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□米大統領選 2年後は女の闘い!? [読売ウイークリー]
http://seiji.yahoo.co.jp/column/article/detail/20061114-01-0202.html
2006年11月14日
米大統領選 2年後は女の闘い!?
米中間選挙で、民主党のヒラリー・クリントン前大統領夫人が圧勝で上院議員に再選され、2008年の大統領選出馬の可能性が強まった。一方の共和党からはライス国務長官を担ぎ出す声も出ている。
ニューヨーク市中心部のホテルで、夫のビル・クリントン前大統領とともに支持者の前に姿を現したヒラリー上院議員は、両手を大きく広げて高らかに勝利宣言した。
今回の中間選挙を3週間にわたって密着取材した在米ジャーナリストの角間隆さんは、ヒラリー上院議員の戦いぶりをこう総括する。「7割も得票し、共和党の対抗馬をまったく寄せ付けぬ完勝でした。これで、2年後の大統領選挙出馬への足場は一層固まったといえるでしょう」
角間さんは、今回のヒラリー圧勝の一因は、クリントン前大統領の“内助の功”であると指摘する。「ブッシュ陣営は、クリントン前政権の北朝鮮政策の『失敗』が現在の核危機を招いたなどと攻撃する一方で、ファーストレディーだったヒラリー上院議員の評判も落とそうとするネガティブ・キャンペーンに出ました。これに対し、クリントン前大統領は各地を精力的に遊説し、ブッシュ陣営の主張に徹底的に反論し、成功を収めたのです」
クリントン前大統領の奮戦が、ヒラリー上院議員を援護し、民主党全体の勝利にも大きく貢献したと、角間さんは分析するのだ。勝利宣言するヒラリー上院議員の後ろで拍手をしていた前大統領は何を思っていただろうか。角間さんは続ける。
「大統領時代にはスキャンダルへの対応に追われ、やり残した仕事が数々あったことを想起していたのでしょう。そして、妻に付き添ってホワイトハウスに戻ることで、それらをやりとげようという決意に燃えていたに違いありません」
ところで昨年、「コンディ対ヒラリー 偉大な大統領レース」という本が米国で出版されベストセラーになった。「コンディ」とはコンドリーザ・ライス国務長官のことで、本の著者は「ヒラリー上院議員の大統領当選を食い止めるには、共和党はライス長官を対抗馬にするしかない」と論じている。
ライス国務長官は今は出馬の可能性を否定するが、待望論が高まっているのは事実だ。米国政治に詳しい滝沢荘一・富山国際大学教授は「ライス国務長官の支持者らは、次々とウェブサイトを立ち上げ、Tシャツ、野球帽などのグッズを販売し、応援歌やPRビデオまで作る盛り上がりようです。ブッシュ大統領も、家族同然であるライス長官の出馬を望んでいると言われています」と解説する。
ライス長官が国際舞台に躍り出たのが、ソ連・東欧が激変期を迎えていた1989年。現大統領の父、ブッシュ元大統領が国家安全保障会議ソ連・東欧部長に抜擢したのだ。そして、01年にブッシュ現政権が発足すると国家安全保障担当の大統領補佐官となる。滝沢教授は「補佐官就任前から、ライス長官は、『息子ブッシュの外交問題の家庭教師』と言われていました」と指摘する。
元大統領が見込んだ家庭教師は、2期目の「息子ブッシュ」政権では、黒人女性としては初の国務長官に就任した。
さらに滝沢教授は、共和党にはライス擁立の秘密シナリオがあるようだ、と明かす。「一部専門家の間で、心臓病などいろいろと問題のあるチェイニー副大統領が今年中に辞任し、ライス長官が副大統領になるとの説が出ています。そうなれば、共和党大統領候補の指名獲得には申し分のない位置に就くことになります」
さて「本命・ヒラリー」のほうは、どのようにして、その地位を築き上げてきたのか。
「ヒラリー上院議員は、ファーストレディー時代に、すでに夫のビルより大物と言われていました」と指摘するのは、五十嵐武士・東京大学教授だ。ジャネット・リノ司法長官起用の際、「女性じゃなきゃダメ」とがんばったのはヒラリー氏だったという。マデリン・オルブライト国務長官起用の時も「何らかの影響力を行使した可能性がある」(五十嵐教授)という。ヒラリー氏は、それまでのファーストレディーの枠を大きく超えて、健康保険改革を先導するなど、具体的な政策にも積極的に介入した。
越智道雄・明治大学教授は「ファーストレディー時代には失言も多く、健康保険改革も非妥協的態度でつぶされるなど、いろいろ弱点もありました。しかし、上院議員になってからは、マイナス点を一つ一つ消しゴムで消してきた」と分析する。
従来は、「冷淡」で「高慢」というイメージがあったが、議会休憩中に男性の議員仲間にコーヒーをいれるなど気さくな印象を振りまいてきたというのだ。また、「女性は安全保障に弱い」という一般的イメージをぬぐうため、上院軍事委員会入りして理論武装し、共和党の一部との法案共同提案も行うなど、着々と活動の幅を広げている。
このように、「本命・ヒラリー、対抗・ライス」の呼び声は日々高まるばかりだ。