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北朝鮮を取り囲む三大国であるアメリカ・ロシア・中国は、同時に国連安保理の常任理事国であり、同じ常任理事国であるイギリス・フランスをはるかに凌駕する国土・人口を持つ地域大国でもある。この三国が、北朝鮮制裁の安保理決議採択を機に、国連の場での合意形成に大きく寄与することとなった。
確かに、それを主導したのはアメリカであり、中国は今だ渋々の感を隠そうとはしていない。しかし、三国が協調することによって安保理決議が全会一致の形をとり得た意味は大きい。
意味の第一は、イギリスとフランスの存在感が薄れたことだ。ソ連崩壊後の国連では、アメリカとロシア・中国との間にあって言わばキャスティングボートを握っていたのだが、米・ロ・中の協調が可能となればそうした役割は失われる。三国の合意を前に異論を唱える余地はほとんどあるまい。
今回の三国協調は極東という地域に限定されるものであるとしても、それを起点として地球規模の協調へ進む可能性が生まれたと言える。次期国連事務総長に韓国出身者が就任することと合わせ、国連が極東での合意を基礎に動き始めることになるかも知れない。これが第二の意味である。
こうした極東情勢の変化は、安倍の首相就任早々の中国訪問に現れている。靖国神社参拝をめぐる日本と中・韓両国の軋轢は、この訪中によってうやむやにされつつある。もともと国内世論向けに始められ小泉の参拝は、その役割を北朝鮮の核実験に譲ることによって不要になったと見るべきだ。代わって日本に求められているのは、極東における三国協調に寄与することなのだろう。
第三の意味は、アメリカによる国連支配が現実味を増したことだ。イラク戦争開始に当って公然と国連軽視の姿勢をとったブッシュ政権が、その圧倒的軍事力によって何者にも拘束されないアメリカを実践して見せた後、改めて国連支配を追及し始めたのだ。悪名高きネオコンのボルトンを国連代表として送り込んだのもそのためだったのだろう。
アメリカが何のために国連支配を目論むのか、その目的は明らかだ。EUに対抗する為だ。EUは国際金融資本の牙城であり、アメリカの軍産複合体にとって最大の敵である。世界の基軸通貨たるドルの地位を脅かすユーロの成長を妨げるために、地域大国と協調し国家の論理による世界秩序を守ろうとしているのだ。国連は、あくまでもユナイテッド・ネイションズである。いわゆるグローバリズムとは相容れない。