここ最近、連日、チベット関連のニュースが報道されています。

最初にチベットで暴動が起こったというニュースを映像でちらっと見たときには、実際に何が起こっているのかよくわからず、後から文字で追おう…と思いつつ、どうも明確なニュースが伝わってこない感じでした。
特に、後から目にした短信のニュースでは、中国政府側が発表した犠牲者(死者)数とチベット亡命府のそれとに差があることが報道されていましたが、誰の何による犠牲者なのかがはっきりわからない。前者の発表したものが後者のそれより少ないということは、犠牲となっているのはチベット人なのだろうと推測されたのみ。

ところで、私は日本での報道のされ方がどのようなものか知りません。今回、フランスで受け取った情報だけを元に書きます。

フランスでは、「制圧的な中国の厳戒体制」が強調され、「チベット人たちが被害にあっている」という視点がニュースの背後に感じられます。報道の微妙な偏りを察知して、アレ・シュール・イマージュではテレビのニュースでの報道のされ方を比較・検証していますが、結論として、やはりチベット擁護的な観点が盛り込まれているのではないかということでした。

個人的には、今まで、中国のチベットに対する圧政のことは気にならなかったわけではないし、チベットの文化や宗教には中国と異なる独自性があるのだから、それをリスペクトすべきだと思ってきました。だから、中国政府に対するチベット人の抗議行動が憂慮すべき事態へと転換し、中国政府が軍隊を投入したと聞いて、すぐに考えたのは「中国による圧政」ということです。そして多分、そう考えた人も多くいたに違いないと思うし、振り返ってみればフランスの報道が偏っているらしいことはその表れだと思います。

さて、テレビのニュースを見直すと、15日の夜のニュースで中国政府が公開したラサの暴動の映像を流しています。しかし、中国側の発表を鵜呑みにしない態度をうかがわせる言葉遣いをしています。

私自身は、16日の朝、Rue89で、フランス人旅行者が自分のブログで現場にいたことを報告している記事の中で、チベット人たちが中国人を実際にリンチしていたことをはっきりと知りました。他にも、抗議行動に参加していたチベット人数人がスクーターに乗った中国人を引き摺り下ろし、相手が意識を失うまで殴り続けたのを目撃した旅行者の証言などが伝えられています。

今まで非暴力的な抵抗運動を続けてきたという印象のあったチベット人たちが、中国人に対して暴力を振るい、多分殺人まで行い、商店を荒らして火をつけた…とは、私にとって少しショックな事実でした。
テレビのニュースがラサの暴動の映像に慎重なコメントをつけていたのも、私と同じように「にわかには信じがたい」という反応の結果なのではないかと思います。

チベット人が最初に暴力的行為をふるったという事態がはっきりしたのですから、中国政府がラサの警備を強化したのは当然の成り行きと考えるべきで、「また中国の圧政か」と言うのは間違いだと考えられるかもしれません。

では、それでも現在のチベットを支持するべきでしょうか?
そして、フランスでは何故チベットを擁護するような報道が続くのでしょうか?

さて、Rue89が引用したフランス人女性ブロガーは、現場を目撃した様子に続いて、チベット人の女の子たちに聞いた話をそのまま書いています。
彼女は、カフェでチベット人の若い女の子5人組と知り合い、そのうちの一人が「これは僧たちのせいなのよ、暴力は私たちの文化にそぐわないけれど、仕方のないことなの」と泣きながら説明し始め、状況が悪化してきたので彼女たちの家に避難して話を聞いたのだそう。彼女たちの説明によれば、中国によって寺院が破壊されたことで、チベットの歴史が破壊されてしまった。それというのも、チベットの文化は口頭伝承が基本であり、それを文献に書いたり保存したりするのは寺院にいる僧だけ。中国政府は寺院を壊し、僧を殺すか拘束するかして、チベットの文化的歴史文献をチベット外にもっていってしまった。また、中国人たちはビジネスを重視し、彼らがよしとする経済活動をチベットにもたらしたが、チベット人にとっては金持ちになることは重要ではない。「自分よりも他人の方が大切」という文化のチベット人は、他人からお金を巻き上げてまで金持ちになりたいとは思わない。物質的に良い暮らしができれば、確かに幸せだろうけど、もっと大事なのは宗教。チベット人は金持ちになりたいのではなく、自由になりたい。昨年、ダライ・ラマ14世がアメリカで勲章を受けて以来、中国政府はチベットの民族衣装を禁止し、チベット人は中国風の服装を強制されている。着たいものすら選べない。ラサの町は近代化され、中国政府はラサに多額の投資をしていると宣伝しているが、チベット人が所有するものを奪っていることについては何も言わない。毎年、多くの旅行者が寺院を訪れ入場料を支払っているが、それはすべて中国人たちの懐に入る。ラサのほとんどの商店は中国人経営で、それはつまり、市場や雇用を左右するのも中国人ということ。職を得るには中国語を話せることが一番重要。中国人たちは、チベット人たちが英語を話すことを好まない。だから多くのチベット人が中国語を学ばなければならなくなっている。けれど、ただ話すだけで読み書きはできない…。

