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ナブルスで殺されたひとりの少年、ジャミール(P-navi info)
http://www.asyura2.com/0610/war86/msg/927.html
投稿者 gataro 日時 2006 年 12 月 16 日 09:25:08: KbIx4LOvH6Ccw
 

http://0000000000.net/p-navi/info/news/200612160622.htm から転載。

2006.12.16

ナブルスで殺されたひとりの少年、ジャミール

「3日(日)の午後、ナブルスに侵攻していたイスラエル軍は、アスカル難民キャンプの近くで、石を投げていた少年たちに実弾を発射。15歳のジャミール・ジャバジさんが頭部を撃たれて、殺された。この3日までで、「停戦」以降殺されたパレスチナ人は5人になった。」

これはここに私が6日に書いた文章だ。ひとりの少年が殺されたことに対して3文のみ。これ以外のソースがなかったからだ。少年はかろうじて名前と年齢を持っているが、単にそれだけで他には何もわからない。この少年の殺害は世界のメディアのどこにも出ていなかったように思う。

イスラエル、ハアレツ紙のギデオン・レヴィ記者がこのジャミール少年のことを取材して書いた文章が発表され、このときの状況と少年の名前だけではない輪郭が少し明らかになった。

アスカル難民キャンプに住むジャミール少年は、地元のコミュニティ・センターで演劇クラブに入り、空手では松濤館空手協会の黄帯を持ち、サッカーチームではゴールキーパーをやり、ボーイスカウトにも所属していた。馬を愛し、朝6時過ぎには自分の馬の世話をしに厩舎に出かけていた。

12月3日、学校から戻ってきたジャミールは、演劇クラブに行く前に厩舎に愛馬のムサハールの世話をしに行っていた。砂糖を与え、ブラシをかけることをジャミールは欠かしたことがなかった。その頃、アスカルキャンプの少年たちはイスラエル軍の車両がゆっくりとキャンプのほうに向かってくるのを、オリーブ林の崖の上から見ていた。軍用車は少し走っては止まる。

その少し止まって動き出す動きは少年たちには挑発に思えた。ジャミールや同じ年頃の少年たちが集まり、いっせいに崖の上から石を投げつけた。軍用車はストップ・アンド・ゴーを繰り返す。車が近づいても少年たちは投石をやめなかった。ジャミール少年はちょうど中央にいた。やがて軍用車は崖に近づいたところで完全に止まり、中から2人の兵士が降りてきた。そして、催涙弾でもラバーコートメタル弾でもなく、実弾を4発少年たちめがけて撃った。

ジャミールは最も背の高い少年だった。だから、狙われたのかもしれないとレヴィ記者は書いている。銃弾はジャミール少年の額から入り、首から抜けた。一緒にいた少年たちはパニックで逃げたが、2人の少年が撃たれたジャミールを運ぼうとした。しかし、大きなジャミールを運ぶことはできず、近くに住んでいるアリ・アブ・サファナさんがやってきて、タクシーに乗せ、ナブルスのラフィディア病院に運ぶことができたが、そこでジャミールは死亡しているとの宣告を受けた。

テーブルもないジャミールの家ではお祖母さんがベッドの上に横たわり、花に飾られた写真のジャミールをみつめていた。お祖母さんはリッダ(イスラエルの現ロッド)の出身で78歳。ジャミールは一番若い孫だった。ジャミールの母親、ワフィヤさんはすすり泣き、ベッドの下からジャミールのカバンを取り出して床に叩きつけた。「彼らはジャミールが「お尋ね者」だったというの?夜には自分一人で庭に出ていくことも怖がっていたのよ。私がいつもついていっていたほどなのに」。

ジャミールの父親は現在家にいない。ずっとブネイ・バラク(*たぶんイスラエル内)のソーセージ工場で働いてきた父親は、ジャミールの兄である19歳の息子ハミスが重病で手術を受けるために、ともにヨルダンに行っていた。ジャミールの葬儀のために戻ってくるお金はこの家にはなかった。

ジャミールが通っていた地元のコミュニティセンターでは、ガラスのドアにジャミールの写真が貼られていた。所長のアブ・サラヤ氏は、ジャミールがセンターのすべての活動に参加していたという。なかでも演劇が一番気に入っていたとも。

「私たちはもう二度とイスラエル軍にアスカルへ来てもらいたくない。子どもたちに石を投げさせるのをやめさせることは難しい。ここには軍の基地はなく、ただ難民キャンプがあるだけだ。オリーブ林は子どもたちが混み合ったキャンプを抜け出して、新鮮な空気を吸える唯一の場所なんだ。そこで殺されたのはジャミールが最初ではない。

イスラエルは少年を殺したとは言わない。彼らは兵士の命を危険にさらした「誰か」を殺したと言うんだ。けれど、どうやって子どもが兵士の命を脅かせる?時々彼らは少年は武装していたというが、子どもがライフルを持てるかい?いったい何の言い訳で結局ここに来ているんだ?もし自分の国を守りたければ、アスカルには来ないでくれ。ここからじゃテルアビブは守れない。アスカルはテルアビブを脅かすことはないんだ」

サラヤ所長はこのように話した。

(原文: Twilight Zone / Death sentence (Gideon Levy, Haaretz, 14.12.06)よりダイジェストして再構成)


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「少年の頭に狙いをつけていた兵士は何を考えていたのだろう?兵士は今も自分の犠牲者のことを考えているだろうか?装甲車に石を投げているとしても、子どもたちに対して実弾を使わなければならなかったのだろうか?兵士たちは他の手段を持っていないのか」

とレヴィ記者はこの記事の冒頭部分で書いています。軍はこの出来事を調査するとは言っているようですが、同じようなことの繰り返しで、少年が撃ち殺されることは止みません。

投石していて撃ち殺される少年の死。この記事のおかげで、ひとりの少年がじつに他愛なく命を奪われていることを実感します。そして、まったく取り上げられもせず「ありふれた」出来事にパレスチナではなってしまっていることにおののきます。

少年を殺した兵士の頭をよぎっていたのは何だったかと私も知りたいと感じます。パレスチナ人への憎しみ?愛国的行動を取っているつもりの自分へのナルシズム?サディスティックな快感?それとも、石への恐怖だったのでしょうか。

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