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1月7日(月)
ヒル米国務次官補が今日から韓国、日本、中国、ロシアの4カ国を歴訪します。6か国協議の合意事項であった北朝鮮の核施設の無能力化と核計画の申告が年内までに完了しなかったことへの対応協議が目的です。
ところが、約束不履行を問われていた北朝鮮は4日、突如外務省スポークスマン談話を発表し、昨年末までに核計画を作成し、米国にすでに通報していると反論してきました。また、無能力化作業が遅れたことについては重油供与が遅延しているためその対抗措置として作業を遅らせていると釈明しています。北朝鮮は「行動対行動」の原則に基づき、米国によるテロ支援国指定解除や対敵国通商法の適用終了が必要との立場を重ねて強調していました。「後出しジャンケンは許さない」というのが北朝鮮の立場のようです。
北朝鮮の唐突の発表に対してヒル次官補は昨年12月の訪朝の際に一部口頭による通報を受けたことは認めたものの、「公式な文書ではなかった」と説明しています。「申告内容をめぐって非公式な論議を行なったにすぎない」というのがヒル次官補の認識です。そのうえで、ヒル次官補は「北朝鮮は完全かつ正確な申告を行わなければならない」とし、完全かつ正確な申告とは「すべての物質や施設、計画を網羅することである」と釘を刺しています。
また、申告の焦点の一つである、ウラン濃縮問題についても米国は申告がないとの立場に対して北朝鮮は「一部の軍事施設まで(米国に)特例的に視察させ、問題のアルミ管はウラン濃縮とは関係がないことをすべて説明した」と、双方の主張は完全に対立しています。さらに、もう一つの焦点である北朝鮮とシリアとの核協力疑惑についても依然として解明、解消されていないようです。
ウラン濃縮開発疑惑については米紙が「北朝鮮が米国に提供したアルミ管に濃縮ウランの痕跡が見つかった」と報道したことで米国内では疑念がさらに深まっています。しかし、その一方で、痕跡がついていたことについては米国内でもパキスタンから持ち込まれていた時点で付いていた可能性もあるとの指摘や、これだけではウラン核開発はできないとの楽観論も出されていることから交渉による解決は可能と考えられます。
また、北朝鮮とシリアとの核協力疑惑についてもヒル次官補が米上院外交委員会の非公開公聴会で「拡散が過去にあったにしろなかったにしろ、現在、将来にわたって起きないように注視し続ける必要がある」と述べているのをみると、やはり過去を不問とし、将来拡散させないというのがブッシュ政権の方針であることがわかります。
「申告済み」に対して「未申告」「完全な申告ではない」との米朝の立場の相違は、「解決済」「未解決」で対立する拉致問題への日朝の見解の違いと酷似してきました。なにをもって申告とみなすか、完全な申告とみなすかの定義がはっきりしていないことが原因のようです。
仮に、北朝鮮による申告が口頭によるものならば、これは論外です。外交上は公的文書による申告でなければなりません。従って、北朝鮮は文書で申告を提出すべきです。問題は「完全で正確な申告」の中身です。北朝鮮が「これ以上申告するものはない」と言っても米国が「不完全、不正確である」と受理しない限り、核問題は進展しません。このギャップをどう埋めるのか、まさに第二段階の最大の障害です。