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元露スパイ死亡で深まる謎…外務省元主任分析官・佐藤氏に聞く
http://hochi.yomiuri.co.jp/topics/news/20061125-OHT1T00069.htm
亡命先のロンドンで毒を盛られたとされ、入院中だった情報機関のロシア連邦保安局(FSB)の元幹部リトビネンコ氏が23日、死亡した。病院当局者が明らかにした。ロシアの情報機関の関与も疑われ、英警察が捜査に着手。だが、ロシア側は関与を否定しており、謎は深まるばかりだ。果たしてロシア政府は関与しているのか? 背景は? ロシアと太いパイプを持つ外務省元主任分析官・佐藤優氏(46)=休職中=に、今回の事件について聞いた。
英メディアによると、40代のリトビネンコ氏は今月1日、ロンドンの日本食レストランでイタリア人の情報源と接触。プーチン政権批判を展開していたロシアの著名女性ジャーナリスト、アンナ・ポリトコフスカヤさんが先月、モスクワで殺害された事件の情報を入手した後、体調を崩していた。
英国では、この「毒殺事件」が波紋を広げている。リトビネンコ氏はプーチン政権への厳しい批判で知られ、英メディアはロシア情報機関の関与を主張する関係者の発言を大々的に報道。ロシア側は「まったくナンセンス」(大統領府)と強い不快感を表明している。
佐藤氏は“ロシア情報機関の関与”説について否定した。
「まず、今回の事件で誰が得をするかを考えないといけない。ロシア政府は何も得をしません。関与していないでしょう。イギリスの“情報戦”の可能性があります。今回の事件はストーリーができすぎている。中東情勢が緊張してきていて、(欧米への)ロシアの影響力が強まることへのけん制の意味があるのではないでしょうか」
21日付の英主要紙は、髪が抜け、集中治療室(ICU)で治療を受けるリトビネンコ氏の写真を1面に掲載。「毒物使用はロシア情報機関のお家芸」(インディペンデント紙)などと疑惑を指摘する論調が並んだ。
詳細な死因は不明だが、重金属のタリウムか、放射性物質を飲まされたとの推測もある。FSBは旧ソ連国家保安委員会(KGB)の後進。冷戦時代にKGBや東欧諸国の情報機関が毒物を使用したため、毒殺は「KGBの手法」との見方が根強い。
だが、ここでも佐藤氏は別の見方をする。
「毒を与えるというのは殺しが目的ではなく、警告を与えるという意味。毒を盛られると、人は反射的に慎重になるんです。本当に消そうと思えば、自殺か交通事故に見せかけて消す。ロシアの情報機関が、毒を盛るようなことはしないと思います」
リトビネンコ氏は英国に亡命後、チェチェン独立派武装勢力のテロとされた99年のモスクワのアパート爆破事件について、第2次チェチェン侵攻の口実を得るためのFSBの謀略だったとの暴露本を出版している。
佐藤氏は事件の背景を次のように語った。
「ロシアの政府組織ではなく、マフィアが関与していると思います。チェチェンの利権はいくつかのマフィアが仕切っており、リトビネンコ氏らは、そうしたマフィアの“抗争”に巻き込まれた可能性が高い。今後、ロシア政府は『事実無根』と1か月くらい静観した後、“犯人探し”をしてやられた分だけやり返すでしょう」
◆佐藤 優(さとう・まさる)1960年1月18日埼玉県生まれ。46歳。85年、同志社大学大学院神学研究科修了後、外務省入省。在英国日本国大使館、ロシア連邦日本国大使館を経て、95年から同省国際情報局分析第1課。外交官として勤務するかたわらモスクワ国立大学哲学部客員講師(神学・宗教哲学)、東京大学教養学部非常勤講師(ユーラシア地域変動論)を務めた。著書に「国家の罠」「自壊する帝国」(新潮ドキュメント賞受賞)など。
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(2006年11月25日06時04分 スポーツ報知)