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米イラク研究グループ(ISG)の動向とブッシュの黄昏(JR貨物労組)【イラク戦争の今後はブッシュでなくISGが決める】
http://www.asyura2.com/0610/war86/msg/765.html
投稿者 竹中半兵衛 日時 2006 年 12 月 09 日 16:21:00: 0iYhrg5rK5QpI
 

(回答先: □米英会談後もブッシュは虚勢/注文相次ぎ、増刷の人気 「イラク研究グループ」報告書 [イラク情勢ニュース] 投稿者 white 日時 2006 年 12 月 09 日 00:48:09)

米イラク研究グループ(ISG)の動向とブッシュの黄昏

http://www2.ttcn.ne.jp/~jrfu/

JR貨物労組『資料室情報』06.11.30(No.63)
PDF資料をテキストファイル化し、改行位置やページのレイアウトを変えました。
ついでに誤字を何箇所か訂正しました。


最初に

最近しきりに報じられて、その動向が注目されているのが、米の「イラク研究グル
ープ」である。

かの米の中間選挙の結果は、共和党ブッシュの歴史的大敗となった。この結果はイ
ラク戦争等に対する米国民の広範な厭戦観を反映したものであるといえよう。

ブッシュの米は、反テロ戦争を振りかざしてアフガン、イラク戦に突入した。
当初はごく短期間で決着する、とした戦争はその思惑を越えて長期化し、しかもアフ
ガンやイラクの人々を大量に殺戮するばかりではなく、日増しに米兵の犠牲者も増大
している。

こうした現実に対する米国民の意志の表明が中間選挙の結果でもあるのだ。

実際に中間選挙の直前までブッシュ大統領は「反テロ戦争の戦略は不変だ!」と述
べ、チェイニー副大統領やラムズフェルト国防長官と共に「米は勝利まで闘い抜く」
と豪語していたのである。

だが注目すべき事は「戦略は不変だが戦術については云々」などとも述べ始めてい
ることである。

これは明らかに、投票を前にして共和党の不利という状況を認めざるを得ないが故
に、ブッシュは、イラク戦争に関しての何等かの政策の変更を示唆する発言を行って
いるものであろう。

だが、その足元が大きく崩れ、共和党は歴史的な敗北を期したのであった。

その衝撃の大きさはラムズフェルト国防長官の更迭に踏み切らざるを得なかったほ
どである。

こうした動きの中にあって、私たちはアフガン・イラク戦争に対する米のスタンス
の変化について注目したいと思う。

その一例が「イラク研究グループ」の存在と、その性格、働き、及びその目的等に
ついて、私たちは検討しなくてはならない大きな課題なのであると思う。

「イラク研究グループ」はブッシュ大統領の諮問機関としてイラク戦争の今後につ
いて「提言」を行う予定である。

その内容は、今後イラクからの段階的な撤退などをも含めた、「イラク戦争の今後
について」をブッシュ政権に対して提言する報告書づくりであり、現在急ピッチにそ
の作業は進められている。

特徴は、イラク研究グループが、民主党と共和党の長老を網羅して超党派で構成さ
れていることであり、そして今春に発足していることにまず注目しなくてはならない
だろう。

従って私たちは「イラク研究グループ」の性格について考える場合、とりわけ現在
イラク戦争が泥沼化状況に陥っていること、そこからの脱却について超党派で構成
される諮問機関がつくられて、すでに活動していることに関心を寄せるべきである。

私たちは、このような米の戦争政策につき従うばかりか、最高規範としての憲法を
踏みにじって、禁じられている軍事行動を積み重ね、それを既成事実化させているの
が安倍内閣であり、その戦争政策と闘わなくてはならないのである。

特に小泉→安倍内閣は、改憲策動を先にすえつつ実質的にはすでに9条をずたずた
に引き裂いているのである。

私たちは戦争政策を許さず、改憲阻止の闘いをより強固に構築するために、米国に
おける「イラク研究グループ」の動向について検討しなくてはならないであろう。

イラク研究グループとは?

周知のようにラムズフェルト国防長官は更迭されて、後任にはゲーツ元CIA長官
が就任した。

ゲーツはブッシュの父が大統領の時にCIA長官を努めていた人である。

このゲーツ長官は、イラク戦争開始に際して、背後でこの戦争開始を強力に主張し
たネオコン(米の新保守主義)に比べると、「慎重で現実主義的な人」(米マスコミ評)
などと評されていることから、今後米軍部隊の構成や配置の見直しなどについて、微
妙に変るのでは?という観測がしきりに流れているようである。

何故ならゲーツは大統領の諮問機関「イラク研究グループ」の一員であるからだ。
そのような関係から、今後のイラク駐留米軍の段階的な撤退や、イラクの武装勢力を
支援しているとされる周辺国(シリア、イラン)などとの対話などについて、イラク
研究グループが提言するであろうことについて、しきりに報じられているのである。

