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WHOはイラクでの劣化ウランによるガンの危険性に関する科学的研究を「差し止めた」。
──放射線の専門家たちは未公開の報告の中で、湾岸戦争中に連合国によって使われた劣化ウラン兵器は長期に渡る健康リスクを引き起こすと警告する──
環境問題編集者 ロブ・エドワーズ
米英の劣化ウラン兵器によってイラクの一般市民の健康が長期的に危険にさらされるだろうと警告する専門家の報告書が秘密にされていた。
優れた3人の放射線科学者によって行われたその研究は、放射能と化学毒性を持つ劣化ウランを含むチリを吸いこむと、子供も大人もガンにかかる可能性があると警告した。しかしその報告書は、主筆のケイス・ベイバーストック博士を上席放射線アドバイザーとして雇用している世界保健機関(WHO)によって、公表を妨害された。WHOは否定しているが、博士は意図的に差し止められたと断言する。
ベイバーストック博士はまた、研究が2001年に終わった段階で公表されていれば、米英にとって昨年の戦争での劣化ウラン兵器の使用制限や、使用後の除去への圧力となっていたであろう、との考えも述べた。
戦争中に何十万もの劣化ウラン弾が連合軍の戦車や戦闘機によって発射され、しかも包括的な汚染除去は行われていない。国連環境計画(UNEP)の専門家たちは、汚染を評価するためにイラク入りすることをこれまでのところ許可されていない。
「我々の研究は、イラクで広範囲に使われた劣化ウラン兵器が市民に独特の健康被害を引き起こす可能性があることを示唆している」、とベイバーストック博士はサンデー・ヘラルド紙に語った。
「劣化ウランの放射能と化学毒性が考えられているよりも大きな害を人間の細胞に与えるという科学的証拠がますます増えている。」
ベイバーストック博士は、昨年5月に退職するまで11年に渡りWHOの放射線と健康に関する主席専門官だった。彼は今、フィンランドのクオピオ大学の環境科学科で仕事をしており、最近はイギリス政府の新しく組織された放射性廃棄物管理委員会に任命された。
WHOは、彼がスタッフであった間、カナダのマクマスター大学のカーメル・マザーシル教授および放射線顧問のマイク・ソーン博士との共著である彼の研究を発表することを許可しなかった。ベイバーストック博士は、WHOがより力をもつ原子力推進側の国連機関、国際原子力機関(IAEA)に脅されたのではないかと疑っている。
「私は研究がWHOによって検閲され、差し止められたのだと思う。というのは、その結論が彼らにとって気に食わなかったからだ。いままでの経験では、WHO当局は原子力推進を任務とするIAEAからの圧力に屈服したのだ」と、彼は語った。「研究を公表していれば、イラクで劣化ウラン兵器を使うことのリスクを、権威者たちに前もって警告する手助けになっていたと考えられるだけに、単なる不幸にはとどまらない。」
しかしながら、これらの主張をWHOは「全く根拠がない」として退けている。「IAEAの役割は非常に小さい」と、ジュネーブのWHO放射線環境健康調整官のマイク・レパコリ博士は述べた。「その論文は、その一部が、WHOが召集した国際専門家グループが劣化ウランの分野で最も科学的であると考えられている内容を正確に反映していなかったので公表が認められなかったのだ」と、彼は付け加えた。
ベイバーストック博士の研究は、今はサンデー・ヘラルド紙の手元に渡っているが、イラクの乾燥した気候では劣化ウランの微粒子は風で撒き散らされ、市民によってこの先何年にも渡って吸引されることを指摘している。体内に入ればその放射線と毒性が悪性腫瘍の成長の引き金を引く可能性を警告している。
劣化ウランからの低レベル放射線は、直接照射を受けた細胞に隣接する細胞を傷つける可能性があることを研究は示唆している。いわゆる「バイスタンダー効果(the bystander effect)」として知られる現象である。これによって身体の遺伝システムの安定性が蝕まれることになり、ガンや他の病気となんらかの関わりがあるものだと多くの科学者によって考えられている。
