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チベット政策再考を迫られる中国【JanJanNews】
http://www.news.janjan.jp/world/0803/0803283748/1.php
IPSJapan2008/03/29
チベット研究者の王力雄氏は「いくら経済的に繁栄しても、それが押し付けられたものであれば、チベット人民の心の中にあるダライ・ラマの重要性を消滅させることはない」と話す。チベット暴動への中国政府の対応に関しては、亡命中のチベット指導者ダライ・ラマとの対話開始を求める圧力が、あらゆる方向から強まっている。
【北京IPS=アントアネタ・ベツロヴァ、3月21日】
チベット暴動への中国政府の対応に、亡命中のチベット指導者 ダライ・ラマとの対話開始を求める圧力が強まっている。
中国政府は、北京オリンピックの妨害とチベットの独立を狙い暴動を背後で操っていると「分離主義者」ダライ・ラマを非難。
しかしあらゆる方面から、チベット人民にとってのダライ・ラマの永遠の重要性を認識し、問題を打開すべきとする声が上がっている。
3月20日には、ホロコーストの生存者である エリ・ヴィーゼル氏を含むノーベル賞受賞者26人が中国政府に対しダライ・ラマとの対話再開を求める声明を発表した。
声明は、宗教および文化の自治がチベットの古来の遺産保護にとって不可欠と述べている。
自身も1989年にノーベル平和賞を受賞いるダライ・ラマは、チベットの主権独立を求めているのではなく、1951年に共産党指導者が人民に約束したものの守られていない真の自治を求めているだけと繰り返し述べている。
中国は対話の呼びかけを拒否、代わりに暴動の国際調査を求めている。
中国政府のダライ・ラマに対する政策の再考を求めているのは、国際社会にとどまらない。中国国内でも広くから声が上がっている。
チベットに関する研究論文が共産党内でも回覧されている作家、王力雄(Wang Lixiong)は、現在の危機はチベットにおける急速な経済発展政策が失敗だったことを知らせる政府への警鐘となるべきと述べている。
IPSの取材に応えた王氏は「ラサにおいて僧侶、知識人、学生が参加しただけの1987年と1989年とは異なり、今回の暴動はチベット全土に広がり、農民や労働者を含めあらゆる階層の人々が参加している」と述べた。
王氏はチベットの発展の兆候を「見せかけの近代化」と評し、生活水準が著しく向上したエリート層に対し、大多数の人民は貧困化が進み、社会的不平等を背景に不満が高まっていると指摘。
「現政権がチベット政策を見直さなければ、10年後、20年後にチベット紛争はさらに深刻化するだろう。いくら経済的に繁栄しても、それが押し付けられたものであれば、チベット人民の心の中にあるダライ・ラマの重要性を消滅させることはない。人民の精神的指導者であり、国際的にもチベットの象徴的存在であるダライ・ラマがチベット問題の鍵を握る」と述べた。(原文へ)
翻訳/サマリー=坪沼悦子(Diplomatt)/ IPS Japan 山口響
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