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コラム:<太陽政策から太平洋政策へ> − ロイター通信
http://www.asyura2.com/07/asia10/msg/386.html
投稿者 児童小説 日時 2008 年 2 月 23 日 21:52:39: nh40l4DMIETCQ
 

 李明博(イ・ミョンバク)時代の朝鮮半島が、前政権から大きく変容することは、すでに大統領就任前から明らかになりつつある。当初みられた統一省の再編の試みは、韓国が今後5年間、外交政策において北朝鮮を特別扱いしない、他の国々と同等の外交関係の構築を目指す姿勢の表れであり、金大中(キム・デジュン)、盧武鉉(ノ・ムヒョン)と過去10年間続いた従来型「太陽政策」とは大きく異なる。そもそも反米色を強く掲げながら、対イラク、アフガン政策への協力、米韓FTA合意など、米国主導の安全保障政策に深くコミットするという矛盾を露呈していた盧武鉉政権から、李明博政権は名実ともに親米政権の色彩を強めそうである。低迷する支持率を高めるため、外交面で反米・反小泉を打ち出し、内政では財閥改革を掲げざるを得なかった盧武鉉政権に対し、李明博政権は「実利」を重視する政権だ。この新大統領の実利主義は、韓国が韓米日協調外交路線へ転換するキーワードである。

 <7・4・7政策への実務手順>

 韓国の「経済成長率」「1人当たり所得」「GDP規模」を、それぞれ「年平均7%」「世界第4位」「世界第7位」に押し上げる目標を掲げる李明博「7・4・7政策」は、就任時に掲げる目標として極めて現実的と言える。筆者が、李明博氏にかつての朴正煕(パク・チョンヒ)元大統領に近いカリスマ性を感じるのは、その7・4・7政策を達成するための現実的な実務手順にある。

 盧武鉉政権下の韓国経済が好景気を享受できなかった最大の理由は、政治的な困難に直面した同政権が、反財閥政策を掲げざるを得なかったため、財閥企業の経済パフォーマンスを無力化してしまったためである。

 この点、李明博政権は、財閥グループの解体を目指すのではなく、財閥企業から各産業へ投資を再分配することでマクロ規模での成長を目指している点に大きな違いがある。

 財閥からの再分配による投資促進政策とは、新しい韓国国内の資金循環促進を意味する。通貨危機後の韓国では、国有化した商業銀行を再民営化した結果、大手メガバンクにおける外国人保有比率が問題化している。

 一方で、韓国開発銀行などの政府系金融機関の民営化問題が喫緊の課題となっており、新しい投資を生み出す資金循環の醸成がかねてからの課題となってきた。

 盧武鉉氏が政治的に標的とした財閥グループを味方にし、これらの資金を新しい投資へ振り向けることで、国内経済システムの再活性化を目指すのが李明博氏の経済政策だ。この新しい資金循環を促すため、韓国が長年貫いてきた産業・金融分離原則の見直しが現在、進められており、こうした規制緩和が進めば、財閥グループの資金が銀行システムに直接的に流入する道筋を構築することになる。

 李明博氏の経済政策が実務的で高い実現可能性を感じさせるのは、その政権内の人材の多様性にある。柳佑益氏(元ソウル大教授)をブレーンに迎えるなど、自らも複数の政策シンクタンクを持つ李明博氏は、専門家集団のピラミッドの頂点に君臨し、実務的な手順はこうした豊富な人材によるスタッフに委ねられている点が、人材不足に悩み続けた盧武鉉政権との大きな違いである。過去10年間、左派・革新政権が続いたことが、逆に保守本流路線の底力を育む結果となったと言えよう。

 <可能性高まる天皇訪韓>

 さて、この実利主義に基づく李明博政権下で、米韓関係以上に変化が訪れる可能性が高いのが日韓関係である。盧武鉉時代の韓国は、自らの支持率が低下すればするほど小泉バッシングが強まる傾向にあった。日韓EPA(経済連携協定)協議がとん挫しているのもこうした背景によるものであるが、李明博政権下では、この2国間関係は劇的に改善に向かうだろう。

 最大の理由が対日関係改善がもたらす経済効果である。ポスコ(005490.KS: 株価, 企業情報, レポート)・新日鉄(5401.T: 株価, ニュース, レポート)の資本提携など、近年、韓国企業と日本企業の関係深化は目覚ましい。

1990年代の北米自由貿易協定、EU市場統合に見られるように、所得水準が近い近隣諸国との経済連携協定は、締結国に多大なメリットをもたらす。政治・外交面で、日韓EPA交渉再開の合意がもたらされれば、日韓企業連携の動きは自動車、エレクトロニクス分野などで、さらに加速化に向かうだろう。

 その意味では、過去5年間の日韓関係は、民間企業同士の経済連携が進む中、政治が常にそれを妨げ続けてきたと言える。日韓EPAの最大の障壁である政治・外交問題がクリアされ、政治主導による日韓の経済統合が進められれば、2002年以来議論が途絶えていた天皇陛下の訪韓も現実味を帯びてくる可能性が高い。

 永野 護 三菱総合研究所 主任研究員

http://jp.reuters.com/article/sponsorForexNews/idJPnTK005679520080222

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