このフランス人ブロガーによると、チベットで中国政府への抗議行動を起こすのはたやすいことではなく、ダライ・ラマの写真を飾っているだけで刑務所か強制労働へ連れていかれてしまうことがあるそうです。

そして、彼女は、「中国政府は無辜の市民の死を告発している。それは本当のことだ。リンチを受けた中国人や、荒らされた商店の持ち主は立派な人たちかもしれない。でも、人々の感情の爆発を目の当たりにして、こうした状況では悪人・善人という線引きができないことがわかった。チベット人対中国人なのだ。チベット人の犠牲となった中国人たちは、自国政府の政治の犠牲者でもある。チベット人たちは、中国人たちが怖れてもうチベットにやってこないことを願っている」と書いています。

ところで、チベット暴動の情報を見聞きするうち、私はふと2005年秋にパリ郊外で起こった暴動のことを思い出しました。あのとき私は、郊外で車を燃やす若者たちを単純に非難することはできないと思いました。
経済的格差が是正されず社会的な不満が鬱積し、そのうえ治安の悪化でポリスが威圧的に存在する、そのような状況的背景があって生じた暴動だと思っています。

でも、そういう状況的背景の捉え方に異議を唱え、車を燃やし、警察に投石する「郊外の若者たち」は紛れもなく「悪者」であるのだから彼らを擁護するのはおかしい、非難するのが当たり前だ、とする人たちもいました。

そういう人たちは、やはり今回のチベット暴動でも、チベット人たちが「悪者」であり、彼らを非難するのが当たり前だと言うのでしょうか。

「破壊行為をしたのはチベット人なのに、それでもチベットを支持するのか?」と言う人もあるかもしれません。私の答えは「勿論!」です。チベットを支持します!

フランス人旅行者の報告は、ある「個人」が、「個人的な」状況で、チベット人である「個人」の解釈を聞いたというものであり、その話を一般化するべきではないかもしれません。でも、この一つの個人的な解釈は個別的ケースを超えて、他の多くのケースで語られた解釈、一般性に合致するように思います。それは「植民地主義」という名で批判されてきたものだと思います。

(続く…かも)

  拍手はせず、拍手一覧を見る

 次へ  前へ

▲このページのTOPへ      HOME > アジア10掲示板

フォローアップ:

このページに返信するときは、このボタンを押してください。投稿フォームが開きます。

 

  拍手はせず、拍手一覧を見る


★登録無しでコメント可能。今すぐ反映 通常 |動画・ツイッター等 |htmltag可(熟練者向)
タグCheck |タグに'だけを使っている場合のcheck |checkしない)(各説明

←ペンネーム新規登録ならチェック)
↓ペンネーム(2023/11/26から必須)

↓パスワード(ペンネームに必須)

(ペンネームとパスワードは初回使用で記録、次回以降にチェック。パスワードはメモすべし。)
↓画像認証
( 上画像文字を入力)
ルール確認&失敗対策
画像の URL (任意):
投稿コメント全ログ  コメント即時配信  スレ建て依頼  削除コメント確認方法
★阿修羅♪ http://www.asyura2.com/  since 1995
 題名には必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
掲示板,MLを含むこのサイトすべての
一切の引用、転載、リンクを許可いたします。確認メールは不要です。
引用元リンクを表示してください。