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2006年10月2日(月)「しんぶん赤旗」
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik4/2006-10-02/2006100207_03_0.html
米上院が二十九日に可決し、成立する見通しとなった特別法廷設置法案に、法律関係者から批判の声があがっています。米政府が「テロ容疑者」と認定すれば、外国籍の人物でも無期限に拘束できる権限や、取調官が「容疑者」を非人道的に扱っても問責されない特権を認めるなど、法案に重大な人権侵害を盛り込んでいるためです。(ワシントン=山崎伸治)
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法案は、米最高裁が六月末、行政府による同法廷設置に違憲の判決を下したことに対し、ブッシュ政権が対応したものです。特別法廷について、(1)非拘束者には勾留が不当であることを米国の裁判所に訴える権利を認めない(2)容疑者には迅速な裁判を認めない(3)裁判では拷問による証言を採用しないが、「強制的に得られた」証言は採用する(4)「伝聞証拠」は採用する(5)評決は民間の陪審員ではなく、軍の要員が下す―ことなどを定めています。
米紙ワシントン・ポストによると、法案のような「被告の権利を大幅に切り縮めた軍事法廷制度」が過去に認められたのは、米独立戦争(一七七五―八三年)、米墨戦争(一八四六―四八年)、南北戦争(一八六一―六五年)、第二次世界大戦の四回だけです。歴史的にも戦時に限られた異例の措置であることがわかります。
人権擁護組織「憲法権利センター」のビンセント・ウォレン事務局長は、「大統領に『国王の特権』を与えるもの。批判する者を『敵の戦闘員』と言いはって拘束し、法廷には行かせず、自分たちの勾留や処遇に異議をとなえられないようにすることを認めるものだ」(二十九日付ボストン・グローブ)と批判します。
三十日付のニューヨーク・タイムズもエール大学のブルース・アッカーマン教授ら法学者の批判の声を紹介して、「この法案は大統領に対し、この夏の最高裁判決前と比べ、テロ容疑者に対する権限を拡大するものだ」と指摘。「法案に異議をとなえる訴訟は避けられず、評論家も同法の実質的条項が最高裁に退けられる可能性を指摘する」と報じています。
同日付のロサンゼルス・タイムズは「敵の戦闘員」の定義について、法案が「米国に対する敵対行為に従事した人物のみならず、敵対行為を『故意に物理的に支援した』人物も含んでいる」ことを指摘。「戦場だけに留まらず、武器を手にしたことも攻撃を計画したこともない人たち、さらには資金を提供しただけの人たちまで同列におくものだ」という全米市民的自由連合(ACLU)のクリス・アンダーズ氏の懸念を紹介しています。