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実戦さながらの治安出動訓練は1969年にも実施された
http://www.asyura2.com/0610/war85/msg/174.html
投稿者 木村愛二 日時 2006 年 10 月 02 日 13:55:59: CjMHiEP28ibKM
 

(回答先: 迫力!市街地で戦闘訓練…対馬・陸自対馬駐屯地の26周年記念で(読売新聞) 投稿者 片瀬テルミドール夏希 日時 2006 年 10 月 02 日 13:15:21)

実戦さながらの治安出動訓練は1969年にも実施された

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http://www.jca.apc.org/~altmedka/saikou-index.html
最高裁長官殺人事件
木村愛二
[中略]
http://www.jca.apc.org/~altmedka/saikou-016.html
第三章 極秘計画《すばる》
[中略]
http://www.jca.apc.org/~altmedka/saikou-021.html
[中略]
《すばる》は、自衛隊の国内治安行動用の部外秘マニュアルである。かつて《三矢作戦》として問題にされた《昭和三八年度統合防衛図上研究》以後、さらに整備され、適宜改定されている。

 智樹はすでに、これらの部外秘資料を持参していた。それまでのすべての情報から、大体の予測が立っていたからである。乗っていた地下鉄が霞ヶ関駅に近づく頃には、コンピュータ作業に似た記憶のひらめきが、パチパチと智樹の脳細胞のシナプスを焦がし始めていた。

 実戦さながらの治安出動訓練の記憶もよみがえる。

「ただ今から暴徒を鎮圧する。かかれ!」

 連隊長の怒号が高性能スピーカーで轟いた。

 1500名の〈治安出動部隊〉が1000名の〈デモ隊〉目がけて一斉に突進を開始した。智樹は足下の大地が揺らぐのを感じた。検閲台の上に立つ陸幕長さえも、必死に歯をかみしめ、心の中の動揺を押さえつけているように見えた。

 血を同じくする日本人を敵方に想定する訓練には、やはり、異様な緊迫感があった。

 1969年10月4日、北海道は千歳の原野で、陸幕長検閲の治安出動訓練が行なわれた。前日の3日には東富士演習場でもマスコミ向けに公開訓練を行なっているが、4日の方が規模も10倍で内容も厳しかった。防衛庁は3日にマスコミ関係者を引きつけておいて、秘密裡に翌日、本命の訓練を北海道で実施したのである。タイミングとしては翌1970年予定の日米安保条約の再改訂と、それへの反対運動に焦点が合っていた。

 3日の公開訓練の模様を『サンデー日々』はこう描いている。

「戦車が地響きをたてて進む。黒煙がもうもうと上がる。真上の戦闘ヘリコプターからはカモフラージュの戦闘服を着た空挺隊員が縄を伝ってスルスルと降りてくる。突撃ラッパが耳元で鳴る。鉄カブトに小銃。完全武装の兵士の群れ。恐ろしい、なんて生やさしいものではない。まるで戦場だ。いきなりタイム・トンネルをくぐり抜けて激戦地に放り込まれたかのようなショックに襲われた」

 

 デモ隊が100名でAビルとBビルを占領し、200名の治安出動部隊がそれを制圧するというのが、3日のマスコミ公開訓練の規模と主な内容であった。AとBのビルは建物だけで、その業務内容は定かではなかった。

 だが、4日の秘密訓練は、参加人数も1桁上であり、〈N地区の暴徒〉を鎮圧すると同時に〈N地区を封鎖〉し、〈N放送局〉〈A新聞社〉〈B電力会社〉などの重要機関を〈警護〉するという具体的な内容になっていた。〈警護〉は現実的には〈占領〉である。〈封鎖〉と〈占領〉を合わせれば、戒厳令の原型となる〈合囲〉下の状態と同じである。だから、この訓練が秘密裡に実施された理由については、参加した自衛隊員が〈クーデターのための訓練ではないか〉と内部告発し、その結果、国会でも問題となった。

「抵抗を止めて解散せよ!」

「解散しなければ実力を以て排除する!」

「催涙弾発射!」

「放水開始!」

「戦車前へ!」

「障害物を突破せよ!」

「首謀者を逮捕せよ!」

 デモ隊は火炎ビンを投げる。古タイヤに火を放つ。猟銃を撃つ。催涙ガスが漂う中を消火器を抱えた治安出動部隊が前進する。隊員は小銃を肩にかけているが、その訓練では撃たない。だが……本番用のマニュアルでは、必要とあれば撃つことになっている。

 その後、自衛隊の治安行動用の兵器や装備が次々に整備され、主要都市周辺の基地に常備されている。

 特に、首都東京の周辺に配置された各部隊は、一夜にして首都を封鎖し制圧しうる態勢に置かれている。1974年の春には関東周辺の図上演習が行なわれた。夏には本州と四国の陸・海・空自衛隊が合同して〈大震災対処演習〉の名目による〈非常呼集〉の訓練を実施したが、そのときの出動態勢は3時間で完了した。

 そういう状況下で部外秘発表された論文『国家と自衛隊』が外部に漏れ、国会でも〈自衛隊のクーデター研究〉ではないかと追及された。

 論文の筆者は〈体制を打倒して本来の憲法秩序体制に復帰させる〉必要のある事態を予測し、そのような事態における〈幹部の心構え〉についての論拠を、次のように外国の実例研究に求めていた。

〈『軍隊と革命の技術』の著者、K・コーリ夫人は豊富な例証をあげて歴史の結論として、革命が成功するか否かは正規軍隊の動向、特に将校団の動向如何がその成否を決したと述べております……〉

 そして、そこから筆者は、次のような結論を導き出しているのであった。

〈現憲法秩序体制を破壊する兆しのある場合における自衛隊の行動は、国民の動向と関連してタイミングの選定が必要であろうかと思いますが、機敏果敢に行動して禍根を絶つ必要があろうかと思います。……日本の革命を左右するものは自衛隊特に幹部の動向であることを自覚して更に憲法秩序体制護持の覚悟を新たにしたいものと思います〉

 つまり、外国の事例の〈将校団〉が〈自衛隊特に幹部〉に置き換えられているわけであり、これはシビリアン・コントロールの原則の否認と受け取られても仕方なかった。

 智樹はそのとき、防衛庁本庁の防衛局調査課にいた。問題の論文の執筆者や、その周辺の突き上げグループの動向は一応押さえていた。智樹の脳裏にチリチリとよみがえろうとしていたのは、その連中に関する記憶である。彼らの強力な後ろ楯として名が聞こえていたのが当時は現役陸将、装備本部長の角村丙助であった。すでにその頃から角村と兵器工業会とのつながりや金回りの良さが噂されていた。道場寺満州男ら若手と、六本木界隈で飲んではオダを上げているという報告も何度かはいっていた。
 [後略]
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