★阿修羅♪ > アジア10 > 317.html ★阿修羅♪ |
Tweet |
asahi.com:李明博・韓国次期大統領 一問一答(1) - 国際
1日に李明博・韓国次期大統領が朝日新聞の船橋洋一主筆らと会見した詳しい内容は次の通り。
■経済再生
――実用主義への転換を掲げていますが。
韓国は短期間に産業化、民主化の過程を踏んできた。ところがここ10年は、時代遅れの理念の対立の中で過ごしてきたといえる。こうした理念の対立から免れるということが、実用的な社会になるという意味だ。
1人あたりの所得は2万ドルを超え始めたが、新しい時代の5年間は先進社会を目指し、経済力にふさわしい国家の品格を向上させる変化をもたらすだろう。経済成長を通じ今後5年間で3万ドルの所得を実現し、先進国入りできると思う。途上国に支援する政府の途上国援助(ODA)資金も先進国水準に合わせるよう漸進的に進める。
南北間でも北の経済が自立し得る条件を整えなければならない。その前提は朝鮮半島が非核化され、北が国際社会に開かれることだ。その時には韓国をはじめ国際社会が支援するだろう。5年の在任期間中に、南北関係がこうした正常な関係に向かって進むと期待している。
――世界経済と韓国経済をどう見ますか。経済再生の公約をきちんと履行できると思いますか。
(公約した)747ビジョンは5年間の任期中のビジョンではなく、今後10年間のビジョンであり、達成可能と信じている。政権発足の最初の年は、国際金融環境や原材料価格の問題など、様々な国際経済環境がよくないのは事実だ。こうした危機を克服するため、大手企業の出資制限をやや緩和しようとしている。
次に規制を大幅に緩和する。国際基準まで緩和する。(今年行われる総選挙が終わり)新しい国会ができれば、一つひとつ早期に緩和していかなければならない。厳しい金融環境のもとで目標を達成するには、まずこれを優先的に行う。
今まで労使紛糾が激しかったため、今年は労使がお互いに安定化した関係になるよう企業と労働組合側に頼むつもりだ。規制を緩和し、企業が投資する意欲を持てる環境を作ろうと思っている。こうした条件が整えばここ5年間よりは多くの投資が行われるだろう。
短期的には規制をなくすものの、長期的にみると人材を多く育成するために、教育制度の改編をはじめ社会の全般的な変化を追求することが、長期的かつ持続的に発展し得る対策だと思う。
――出資総額制限制度の緩和はどうしますか。
過去、企業の財務構造がよくなかったため大企業の相互出資を制限することが多かった。当時、大企業の負債比率は300%を超えたが、今は平均100%にも満たない。財務構造が最もよい国だ。大企業の投資を増やすことが雇用をつくり、中小企業にとってもいい。制限緩和は大手企業のための政策ではない。
投資して工場を建てるまでの期間は6カ月以内が正常だと思う。今は3〜4年間かかる。3年後なら遅い。コストが上がるから。私はその期間を半分減らすつもりだ。
ゴルフ場建設問題は、ゴルフはぜいたくだ、だからダメという考え方で行うから遅くなる。観光産業の観点からみると、韓国から海外への観光客1200万人のうち相当数はゴルフ目的。韓国には600万人の観光客が訪れる。ゴルフ場も一つの産業やビジネスとみるべきだ。工場建設と同様、迅速に手続きをするべきだ。
社会が全般的に市場経済の考え方に染まるべきで、規制は大幅減らさないといけない。
――金融産業育成の政策のポイントは。
次期政権は金融産業を一つの成長の原動力にする。金融産業はそれ自体が他の経済、産業に与える影響が大きいこともあるが、金融産業をより先進化させると、よい雇用が作り出される。
そのためには規制を緩和しなければいけない。金融と産業の分離という制度がある。我々はこれで国内企業が逆差別を受けかねないとみている。
今までは大部分の金融機関の大株主が外国資本であったため、今後、残された銀行を民営化する場合は、国内産業の資本も入るようにしないといけない。大手企業の産業資本が入ってきて金融を支配すると反対する人たちがいるが、こうした副作用は十分に制限することができる。
われわれには多くの年金基金がある。外国の場合、年金基金の多くが金融機関の大株主になっている。私たちも規制を解く時期になった。(民営化が)残された二つほどの銀行が結局、私たちの国のだれも所有できず外国資本が所有することになれば逆差別だ。副作用はいくらでも制度で防止することができる。そうしながら金融産業を発展させていく。
――外国企業が主導的地位を占めるようにすることが経済にどれだけ重要だと考えていますか。