※ ゲーツは国防長官就任によって研究グループから外れた。

さてこうした「イラク研究グループ」(以下ISGと略す)は共和党のベーカー(父
ブッシュ大統領の時の国務長官)と民主党のハミルトン(元下院外交委員長)が共同
議長を務めている機関である。

故にISGは「ベーカー・ハミルトン委員会」とも言われている。

すなわち、共和党と民主党の長老二人がトップに座り、その下に委員や60人程度
の専門家からなる顧問団も、共和、民主両党から均等に指名された、超党派の組織と
なっていることが特徴である。

ところで、ブッシュが中間選挙に敗北したことを契機に、イラク戦争についての従
来とは異なる発言をし出していることは、このISGの存在を反映したものであると
言えよう。

ちなみにISGの主なメンバーは以下の通りである。

=共和党=

◎ ベーカー(父ブッシュの時の国務長官)
ロバート・ゲーツ(国務長官就任で外れた)
エドウイン・シース(レーガンの時代の司法長官)
サンドラ・オコーナー(前連邦最高裁判事)
アラン・シンプソン(元上院議員)

=民主党=

◎ リー・ハミルトン(9・11テロ独立調査委員会副委員長)
バーノン・ジョーダン(クリントンの相談役)
レオン・パネッタ(クリントンの首席補佐官)
ウイリアム・ペリー(クリントンの時の国防長官)
チャールス・ロフ(元上院議員)

※ ◎は共同議長

以上のような長老達を網羅してISGは構成されている。

すでに11月13日には、選挙後のブッシュとの話し合いを行っているのであり、
これについてブッシュは記者会見で、「彼らの質問に強く印象づけられた。良い話し
合いだった」などと述べている。
さらに記者団の「ISGの作成する報告書については?」の問いに「ベーカーらの報
告書について予断を持つことは避けたい。どういう内容になるか判らないが、内容に
期待している」と慎重に応えている。

一方、民主党のレビン上院議員が、同様の記者会見で、イラク駐留米軍について「今
後4〜6ヶ月で段階的な再配置を始めるようブッシュ政権に要求すべきとの考えで民
主党内の多数派は一致している」と述べていることから、従来にはなかった「段階的
な再配置」などについて米議会の多数派が示している事に注目すべきであろう。

※レビンは来年1月からの新議会で上院軍事委員会に就任する予定である。

米議会の上院・下院で多数派となった民主党の今後のイラク戦争に関する方針は、
当然にもイラク研究グループ内に於いても主張されるのである。

故にISGは,今後の対イラク戦のみならず対中東政策について大きな影響をもた
らす存在となっている。

更にISGは11月14日にはイギリスのブレア首相と衛星中継を利用した会談を
行っている。

ブレア首相は、イラクの事態打開について「中東和平が重要」という見解を繰り返
し述べているようである。

だがブッシュの盟友として、アフガン・イラク戦争に諸手を挙げて賛同し、英軍を
国民の反対を押し切って送り込み、今やそれが「失敗」であったと自認するような発
言を行っているのが最近のブレア首相であるのだが・・・。

余談ではあるが、ブレアの英国ではブッシュは金正日より危険であるという世論調
査の結果が明らかにされているのだ。(英ガーディアン紙)

さて、こうしてISGは急ピッチに作業を進め12月上旬には「報告書」を明らか
にするスケジュールである。

今日までに判明しているISGにおける主な論点は

@ 米軍がイラクに駐留する規模などの見直し。この点について民主党は「段階的再
配置」つまり、イラク国内の駐留規模の縮小を要求。段階的に撤退することや規模の
縮小が焦点となる模様である。

A 周辺国との対話の重要性、イラク・シリアとの対話。イラクに於ける、いわゆ
る武装勢力は米軍にとっては、頑強な抵抗勢力でもある。そして、武装勢力と周辺国
はイスラム教という強い共通基盤があることから、周辺国との対話=外交路線を強化
する。すなわちシーア派などを通じたイラクへの影響力に着目する外交路線の活用。

B イラクの治安確立のために連邦制の検討。イラクをシーア派、スンニ派、クルド
人で三分割、内戦を鎮める効果を期待する。反面、石油収入争奪が起きる懸念から、ベ
ーカーなどは否定的である。
C 他
こうした論点について、ISGは集中的に論議を行っていると推定されている。

