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チベット暴動:胡錦濤路線の真価が問われる中国(中国情報局)
http://www.asyura2.com/07/asia10/msg/493.html
投稿者 忍 日時 2008 年 3 月 18 日 17:40:10: wSkXaMWcMRZGI
 

(回答先: 高村外相「五輪ボイコットせず」(産経新聞) 投稿者 片瀬テルミドール夏希 日時 2008 年 3 月 18 日 13:37:54)

チベット暴動:胡錦濤路線の真価が問われる中国
2008/03/18(火) 16:07:40更新


中国を読み解く視点(62)−高井潔司(北海道大学教授・サーチナ総合研究所客員研究員)

  日本で発生した毒入りギョーザ事件に続いて、チベットで大規模な暴動が発生し、北京オリンピックを前にした中国は、また新たな難問を抱え込んでしまったようだ。もっとも、連日伝えられるニュース映像をみると、こうした問題も中国にとっては、十分折込済みだったと言えるだろう。中国当局はひたすら“被害者”を演じ、事態の沈静化を待っているかに見える。

  私自身が「折り込み済み」と感じるのは、3月初め北京を旅行した際だ。中国の大衆向け国際専門紙『環球時報』紙上で、「新彊ウィグル自治区で旅客機襲撃の陰謀を打ち砕く、世界が中国の反テロ対策を注目」というトップ記事を読んだためだ。よく読んでみると、3月7日、同自治区のウルムチ発北京行きの中国南方航空機内でガソリンが見つかり、甘粛省の蘭州空港に緊急着陸したという記事。これをBBCなど世界のメディアがテロ未遂事件として取り上げたという内容になっている。ただし、テロ未遂と報じたのは国際メディアであって、警察当局などはその目的などはコメントしていないと書いている。

  北京特派員を経験し、長年中国の報道をウォッチしてきた者の目でいうと、この記事はオリンピックを控えてこうした事件が発生する可能性を外国メディアの報道を使って警告しながら、他方、と言っていたずらに不安を煽らないように事件の詳細には触れないという典型的な中国の報道の手法が見て取れる。当局は今後、夏の北京オリンピックに向けて、起こりうる様々な事態を想定して対応策をすでに取っているなというのが率直な読後感だった。

  今回のチベット暴動でも、外部からみると、突然発生した暴動のように思えるが、当局は、1959年のチベット動乱の“記念日”に合わせ、万全の警戒態勢を敷いていたに違いない。NHK衛星放送の世界のニュースを見ると、世界のテレビが流す現地の映像は、どの国のテレビも、チベットの民衆が暴徒化して商店や銀行、駐車中の乗用車を襲うシーンと、鎮圧後の静まりかえったチベットの町の映像のみだ。登場するチベット人は中国の国旗を燃やしたり、自動車を横転させて火を放ったり、いかにも暴徒という図柄である。中国のテレビ局が配信した映像である。

  これほど“凶暴な暴徒”をどのようにして短時間に制圧できたのか、最も知りたいところだが、その映像は全く出てこない。観光客も多数いたはずだが、鎮圧の模様を捉えた写真や映像はこれまでのところ出てきていない。空港などで押さえられているのだろうか。そうした情報さえ伝わって来ない。使える映像が限られているから、中国政府の対応を懸念する世界のメディアも暴徒の映像を繰り返し報道せざるを得ない。何ともちぐはぐな報道ぶりである。

  世界各地で起きている抗議行動も、中国の大使館、領事館は門を閉ざし、沈黙する。ところによっては、襲われるままとなっている。チベットの現地とは電話も閉ざされているから、インターネットなどでの情報流出もない。

  見事なまでの情報統制であり、当局はひたすら“被害者”の立場で、事態の沈静化を待っているようである。しかし、それはその場しのぎの対策でしかない。おそらくオリンピック開催までにまだまだ別の揺さぶりが掛けられるだろう。急速に大国化してきた中国には、様々な矛盾、問題が横たわっている。内外に突発的な事件が起きる“火種”を抱えている。揺さぶりが重なれば、その揺れはますます激しくなり、オリンピック開催さえ危うくなりかねない。

  むしろ、大事なことは中国がこうした試練を通して、経済成長だけなく、人権や民主化などの面で、いかに世界水準に近づくかという正面からの取り組みではないか。言葉を換えていえば、中国政府が、“外圧”を利用して、国内に向けて、改革の推進を求めていくのか、逆に国内世論を利用して、“外圧”をかわし、改革を先送りするのかの選択に迫られている。「平和的な台頭」「和諧社会の建設」という胡錦濤路線の真価が問われている。

  チベット問題でも、亡命チベット人の間には、過激な行動に出る若い世代と、ダライ・ラマ世代との間に、中国への姿勢の違いが見える。ここ数年、ダライ・ラマの側と中国は和解交渉を重ねてきた。結局、中国当局が折れることなく、物別れに終わっている。チベット動乱から、来年で50年を迎える。当然、ダライ・ラマ14世も高齢化し、亡命チベット人の間で影響力が低下しつつある。14世が影響力のある間に交渉をまとめるのかどうか、中国当局は決断に迫られている。他の少数民族や台湾の動きをにらんで、安易な妥協はゆるされないし、ダライ・ラマ14世の影響力低下によって独立勢力自体の力の低下を待つという選択もあるのだろうが、それはかえって独立勢力の過激化という危険も伴っている。今回の暴動鎮圧にもかかわらず、オリンピックの開催を支持したダライ・ラマ14世との対話のチャンネルをどう回復するかが、次の焦点ではないだろうか。

■関連特集
2008年チベット暴動
http://news.searchina.ne.jp/special/08_tibet.html

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