韓国も開放社会となった。外国企業の投資に対しても制限がないようにする。ところが外国企業の投資には二つのパターンがある。例えば資本出資だけをする場合があれば、経営の支配権を持つために出資することもある。企業が韓国に来て出資をし経営を行うことに対しては制限はない。しかし、資本出資だけで経営はせず、さらに経営の支配権だけは握っているのに株価が上がれば売却してしまう形もある。この場合、外国の先進国でも、ある程度は経営権に対し制限を行う。われわれも今後、先進国が行う水準の制限は行いえる。ただ、韓国だけという特別な制限はしない。韓国企業が、韓国人だけが経営できるということはない。グローバルな世界にふさわしい水準に向かっていくだろう。
■南北関係
――対北朝鮮政策の基本方針は何ですか。
任期中に北韓(北朝鮮)の核を廃棄させ非核化する。北の核を認めれば、東北アジアに核(開発)競争が起きる。金正日総書記に、核を放棄することが政治体制を維持し経済を再生させるのに役立つと説得しなければならない。北は6者協議の当事者を信頼していない。EU諸国は北に大使館もあり、信頼を得ているという点が興味深い。ドイツなどは北を説得するのに一役果たすべきだ。EUが6者協議を助けることができる。
――6者協議を8者とか10者にするのはどうですか。
すでに6者の枠が固まっているのでそれを壊すのは効率的でない。
――韓国が日本や米国と関係を強化することは、北との関係を冷却化しませんか。
米韓関係が悪くなると南北関係は良くなるというのがこれまでの認識だ。しかし新政権は、米韓関係を強化することが、南北関係を良くすると考える。根本的な考え方の転換だ。北は米国との関係正常化を最も望んでいる。米韓関係がよくなれば、韓国は、米国と北の関係正常化のための役割を果たすことができる。
――北の金剛山観光や開城工業団地事業は、これまで通り進めますか。
そのまま続けて維持しようと思う。ほかのいろいろな経済協力事業は、盧政権が多くの交渉をし合意したが、具体的なものではない。この問題についてどうすべきか、話す段階ではない。
――昨年10月の南北首脳会談で合意した事業についてはどうか。
南北で様々な事業が合意されている。基本的にまず妥当性を調べ、経済性があるか検討する必要がある。次に財政的に負担する能力と価値があるか。いくらかかるか分からないのに合意はできない。また大型プロジェクトは、政治家がサインして進めるのではなく、国民的合意が必要だ。この3点で検討する。すべてを否定するのではない。まず、すべきこと、後でやること、できないことを分ける。
――北の経済や人権の改善のために何をしますか。
北は経済が困難で基本的人権を維持できない。人道的な支援をしないわけにはいかない。もっとも理想的なのは、北の政権ではなく、住民を直接支援することだが、今の体制ではできない。北の人権問題を取り上げるのは、戦略的にやるのではなく、基本的人権をとりもどすという普遍的な価値の話だ。北でもアフリカでも、人類の普遍的な価値という面からやろうと思う。戦略的、政治的に利用するのではないということを北に知らせれば、人権改善に役立つだろう。
北の現実は、人権を話すことすら難しい。事実、基本的水準にも達していない。空腹を解決せず、人権問題をまず話すことはできるが、北の住民に急ぐべきことはパンではないかと思う。しかし、我々がパンの問題を解決する助けをしながら人権問題を全く無視することはできない。新政権では、適切に北の助けになるようにする。
――南北首脳会談についてはどうですか。
成果のない会談はしない。実用主義の観点から成果がなければだめだ。核問題と北の未来の開放に進展があれば(金総書記と)1回でなく何度でも会う。日韓首脳が年に2、3回ずつ会うのに南北が会えないことはない。しかし成果がなく、政治的目的で1度、形式的に会うことは、私はしない。北が10年間関係を維持してきた(南の)政権が変わったので、北も新しい政権に期待をしていることもあるだろう。新政権についてもう少し具体的な把握が必要だろう。時間がかかるだろうが、我々は、北がより実質的に南北関係を改善するという考えを持っているなら、会うことができる。そういう考えは、これから北に伝えることになる。だから南北関係には、過去10年より実質的な変化をもたらすと期待している。
http://www.asahi.com/international/update/0202/TKY200802010402.html
asahi.com:李明博・韓国次期大統領 一問一答(2)完 - 国際
■米韓関係
――日米韓の協調強化を強調していますが、どう実現しますか。
もともと、米国との関係をみてみれば、修復するということだ。過去、米国との関係は非常にうまくやってきたのだが、この10年間の(うまくいかなかった)関係の修復をめざす。日本との関係は、改善ということができる。われわれが日米との関係を正常化することは自然なことだと思う。6者協議で(北に)核を放棄させることにおいても、このような関係を維持するのがいい。
