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中間選挙から1ヶ月も経つというのに、ブッシュ大統領はイラク政策についてなんら新しい政策を打ち出せないでいる。そんな中でブッシュ大統領が見せた最初の中東外交がイラクのマリキ首相との首脳会談だ。
ある番組でこの会談の意義を聞かれた私はこう答えた。ここにすべての答えがある。
問=ブッシュ・マリキ会談は意味があったのか。
答=国民からまったく信頼されていない2人の「禁治産者」の会談から意味のある成果など生まれるはずはない。打つ手のないブッシュのパフォーマンスだ。
問=スンニ派、シーア派の報復の応酬はどうなるのか。
答=スンニ派、シーア派の宗教対立をここまで悪化させたのは米国だ。ブッシュがその非を認め米軍を一日も早く撤退させる。そこからすべては始まる。
問=米国の撤退はあるのか。
答=それが米国の最大のジレンマだ。ブッシュとしては撤退すると口が裂けても言えない。それは敗北を認めることだ。テロを勢いづかせることになる。しかしこのまま米軍駐留を継続するわけにもいかない。ブッシュとしてはマリキがイランやシリアと協力して治安を回復し、米軍撤退の口実を作ってくれることを期待するしかない。
問=米国のイラン、シリアに対する姿勢は変わるのか。
答=そこが米国のもうひとつのジレンマだ。イラン、シリアはともに「テロ」支援国家である。特にイランは「悪の枢軸」国家であり、核兵器保有に固執している。ブッシュとしては正面からイランに協力を求めるわけにはいかない。
問=イラクのほかにパレスチナ、レバノンでも内戦状態になっている。中東全体の情勢は今後どうなるのか。
答=3年半前に米国がイラクを攻撃した時、レバノンで語られていた最悪のシナリオは中東各地でクーデターが連鎖的に起きるというものだった。さすがにそこまでの混乱は起っていないが、イスラエルのパレスチナに対する強硬姿勢が続くとどうなるかわからない。それこそエジプト、サウジアラビア、ヨルダンといった親米アラブ国家の指導者が最も恐れるところだ。
問=そうした状況にたいして日本ができることはあるのか。
答=ない。中東情勢に中立であった日本は、「ブッシュ大統領は正しい!」と叫んで自衛隊をイラクに派遣した時点で完全に米国、イスラエルの従属国となったことを世界に宣言した。もはや日本が出る幕はない。
(隔月曜掲載)
「日刊ゲンダイ」2006/12/5 (4日発行)