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金正日、屈辱の謝罪…中国代表の強烈な圧力に屈服
記念撮影におさまる金正日総書記と唐家●国務委員。会談の詳細は明らかにされていない=19日、平壌(ロイター)
核実験実施で国連安保理の制裁決議に加え、中国の送金停止や定期便取りやめといった“プチ制裁”を受け、崖っぷちに立たされている北朝鮮。金正日(キム・ジョンイル)総書記(64)は、電撃訪朝した中国の唐家●国務委員との会談で、今月9日の核実験について「謝罪」していたことが20日、分かった。中国側の強烈な圧力に、金総書記が屈服した形だ。ただ、6カ国協議復帰へは米国の譲歩を求め、したたかさは健在のようだ。しかし、専門家は北について、「核のボタンに手を置いたまま」と指摘。まだまだ予断を許さない状況は続く。
唐委員の平壌到着から24時間経過した後、やっと姿を見せた金総書記。「じらし戦法」に対し西側外交筋は「会談にたいした成果は期待できない」とみていた。ところが、現実は少し違っていた。
20日付の韓国紙・朝鮮日報は、中国外交筋の話として金総書記が今月9日に実施を発表した核実験について、会談の席上、中国側に謝罪の意思を伝えたと報じた。金総書記は6カ国協議についても言及。「米国がある程度譲歩すれば、われわれも2国間会談であれ、6カ国協議であれ、ある程度譲歩する」と述べ、米国が金融制裁解除の方針を示せば6カ国協議に復帰、交渉に応じる意向を表明したという。
唐委員は2度目の核実験中止や6カ国協議復帰に関する胡錦涛国家主席のメッセージを金総書記に伝え、最後の説得を試みた。胡主席は「国際社会の強烈な反応を知らしめる必要がある」と表明しており、中国の「怒り」を金総書記にぶつけたとみられる。
駐日大使や外交部長(外相)を歴任し、平成13年には靖国問題の対応で田中真紀子外相(当時)と会談後、流暢(りゅうちょう)な日本語で「(首相の靖国参拝を)やめなさいと厳命しました」と日本語で語るなど長年、中国外交のトップに君臨する唐国家委員。加えて、金総書記と太いパイプを持つ戴秉国筆頭外務次官、6カ国協議議長の武大偉外務次官が訪朝団に加わり、メンバーだけも中国の気合の入れようは相当なものだった。
当初は「金総書記が引きこもり、中国のメンツがつぶれるのでは」(外交筋)と懸念されたが、何とか金総書記を会談に引きずり出した。朝鮮中央テレビは19日夜のニュースで、写真2枚を用いて会談の模様を「親善的な雰囲気で会談が進んだ」と報じた。
一連の動きに静岡県立大国際関係学部の伊豆見元教授は「米国務省のライス長官の歴訪で2度目の核実験に踏み切るものとみられたが、今回の訪朝で少なくともきょう、明日の核実験実施の可能性は極めて低くなった。何の進展もないか、北が6カ国協議に戻るかのどちらか」とみる。
「唐氏は前もって米露を訪問している。米からメッセージを持ってきた中にはきついメッセージだけではなく、柔らかいメッセージもあったのではないか」と唐委員は米の“特使”でもあると伊豆見氏は指摘する。
そして、「メンツが立つようなへ理屈を唐委員が作っているのではないか」(同)。
コリア・レポート編集長の辺真一氏は「唐委員のカバンの中身はアメとムチでしょう。アメは核実験をさせない、6カ国協議に復帰させるために北へ与えるべきものを提示する。それは中国がアメリカを説得すること。もうひとつは制裁をエスカレートさせない、国連の制裁決議を履行させないこと。ムチは国境封鎖に軍事制裁の容認、友好条約の破棄だが、当然、北は反発する。だから、中国は前者のアメを使っただろう」と推測する。
だが、辺氏は「中国が米に対する働きかけをした上で、米がどう出るかで核のボタンを押す押さないが決まる。一言で言えば国連制裁決議が実行に移されるならば、ボタンを押す。一応、ボタンをかけたまま中国の米に対する説得を見守る形になる」とまだまだ予断は許さない。
伊豆見教授も「1−2カ月後に再実験がないということには全くならない。確実にある。1回核実験をしてしまったとなると、1回目より2回目以降のハードルは低くなっている。核兵器能力を増強しようと考えているのであれば、今回の実験では足りない」と話す。
盟友・中国の必死の努力も、単なる「水入り」になる可能性もある。
【注】●は王ヘンに旋
ZAKZAK 2006/10/20