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永田町の風 -鳥取県の国会議員リレーコラム (日本海新聞)
核保有議論は公の場で
2006/10/22の紙面より
− 石破 茂 −
日本も核兵器を持つべきだ、との議論が時々浮上する。今回の北朝鮮の
核実験を受けて自民党政調会長が「核保有の議論はあってよい」と発言し、
総理が「国是である非核三原則は堅持する。党内での議論も行わない」と
火消しに回るといういつもながらの構図が展開されている。こんなこと
だからいつまでたっても日本人の戦略的思考は一向に深まらず、外国の
疑心暗鬼も全く解消されない。
批判を恐れて
私はいつも不思議に思うのだが、核を保有することがわが国の防衛に
とって本当に必要であると信ずるなら、国会や党の公の場でその立場を
明らかにし、堂々と議論を展開すべきであるにもかかわらず、誰一人
としてそれをしないのはなぜなのだろう。危険な考えの持ち主、との
批判を浴びて票が減ることを恐れているとするなら、国家の利益よりも
自己保身を優先させているということにほかならず、そんな人はさっさと
議員を辞めた方が国のためというものだろう。
一方の核保有反対論者も、国会の議論を聞く限りにおいては「国是だ」
「唯一の被爆国として核廃絶の先頭に立つべきわが国にそんなことは
許されない」という以上の主張を展開することがない。これは情緒の
世界であって論理の世界ではなく、国際的にも著しく説得力に欠けると
言わざるをえない。
反対4つの理由
私自身はかねてより「核保有によって得られる利益より、それによる
損失の方がはるかに大きいので核保有には反対」との立場である。核を
持てば(1)NPT(核不拡散条約)から脱退しなければならない上、
電力供給の四割を占める原子力発電のウラン燃料の輸入もストップし、
国民生活は大打撃を受ける(2)日米同盟体制への不信を明確にすることになり、
日米関係が極度に悪化する(3)北朝鮮を非難する立場を失うのみならず、
核拡散の流れが決定的になり、「全世界が核を持つ」という今のNPT
体制よりなお悪い悪夢の世界が展開する引鉄を引くことになる(4)ミサイル
防衛や精密誘導兵器など核抑止が可能な新技術を軽視することになる。
以上四つの理由に加え、ミサイルに搭載可能なプルトニウム型核兵器の
実用化には核実験が不可欠だが、わが国の一体どこで核実験を行うのか。
そもそも出来もしないことを言ってみても何の意味もないのではあるまいか。
議論は公の場できちんと行うべきなのであり、そうすることが主権者から
国政を託された国会議員の責任である。
議論封殺に警戒心
それは核保有に限らず、集団的自衛権にしても、武器輸出三原則にしても
同様なのであって、「国是」などという訳の分からないことを言って議論を
封殺するから、他国は日本に対する警戒心を持ち続けるのである。
この一週間、内外メディアからの取材に辟易(へきえき)した私はつくづく
そう思ったことであった。
http://www.nnn.co.jp/rondan/nagata/061022.html