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十二日投票の台湾立法委員(国会議員)選挙まで十日を切った。今回の選挙は、陳水扁総統が率いる与党・民進党と最大野党・国民党が、三月二十二日の総統選に向けての前哨戦と位置付けている。定数は二二五からほぼ半減した一一三。小選挙区比例代表並立の新制度で行われる。国民党が単独過半数(五七議席)に届く圧勝の勢いを見せる一方で、与党連合を組んでいた民進党と台湾団結連盟(台連)は決裂している。
(香港・深川耕治、写真も)
馬氏の無罪判決が追い風に
苦戦続く陳総統
与党連合決裂 台連は存亡の危機
picture 「台湾」名義での国連加盟の是非を問う住民投票を呼び掛ける聖火リレー最終日(07年11月3日)、民進党の立法委員候補を前に演説する謝長廷総統候補
台北高等法院(高裁)は十二月二十八日、国民党の総統候補、馬英九前主席(57)が台北市長時代の市長経費を流用したとして検察庁から横領罪を問われた控訴審判決で、一審に引き続き、無罪を言い渡した。
馬氏は同日、「どんなに高い山でも太陽の日差しを遮ることできない」との客家人の諺(ことわざ)を用い、「検察が私の証言を歪曲し、記録を改竄(かいざん)したことは許せない。真実が私の無実を証明したが、出発点の一つに過ぎず、最難関の道の始まり」と述べ、総統選を戦い抜く決意を示した。
馬氏は市長在任中の一九九八年十二月から二〇〇六年七月までの間、市長経費の一部で交際費用に充てる「特別支出費」約一千百十七万台湾j(約三千九百万円)を私的に流用したとして検察当局から〇七年二月に起訴された。直後に党主席を辞任し、総統選出馬を表明した経緯がある。同八月の一審に続く無罪判決は三月総統選に向けて清廉なイメージを何とか保持して有権者の信頼を回復し、直前の立法委員選や三月の総統選に「追い風」となってきた。
二審判決直後の台湾紙「連合報」世論調査では、馬英九・蕭万長の国民党正副総統候補への支持率が52%で微増、民進党の謝長廷・蘇貞昌候補は23%で微減。同じく外省人系メディアである「中国時報」の世論調査でも馬蕭ペアの支持率は45%と、謝蘇ペアの24%を大きく上回った。
「半世紀にわたる国民党政権時代の国民党不当資産を返還させ、国の資産を守って福祉を向上させるべきだ。国民党は不正蓄財を守って国の資産を貪(むさぼ)り、少数の人々だけを豊かにしている」。二十九日、台北で民進党の立法委員候補を支援する集会に登壇した陳総統は、民進党政権誕生前までの国民党の不正蓄財資産を返還するよう有権者に呼び掛けた。 今選挙では、与党が求める「国民党の不当資産を返還させるべきか」と、野党が求める「政権与党の腐敗追及を行うべきか」の二点を問う住民投票も実施され、民進党と国民党の信任投票の様相もはらむ。
〇四年十二月十一日の先回選挙以来、約三年一カ月ぶりとなる今選挙は、従来の中選挙区制から小選挙区制に移行。議席数が百十三議席にほぼ半減するため、大政党に有利で、小政党は比例区で生き残る以外ない。二大政党化がさらに進むのは必至だ。
最大野党・国民党は馬英九人気を追い風に小選挙区で順調な集票固めを続け、単独過半数に達する勢いで、六十議席突破も現実味を帯びてきている。陳総統の出身地である台南でも国民党の議席獲得の可能性が出ている。
国民党は〇七年四月に就任した呉伯雄党主席の手腕で第二野党・親民党や無所属系との野党連合に成功し、親民党の候補者も国民党候補として小選挙区六人、比例四人が出馬。小選挙区と比例を合わせて四、五議席程度獲得できそうだ。
選挙序盤で先手を打ったのは劣勢が否めない与党・民進党。「台湾人意識」を高揚させる戦術を使い、「台湾」名義での国連加盟の是非を問う住民投票を推進。さらには「中正紀念堂」を「台湾民主記念館」に改名するなど正名政策による脱蒋介石化キャンペーンを展開し、台湾本土化路線で中間層の票獲得を目指したが、二期八年の政権実績への不満は根強く、地方経済の景気低迷で民進党の支持率は伸びないまま苦戦が続く。党主席を兼務する陳総統は今選挙で民進党の議席獲得目標を五十議席に定め、すでに過半数割れを前提とした戦いをしている。五十議席に届かない可能性も濃厚なほど劣勢だ。
さらに民進党は李登輝前総統が陳総統と離反することで李氏が精神的指導を行っている台連との与党連合結成に失敗。台連の立法委員の中でも民進党に近い議員らは台連を除名されるか離党して党内の求心力が低下した。
李氏は陳政権が推進する台湾名での国連加盟運動を「選挙の道具にしている」と反対し、陳政権の汚職腐敗体質を繰り返し痛烈批判。中道左派を含めた「第三勢力の再結集」を呼び掛けて独自候補を擁立しているが、党存亡の危機となる厳しい戦い。小選挙区での議席確保は難しく、比例で議席獲得できるかどうかの瀬戸際だ。
小政党では議席獲得が微妙な統一派の新党のほか、台湾農民党や第三社会党などの新政党はいずれも小選挙区での議席獲得は困難で、比例で得票五%を突破できるかが議席確保のめどだが、苦戦を強いられている。
【台湾立法委員選挙】台湾の国会議員に当たる立法委員の選挙。一院制の立法院(国会=定数二二五)は今選挙から定数が一一三にほぼ半減。任期も三年から四年に延長する。選挙では小選挙区七三(旧来は一六八)と先住民区六(同八)、比例代表三四(同四九)の議席枠を争う。比例代表では二つの支持政党を選んで投票する新方式に変わり、小政党の存亡とのかかわりが注目されている。
http://www.worldtimes.co.jp/w/asia/asia2/kr080103.html