さらには、イラクにおける劣化ウランは、バルカン戦争で使われたものと同様に、プルトニウムや他の放射性廃棄物で汚染されていることが判明するかもしれない。そうならばもっと放射能が強く、それゆえにさらに危険だ、とベイバーストック博士は論じた。
「劣化ウランの放射線と化学毒性は相乗していわゆる「カクテル効果(cocktail effect)」を生み、ガンのリスクをさらに増す。これら全てが憂慮すべき可能性があり、緊急にさらなる調査が必要だ」、と彼は言った。
ベイバーストック博士のイラクにおける劣化ウランの健康に対する影響に関する懸念は、ジュネーブにある国連環境計画の紛争後アセスメント部代表のペッカ・ハビスト氏も共有していた。「イラクは確かに心配だ、疑いなくそうだ」と彼は言った。
UNEPは2002年にボスニアおよびヘルツェゴビナで劣化ウラン汚染の調査を行っており、できるだけ早く状況を観察するためイラク入りを切望している。イギリス政府はバスラ周辺で1.9トンの劣化ウランが戦車から発射された事を公表したが、さらにたくさん使用したはずの米軍からは何の情報もない。
ハビスト氏が最も心配しているのは、劣化ウラン弾が建物に撃ちこまれた後、適切に除去されないまま修繕されて再入居されていることだ。バグダッドの建設計画局に起こったことがまさにその良い例であることを写真の証拠が示している。
彼はまた、兵器からの劣化ウランがイラクでスクラップとして集められて再使用されている証拠を強調した。「劣化ウランは最終的にフォークやナイフになるかもしれない」と彼は警告した。
「大人が働いていたり子供が遊んでいる場所に劣化ウランを無造作に放置して、除去しないでおくなんて、とんでもないことだ。もし劣化ウランが責任をもって処理されなければ、その危険性は減るどころか増えることになる。それは絶対に間違っている。」
2004年2月22日
(訳=「アメリカの戦争拡大と日本の有事法制に反対する署名事務局」HPより)
原文:WHO 'suppressed' scientific study into depleted uranium cancer fears in Iraq (Sunday Herald)
http://www.sundayherald.com/40096
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【関連記事】
※劣化ウラン弾に関するアーカイブ記事は「米軍が戦争で使用する劣化ウラン弾の危険性」を参照。
http://homepage.mac.com/ehara_gen1/jealous_gay/du_weapons.html
WHO、劣化ウランの健康被害報告の発表認めず 上級顧問が「意図的な隠蔽」と告発
米英軍が湾岸戦争で使用した劣化ウラン兵器によって「イラク市民の健康が長期的に脅かされる」と警告した専門家の報告書が世界保健機構(WHO)によって闇に葬られていたことが判明した。英紙サンデー・ヘラルドが報じた。第一線の放射線科学者3人による研究は「放射能と化学毒性を持った劣化ウランを含むチリを吸い込んで、子供も大人も癌になる可能性がある」と警告していた。だが、執筆者の1人であるキース・ベイヴァーストック博士を放射能の上級顧問として雇ったWHOは、その報告の公表を阻止していたという。WHOは隠蔽を否定しているが、背景には、その本質は「原子力ロビイスト機関」ともいわれる国際原子力機関(IAEA)の圧力があったのではないかと疑われている。(TUP速報=ベリタ通信) (日刊ベリタ 2004/02/27)
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【関連サイト】
WHO劣化ウラン調査結果を“隠蔽”(TUP速報)
http://groups.yahoo.co.jp/group/TUP-Bulletin/message/272
「ウラン兵器禁止を求める国際連合」第2回年次総会/キース・ベーバーストック博士の発言(ICBUW)
http://www.bandepleteduranium.org/modules.php?name=News&file=article&sid=181