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報告者:東京財団 シニアー・リサーチ・フェロー 佐々木 良昭
No.432 「サウジアラビア・イスラエルの蜜月?」 2006年09月29日
サウジアラビアとイスラエルが、ヨルダンで秘密の接触を持ったという、これまでの常識では考えられないようなニュースが流れた。もちろん、その後、サウジが否定した、あるいは嘘だった、という情報も流れたのだが、どうやらこの秘密会合は、確実に行われたということが分かった。
これまで、サウジアラビアは宗教的な観点や、アラブの大義から、イスラエルとの関係を頑なに拒んできていたのだが、ここに来てやっと、両国の関係が進展し始めたということだ。
何がサウジアラビアをして心変わりさせたのであろうか。まず考えられることは、エジプトやヨルダンに加え、イスラエルと闘争を展開し続けてきたパレスチナそのものが、既にイスラエルと交渉し、相互の存在を認めるようになっていることであろう。
加えて、サウジアラビアは最近、イスラエルの核兵器よりも、イランの核開発の将来的な危険性を、痛烈に感じていることが上げられる。
そして、イランの支援を受けているレバノンのヘズブラが、イスラエルとの戦争で勝利し、そのヘズブラへのアラブ大衆の支持が、次第に拡大していることも不安材料であろう。
このヘズブラとパレスチナのハマースとの関係が緊密であり、ハマースもまたイランの援助を受けている、ということはサウジアラビア政府にしてみれば大きな不満材料だ。こうしたことから、サウジアラビア政府はハマースの全予算の70パーセントを援助していたのだが、そのハマースへの援助を止めたようだ。(援助の削減か?)
最近ではハマースよりも、サウジアラビア政府はパレスチナの穏健派であるファタハ(マハムードアッバース議長の所属するパレスチナ解放組織)に援助を送っているということだ。
また、サウジアラビア政府はアルカーイダの国内への影響と、テロを恐れていることも事実だ。
これら一連の事柄に対する的確な対応策は、イスラエルの協力無しには出来ないということであろう。しかし、同時に、サウジアラビア国内のイスラム原理主義者側にとっては、政府に対する非難の、最も明確な根拠となることも事実だ。
サウジアラビア政府の選択が、結果的に体制を救うことになるのか、寿命を短くするのかは、今後の流れを見る必要がありそうだ。
http://www.tkfd.or.jp/news/today/1_20060929_2.shtml