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[コメント]今でもマスコミ関係者から、「なぜアメリカは核実験を失敗したと推測するのか」、「失敗なら次の核実験はいつか」という質問を何度も受ける。すでにこのホームページの読者には説明済みだが、今回のネグロポンテ国家情報長官(16の米情報機関を統合運用する責任者)の発表はファイナル・レポート(最終報告)に近いものと思うから再度説明したい。
まず最大の疑惑は核爆発の規模が格段に小さいことである。北朝鮮は最初の核実験では最も確実な方法で核実験を試みると推測できる。それが1945年に長崎で投下された長崎型プルトニューム原爆である。今でも爆発規模と起爆装置は長崎型が原始的ではあるが確実性の高い核実験方法となる。その爆発規模はTNT火薬換算で20キロトンで、起爆装置は爆縮方法となる。それ以外に核爆発を起こす方法もあるが、最も安易な方法の爆縮型を北朝鮮が選択するしか技術力はない。
しかし今まで北朝鮮が核実験を行わないのは、起爆装置にあたる爆縮装置を完成させる技術がないといわれていた。爆縮は球体のプルトニュームの周辺にTNT火薬を何十ヶ所も仕掛け、100万分の1秒の誤差もなく爆発させ、球体の全表面に均一した超高圧の圧力をかけなくてはいけない。そして球体は中心点の1点にプルトニュームが爆縮され、核分裂を起こすのである。こうしてプルトニューム原爆は核爆発する。
しかしTNT火薬の起爆でプルトニュームの球体全面に均一の圧力がかけられないと、いびつな形で爆縮が起きてしまう。するとプルトニュームの一部が先に核分裂を起こし、まだ核分裂を起こしていないプルトニュームを吹き飛ばすことになる。これがプルトニューム原爆で起爆装置の欠陥から生じる「未熟爆発」となる。
今回は事前に20キロトンの爆発エネルギーが推測されていた。しかし実測では1キロトン以下のエネルギーしか放出(核分裂)されなかったことになる。この1/20以下という爆発規模の割合なら5パーセント以下で、95パーセント以上のプルトニュームが核分裂を起こさず飛散したことになる。また北朝鮮が核実験直前に中国に通告した5キロトン程度の爆発としても、1キロトン以下なら全体の20パーセント以下の爆発規模にしかない。80パーセント以上のプルトニュームが核分裂を起こしていないのである。この数値は明らかに核実験が失敗したと判断されるのである。
これは爆縮を起こす精密な起爆装置の欠陥で、北朝鮮は再度の核実験でも基本的なこの問題で無理だと思う。7月5日にテポドン2が発射後45秒で爆発した時、近いうちに再度の発射を行うとの報道が流れた。しかし私は45秒ではあまりに基本的な欠陥のため、再発射には数年かかると解説した。それと同じで、北朝鮮が再度の核実験を行うことは限りなく不可能に近い。もし北朝鮮の核実験が1回目に成功していれば、信頼性を得るために短期間に5回程度の核実験を行う必要があった。そうすることが核兵器開発の国際常識なのである。しかし北朝鮮は2回目の核実験を行うことができなかった。これでは北朝鮮が核武装をする能力がないとして国際的に評価を受ける。北朝鮮はテポドン発射で長距離ミサイルの開発に失敗し、さらに核実験の失敗で世界に大恥をかいた。北朝鮮とはその程度の国なのである。
追加で説明すれば、大気から採取した放射性物質はその半減期から、核爆発で起きた地震と同時に発生したことを分析して証明できる。意図的に北朝鮮が空気中に放射性物質だけを放出して、核実験の実施を偽装することはできない。
(日本時間の本日午前7時半頃、アメリカの主要なテレビは北朝鮮が2回目の核実験を行う兆候があると報じた。その場所は1回目の核実験場の近くで、人や車の動きが米偵察衛星で察知されたという。)
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