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(回答先: 高村外相「五輪ボイコットせず」(産経新聞) 投稿者 片瀬テルミドール夏希 日時 2008 年 3 月 18 日 13:37:54)
【The Economist 2008年3月15日号掲載記事について】チベットで、再び動乱が起き、全世界的に波紋を投げかけている。偶然の一致といえるが、ちょうどそのときにエコノミスト誌の記者がチベットでの1週間の取材旅行の許可を得て、3月12日から国内に入り込んでいた。めったに西側の記者を入れない中での貴重な報道を現地から行っている。
もっとも記事を送ってきた3月13日の時点では、まだ暴動が起きる直前だった。しかし、騒動の前兆は起きており、緊迫した状態の雰囲気、およびその背景は十分に知ることができるだろう。(EIS編集長 中村晃生)
●長い間で最も深刻な騒乱がチベットの首都を揺るがしている
The Economist 2008年3月15日号 (Asia)
チベットのデモ Demonstrations in Tibet
行進を始めた僧侶たち Monks on the march
(2008年3月13日 ラサ)
長い間で最も深刻な騒乱がチベットの首都を揺るがしている
8月に開催される北京オリンピックを台無しにする可能性がある、と中国当局が本気で心配している都市があるとすれば、それはチベットの首都ラサだ。古びた僧院の周辺や市内の古風な狭い街路は、小刻みに足を運びながら祈りの言葉を口ずさみつつダラダラと続く巡礼者であふれている。住民たちは警戒が厳重になっていると話している。
1年のこの時期はいつも異常だ。3月10日は、しばしば緊張感に包まれる。これは、中国軍により押しつぶされた中国支配に反対する1959年の反乱[訳注:1956年に始まり1959年に頂点に達した抗中運動。チベット動乱という]の記念日だからだ。チベットの精神的指導者、ダライラマは、多くの信者と共にチベットを逃れ、以来インドのダラムサラで亡命生活を続けている。だが今年は、しばしば中国への抗議行動の中心となってきたチベット人僧侶が特に反抗的になっているとの報告がある。
このような報告は裏付けを取るのが難しい。中国当局は、めったに西側報道陣の訪問を許可しない。当局者の話では、昨年オリンピック期間中と事前の取材について官僚的な制約を削減しようと導入された規制措置[訳注:事前に取材対象の関係部門の同意を得る必要がなくなり、各省・市での取材も事前に現地の外事弁公室の許可を得る必要がなくなった]は、チベットには適用されないという。だが本当に珍しいことに、本誌の記者が1週間の取材旅行の許可を得た。ちょうどその初日の3月12日に、明らかに緊迫した出来事に遭遇した。
それは、記念日の当日に始まったようだ。ラサ市内の僧侶たちのデモの試みを警官が阻止したのが発端だった。このことは、北京の外務省報道官が、3月10日に「数カ所の僧院」の僧侶が「一握りの人々に扇動され支援されて」違法な活動を行った、と発表したことで確認された。報道官はまた、僧侶たちは法に基づいて「処置された」と述べた。
約300人の僧侶が関与しているようだ。北京発のロイター通信によると、翌日(3月11日)600人以上の僧侶がラサに集まり、抗議行動によって不法に拘束された僧侶たちを解放するよう求めた。解散させるために催涙ガスが使用されたという。このような事件は、報道されたものとしては、近年ラサ市内で起きた最大規模のものである。
住民の話では、市内の問題が起きそうな場所には制服警官と私服警官が増員して配置されているという。チベット仏教の中でも最も聖なる場所とされている大昭寺[訳注:市内の中心に位置し、チベット仏教の総本山的な役割を果たしている。チベット全土からの巡礼者はここを訪れる]の近くの市中心部を警官たちはパトロールしている。この寺では、ここ何年もの間、一握りの人々の参加によって抗議行動が行われてきた。住民の話では、僧侶に変装している私服警官もいるという。
中国の大部分では、1968年のメキシコオリンピックや1988年のソウルオリンピックの準備期間中に起きたような政治的な不安定さは見られない。だがチベットは例外である。政府は、国家的な誇りに訴えて安定性を保とうと試みているが、ヒマラヤ地域では極めて困難である。というのも、1950年に共産中国がチベットを軍事制圧する以前の中国とのあいまいな関係があるためだ[訳注:中華人民共和国の建国初期、それまで国民政府の支配下に置かれていたチベット人居住地域にはいくつかの「蔵族自治区」が設けられていた]。当局者はまた、最近ミャンマーで起きた仏教僧侶先導の抗議行動の影響力についても心配している。
中国国外の多くのチベット人たちの望みは、オリンピックを利用して彼らの主張――自分たちの祖国で行われている広範な人権侵害――に対する国際的な関心を喚起することである。3月13日には北インドの警官たちが、この問題を訴えるための100人の亡命者によるダライラマの亡命地からチベットへの行進(多分に象徴的なものではあったが)を阻止した。
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http://www.eis-world.com/iza/080315.html
産経新聞
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/world/china/130789/