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李明博次期大統領が25日に就任する。公約の1つは、対北朝鮮政策の大幅修正。盧武鉉大統領と金正日総書記が昨年10月の首脳会談で調印した「南北関係発展と平和繁栄の宣言」も再検討するという。これに対し、北朝鮮のメディアは李明博氏が次期大統領に当選したこともまだ伝えていない。
・焦点は南北経済協力の再検討
韓国新政権の成立が南北関係に断層を生むことが確実となった。李明博次期大統領は対北朝鮮政策の再検討を主張して当選した。当選後の記者会見でも「北朝鮮が核放棄をして初めて経済交流ができる」と主張。経済支援を優先した盧武鉉大統領の政策を見直すことを確認した。2月2日には、韓国の東亜日報、日本の朝日新聞、米のウォール・ストリート・ジャーナル3紙と会見。盧武鉉大統領と金正日総書記が昨年10月の首脳会談で調印した「南北関係発展と平和繁栄の宣言」も再検討する意向を示した。
同宣言は、統一を目指して南北が法律や制度面を整備することや、民族繁栄のため経済協力事業を拡大することなど8項目を規定。11月の南北首相会談では、協力事業を具体化するための現地調査など49項目にわたる合意文書を作成した。李明博次期大統領はこの動きにブレーキを掛けることになった。特に経済協力事業については「核問題の進展を見た上で、経済性の有無や財政負担などを検討し、優先するべきもの、後回しにするもの、不可能なものを区分する」と主張した。
北朝鮮の労働新聞はこれに先立つ1月18日、「南北関係発展と平和繁栄の宣言」を署名入り記事で取り上げ、「同宣言は統一に向けての行動計画だ」として韓国に対し全面履行を要求した。李明博次期大統領の主張はこれに対する拒否回答だった。次期大統領が盧武鉉政権の北朝鮮政策に不満なことは選挙戦当時から知られていたが、首脳会談で調印した宣言まで見直すと表明したのは初めて。こうした動きを警戒してか、北朝鮮のメディアは李明博氏が次期大統領に当選したことも未だ報じていない。
・核合意の履行も長期停滞の様相
南北関係の先行きが不透明となる一方で、核合意をめぐる米朝の対立も長期化必至の情勢だ。ブッシュ政権は北朝鮮が核計画を完全放棄すれば、関係を正常化するとの基本方針は変えていない。北朝鮮が昨年中に実施すると約束した核計画の完全な申告についても、今後の実施を待つとの立場を示している。しかし、北朝鮮は1月4日の外務省報道官の声明で「核計画の申告は昨年11月に米側に通告済み」と主張、米と真っ向から対立している。
上記外務省声明によれば、北朝鮮は「11月に報告を作成、内容を米側に通告した。米側が協議を要求したため、十分協議もした。米側が疑うウラン核計画についても、米関係者を軍施設に案内、同計画との関連が疑われている輸入アルミニウム管が別の用途に使われたことを示し、サンプルも提供、核計画と関係がないことを証明した。また、シリアとの核協力疑惑については、10月3日の6ヶ国協議合意文で、核兵器、核技術、核知識の移転をしないと約束した。これで十分のはずだ」と主張している。
米側も11月にヒル国務次官補が北朝鮮から「通告」を受けたことは認めている。しかし、口頭だった上に内容も不備だったため、正式な申告とは見なせないと判断したという。このあと、ブッシュ大統領は12月1日付けで、金正日総書記に異例の親書を送付。ニューヨーク・タイムズによれば、同大統領はこの中で「北朝鮮が製造した核兵器の数、抽出したプルトニウムの量、海外に移転した核技術」と具体的に指摘、これらすべての核計画を正確に申告するよう改めて要求した。
・米国内にも北朝鮮政策再検討の機運
このブッシュ大統領の親書に対し、金正日総書記は12月12日、国連代表部を通じて口頭で「我々は約束を守る。あなたがたも守ることを希望する」と回答した。北朝鮮は核合意を履行している、次は米が履行する番だという意味である。上記の外務省報道官の声明も「我国だけが履行面で先行し、米国はじめ他の6ヶ国協議参加国は重油の供給はじめ約束を速やかに履行していない。特に米国は我国をテロ支援国リストと敵国貿易法の対象からはずすと約束しながら、実行していない」と非難した。
この対立状況に対して、米国内でも不満が蓄積、北朝鮮政策を再検討する動きを生んでいる。ブッシュ政権1期目の国家安全保障会議上級アジア部長だったマイケル・グリーン氏は2月11日ヘリテージ財団の討論会で、「北朝鮮に対する米国の寛容な対話戦略は核計画の申告の遅れで危機に瀕している」との危機感を表明した。そして、同氏は「このような状況を招いたのは、米が安易な譲歩を繰り返したことが背景にある」と指摘、その譲歩の例として、
1、マネー・ロンダリング容疑で凍結したバンコ・デルタ・アジアの資金を返還した。
2、北朝鮮の核実験のあと、国連安保理が制裁決議をしたのに完全に実施しなかった。
3、北朝鮮のテロ支援国指定を解除するため、日本人拉致事件を切り離した。
グリーン氏は以上の3つの例を挙げ「6ヶ国協議を維持するためなら、米国は如何なる譲歩にも応じるかのような印象を与えた」と分析。そして、同氏は「この状況から抜け出すためには、日米韓3カ国の政策調整機能を復活し、国連安保理の制裁決議に基づいて圧力を掛け直す必要がある」と主張した。しかし、政策を修正したとしても、ブッシュ大統領の任期は残すところ11ヶ月。問題解決の見通しも立たないまま次期政権に引き継ぐことになるとの見方もある。
・北朝鮮との軋轢頻発は必至
李明博次期大統領は選挙期間中から日米との関係強化を主張してきた。盧武鉉政権が軽視した日米韓の政策調整会合に積極的に対応するほか、PSI(大量破壊兵器の拡散防止構想)の海上訓練にも正式参加する意向という。日米は歓迎しているが、その分北朝鮮との関係が悪化することは間違いない。特にPSIについて、北朝鮮は「我が民族に対する敵対行為」として、韓国が参加した場合「それなりの措置を取る」と主張したこともあった。
今年のPSI海上訓練はまだ決まっていないが、李明博次期政権が参加を表明すれば、南北関係悪化の大きな原因になることは間違いない。このほか、3月2日から米韓が北朝鮮を攻撃目標とする合同軍事演習を開始。3月26日には、平壌でワールドカップのアジア地区予選があり、公式戦で初めて韓国と北朝鮮が対決する。この試合で、韓国チームは韓国の国旗掲揚と国歌の演奏を主張しているが、北朝鮮が反対して対立。問題が解決しない場合の試合の行方が懸念されている。
李明博次期大統領がこれらの問題をどう乗り切るか、対応に失敗すれば、南北関係は険悪化し、国内の世論は動揺する。次期大統領は新政権発足にあたって統一省を廃止して対北朝鮮政策修正の目玉とする計画だった。しかし、国会内の反対が強く、実現しなかった。世論が動揺すれば、この国会内の反対勢力は黙っていないに違いない。次期大統領としては、4月の国会議員選挙で勝って、この反対勢力を押さえ込むことも重要な課題の1つだ。
http://www.mochida.net/report08/2sksk.html
※コメント:
北朝鮮は、オバマ当選まで待ってるのか?