ブッシュの黄昏

ブッシュ防波堤失う、という見出しの報道がある。それには「イラク戦争の推進役
が次々と退場してしまいブッシュが困惑している」などとも報じられている。

実際に01年のブッシュ政権発足以来、ネオコン色の強いチェイニー副大統領と共
にポストも不動であったのがラムズフェルト国防長官である。

その更迭は、ブッシュの二本柱の一本が抜けることであり、政権の弱体化が一層進
むことを意味するものである。

例えばラムズフェルト国防長官は、9.11同時テロ後の戦争を含む対テロ対策を
主導する「戦時体制チーム」を象徴するような存在であった。このチームは、アフガ
ン・イラクへの軍事行動を主導したばかりか、かの「ならず者国家論」や「悪の枢軸
論」を押し出して、テロリストには先制攻撃を辞さないというブッシュドクトリンを
当時策定しているのである。

だがしかし、その主要なメンバーの多くは政権が二期目に入る前後から、次々と政
権から去っている。

ブッシュの黄昏である。

たとえばウルフォウィッツ国防副長官、そしてボストン国務次官、ルイス・リビー
副大統領首席補佐官、リチャード・パール国防政策委員長、・・・など。

こうした最強のネオコンは去り、他方ネオコンではないが、ブッシュを支えていた
パウエル国務長官やアーミテージ国務副長官もこの間に辞任している。

あるいは、フセイン政府による大量破壊兵器保有情報を報告したテネットCIA長
官や、強硬なテロ対策を国内で進めたアシュクロフト司法長官も批判を浴びて政権か
ら去っている。

かくして残ったのが、チェイニーとラムズフェルトであった。その一人が更迭とい
う形で辞任しているのである。

このように、ブッシュを引っ張ってきたネオコンと言われる重鎮がほとんど政権か
ら去っている状況であることに注意すべきである。

ブッシュの開戦当時における「かかってこい!」という与太者まがいの発言があっ
たが、そんな超強硬路線から一転して、民主党にすり寄ろうとしているのである。

その呼び水として、イラク研究グループの存在と提言を利用しようとしているので
あろう。

なぜならば、今年3月にISGが発足したとき、政策のベテランとはいえ第一線を
去っている古株たちの論議など、一体誰が注目するのだろうか?と思われていたISGであった。

だが、共同議長を務めるベーカーは、引き受ける際に、それが大統領の意志であり
要望であることを確認し、その活動についてラムズフェルト国防長官に口をはさませ
ない確約をとりつけて、就任したと言われている。(ニューズウイーク11−22号)
こうした経緯から、ISGは単なる存在ではないだろう。

要するにイラク戦争についての今後は、ブッシュが決めるのではなくISG等に委
ねられるという形となる。

それは同時に、ブッシュ政権としての今後のイラク戦争について、何らかの変更を
促すものとして、すでに今春に設定されていることに注意しなくてはならない。
けれども、たとえその路線が変更されるのだとしても、それは平和のために闘う者に
とって、徹頭徹尾反労働者的な施策であることは間違いの無い事である。

長期化し泥沼化する戦争

言うまでもないがネオコンとは、米国の新保守主義を言う。

その理念は、米国の国益を最優先とするために、対外政策は強硬姿勢を必然化させ
る。

当初ブッシュはネオコンに近づき、その助言を得て9.11以降、対アフガン対イ
ラク戦争を開始したのであった。

ブッシュの戦争観は、ネオコン的な国益最優先と、9.11に対する反テロ報復=
反テロ戦争(先制的攻撃論)が付加されている。その戦争開始からすでに5年以上が
経過した。

ところで米メディアの調べでは、米国の戦争歴史で最も長期間だったのは次の通り
である。

1 ベトナム戦争64年8月〜8年5ヶ月
2 独立戦争6年9ヶ月
3 アフガニスタン戦争5年1ヶ月
4 南北戦争4年

となっている。
イラク戦争は03年3月20日から今日(11月26日)までで、なんと太平洋戦
争の期間1348日を超えている。

まさに戦争の長期化である。

もはや明確であろう。アフガン・イラク戦争は長期化し、しかも戦況はドロ沼化し
ている。そうした中で犠牲者がますます増加しているのである。

その様子はベトナム戦争の末期を彷彿させるものである。

かかる現実の反映こそが、米国民を覆う厭戦観の蔓延なのであろうか。

しかし私たちが目指すものは厭戦ではない。反戦であり平和であることを深く自覚
して更に闘い抜くのでなくてなならない。自らの戦争の長期化と、犠牲の増大によろ
めくブッシュ。その戦争の正当化を断じて許してはならない。

同時にブッシュとブレアの誓約に加わって、イラクに派兵し、現在に於いてもアフ
ガン攻略の為の艦艇に、わざわざ給油活動を行う為に海上自衛隊を送っているのが日
本である。

こうしたわが日本の戦争政策への加担を許さないために私たちは更に奮闘しなくて
はならない!

追記

11月末にISGは活動を強めて、超党派としての報告書の大筋について合意した
ようである。

この合意を元に12月6日にはISGとしての報告書が明らかにされる予定であ
る。

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