私はアジア外交を重視する立場をとっているので、韓日関係もそうだし、韓中関係、韓ロ関係もそうだ。すべてのアジア国家との関係をうまくやっていきたい。そのような点で、私は韓米日だけではなく、韓中関係、韓ロ関係も強化したい。米国の大統領にはできるだけ早く会いたい。福田首相も25日の就任式に来られるので、そのお返しとして私も日本を訪問するべきだと思っている。
それ以外の国々とも首脳会談は時間ができるたびにやっていきたい。
――朝鮮半島有事の際の韓国軍作戦統制(指揮)権を米軍から移管する時期を再検討する意向があると聞きました。
統制権を2012年になれば、完全に移管するという合意については、すでに交渉が完全に終わり、署名もされている。この問題を再交渉しようと言及することは、時期的にはふさわしくない。まだ、この問題を公式的に言及したことは全くない。現政権下では、その話が出るわけにはいかない。この問題は南北間の関係がどのように改善されるのか、(北の)核がどのように廃棄され、韓(朝鮮)半島平和がどのように達成されるのか、など様々な南北間の関係改善によって、立場は変わってくると私は思う。万一、南北関係が12年までに南北関係の改善が全くみられず、緊張が高まれば、韓米の間で議論をしなければならない事案になるのではないか、という思いを持っている。まだ、米国に公式的に言及する時ではないとみている。
――(昨年6月に調印した)米韓自由貿易協定(FTA)には反対も多いようですが、批准を得るためにどう説得しますか。
米国にとっては牛肉の問題が最も大きい。牛肉の輸入制限を緩和することがポイントだと思う。韓国では、農民の被害対策をしっかり立ててほしいという要求がある。双方ともに異論もあるが、これは盧武鉉政権で合意したことなので、批准も盧政権の任期内にするのが望ましいと思う。最近、(盧大統領に)会ったときも「盧武鉉大統領の業績だから、批准まで成し遂げるべきだ」という話をした。私は根本的な農民対策を立てるつもりだが、これは両国の利益になるので、やらなければいけないと思う。米国でも、上下院議員に対して、この問題が早く批准できるようお願いするつもりだ。
■日韓関係
――盧武鉉政権の後半では、日韓関係がよくありませんでした。どう関係を再構築しますか。歴史問題についての考え方は、盧政権とどう違いますか。
国交正常化以来、長い時間が過ぎ、経済交流や民間の交流はとても進んだが、政治指導者の関係が進まなかったのは事実だ。歴史問題については専門家が開かれた心で討論すればよい。独仏が学者の長期間の討論を通じて一つの教科書をつくったように、我々も専門家に任せ、両国は未来に進まなければならない。
私たち隣国同士が頻繁に会って、懸案について話し合えるような関係に発展させることができればいい。福田首相とも電話でシャトル外交をしよう、日帰りもできると話した。両国の発展にも役立ち、北東アジア全体の発展にもつながる関係にしたい。福田首相はアジアを重視しているのだから、今後、日韓関係が未来志向的になる良い機会が来たのではないかと思う。
日本は世界2位の経済大国なのだから、それにふさわしい外交というか、アジアの国々とも成熟した外交が可能だと私は信じている。歴史上の問題(の解決)は日本の判断に任せ、私は未来に向かって進もうと思う。
――歴史問題の克服で日本に何を求めますか。
小泉元首相については経済、行政改革などを高く評価している。しかしアジア、特に韓国、中国などとの関係ではあまり成功しなかった。福田首相はアジア外交を重視し、少し進んだ政策を持っているので、韓国は具体的な要求よりは、より成熟した関係に移ろうと思う。あえて言うなら、日本の国内政治のために国際関係が損なわれることはないようにしてほしい。それは日本だけのことではないが。
――交渉が中断している日韓自由貿易協定(FTA)についての方針を聞かせて下さい。
FTAについては、欧州連合(EU)との交渉はほぼ終わった。8月には署名に至り、サルコジ仏大統領が来る。日本とも積極的に進めなければならない時期に来ている。
――北朝鮮による拉致問題については、どう対応しますか。
日本が拉致問題に多大な関心を持っていることは知っている。自国民の保護のことだから十分に理解している。この問題は北との6者協議が進展すれば、おそらく同時に解決してくるのではないか。私はそう思っている。
南北間でも(韓国)軍の捕虜の問題とか、漁師の拉致、離散家族の再会問題などがある。私たちも次期政府で懸命に解決に努力する。
――天皇陛下の訪韓についてどう考えますか。
天皇の韓国訪問に何らかの制限があるとは思っていない。訪韓はいろんな側面で意味が大きいと考える。それに相応する様々なことがらを解きほぐしていけば、私は天皇の訪韓を歓迎する。新しい韓日関係を未来志向的なものにする大きなきっかけにもなるだろう。
http://www.asahi.com/international/update/0202/TKY200802010403.html