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アジアの子供撮り続けて・・・笑顔くれた笑顔返した【読売】
http://osaka.yomiuri.co.jp/izumi/iz80106a.htm
「笑顔って伝染すると思いませんか」と、子供たちの写真を紹介する河合さん(広島県三原市の自宅で) 心にカゼをひいたとき、涙がこぼれ落ちそうなとき、はじけるような笑顔に出会ったら、ちょっぴり元気になれそうな気がしませんか。そんな人がいたなら、さあ、さっそく見てください。きょうの「泉」の写真を。そこに写る子供たちの破顔やほほ笑みを。
笑顔の主は、アジアや中東の児童養護施設で暮らす子供たち。撮影したのは、広島県三原市のアマチュア写真家、河合美果さん(36)です。
親と死に別れたり、虐待を受けたりした子供らを、河合さんが訪ね歩くようになったのは3年前。タイ西部のカンチャナブリにある児童養護施設「ムーバーンデク」にボランティアとして滞在したのが、「笑顔に恋した」はじまりでした。
高校卒業後に進んだ美術大を、目的が持てずに中退。劇団の手伝い、英会話講師など職を転々としましたが、「いつも心が満たされなかった」といいます。
2004年夏のことです。転機がやってきたのは。自分探しの旅に出かけたイスラエルで、知人から、ブランコで遊ぶ男の子の写真を見せられ、突然に思いがこみ上げました。「ああ、この子に会いに行きたい」と。飛行機で向かった先、それが、彼の暮らす「ムーバーンデク」でした。
施設では、3歳から大学生まで約150人が共同生活していました。幼児クラスの手伝いや遊び相手をするうちに、子供たちは「ミカ」と呼んで、慕ってくれるようになりました。
ある日、腕のなかで甘える子供のあどけない顔を見ていて、ふと、壮行会で友人が手渡してくれた一眼レフカメラを思い出しました。撮るのも撮られるのも好きでなく、ほとんど取り出したことはなかったのですが、「この姿を残しておけたら」と強く思ったのです。それから、境遇や心の傷のせいか、無表情だったり暴力的だったりする子供たちの、一瞬の笑顔をみつけては、シャッターを切るようになりました。
約2か月後、一時帰国するとき、河合さんに抱きつく9歳のナンちゃんを、二つ違いの妹インちゃんが、その一眼レフで撮ってくれました。日本で現像して驚きました。写真には、心の底から笑っている、もしかしたら、子供たち以上に笑顔の自分がいたからです。
「私の笑顔をこんなにステキに思えるとは。そして、こんなにもうれしい気持ちになれるなんて」。心を覆っていたモヤモヤはいつの間にか吹き飛び、自分を笑顔にしてくれた子供たちへ恩返しをしたい、ただただ、そう感じました。
思いついたのは、撮りためた写真をアルバムにして、プレゼントすることでした。翌年、A4判の台紙にはって施設に渡すと、自身の〈成長記録〉を持ったことのない子供たちは、何度もながめて喜んだそうです。父親の名前を知らず、いつも無表情だった8歳のネック君は、白い歯がのぞく無邪気な横顔を見て、「これ、僕じゃないよ」とはにかみました。
カメラや写真の技術を学んだことは一度もなく、「心と瞬発力だけでシャッターを押している」と河合さんは言います。けれど、どれもこれも、被写体の体温が、笑い声が、伝わってくるような写真ばかりです。
アルバイトで渡航費をためては、各国の施設を訪ねて「成長アルバム」を贈る、河合さんの「スマイルワールド・プロジェクト」。活動内容はホームページ(http://smileworld.main.jp/)でも紹介しています。
あけましておめでとうございます。みなさんの初笑いは、どんな場面だったでしょうか。大人も、子供も、たくさんの笑顔が広がる一年でありますように。
(2008年01月06日 読売新聞)
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