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http://teanotwar.seesaa.net/article/26477862.html#more から転載。
2006年10月30日
*セックス・トラフィカーたちが、戦争で破壊されたイラクの女性たちを標的にしている
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過酷な状況に置かれたイラクで起きている女性の人身売買。
セックス・トラフィカーたちが、戦争で破壊されたイラクの女性たちを標的にしている
2006年10月26日
IRIN
Electronic Iraq 原文
マリアム(16歳)。ドゥバイでのセックス・ワーカーとしての生活から逃げ出しバグダードに戻った(IRIN)
ドゥバイ発。16歳のマリアムは、バグダードの父親が彼女を家事労働のため湾岸の裕福な国に売った日を追体験している。彼女は、家事労働ではなく、無理矢理、性商売に従事させられた。
「私は処女で、セックスが何かわかっていませんでした。彼ら[トラフィッカーたち]は、処女の私を買うために金を払った地元の老人から、高い金をもらえると私に言いました。この男は攻撃的で、ずっと私を叩いていました」。マリアム----本名は隠していた----はIRINにこう語った。
国連機関によると、絶望的な社会経済的状況にある若い女性を儲けの種にしようと何でもやりかねないセックス・トラフィッカーに、何千人ものイラク人女性が騙されている。
マリアムの場合、アラブ首長国連邦(UAE)のドゥバイに連れていかれ、20人の若い女性と一緒に一つの家に閉じ込められていたと彼女は言う。全員が性の仕事をさせられていた。
イラクから出る前は、彼女は3人の姉妹とともに、父親が面倒を見ていた。母親は、2003年、米軍が率いてイラクを侵略した際に、殺されていた。
マリアムによると、父は一人では子どもたちの面倒を見ることができなくなり、また、イラクの治安が悪化して毎日暴力が激化したために、彼女を外国に出したがったのだという。
2005年11月、トラフィッカー一味のメンバーがマリアムの父に、前金で6000米ドルを支払い、彼女はドゥバイのある家族のために働くと説明した。また、娘は1年の契約がすめばイラクに戻ってくると約束した。
マリアムは、ドゥバイで、毎日、トラフィカーから、逃げ出そうなどとするなと脅された。けれども、彼女は何とか逃げだし、現在バグダードに戻って、地元NGO「女性の自由協会」の世話を受けている。
セックス・ワークのために何千人もが「取引」されている
10代のマリアムの身に起きたこの話は、珍しいものではない。正確な統計を手に入れることは難しいが、NGO「女性の自由」は、2003年に米軍がイラク侵略を開始して以来、3500人のイラク人女性が行方不明となっており、その多くがセックス・ワークをさせられている可能性は高いという。「女性の自由」は、これらの女性のうち25%は、自らの運命を知らぬままに、2006年に入ってから、国外に「取引」されたと語る。
「人々は、家族を支えるためにどうしてもお金が必要なのです・・・・・・食べるものを何でもいいから手に入れるだけのために。政府がこの問題について手をうたなければ、さらに多くの女性がイラク国外で虐待を受けることになるでしょう」と「女性の自由」の報道担当ヌハ・サリムは語る。
イラク政府は、人身売買にあった女性のケースを調査しており、トラフィッカーの一部を逮捕したと言うが、国内の安全の欠如に対処するのが政府の主要課題である。
女性の権利をめぐる活動家たちは、政府の対策が必要であるが、それとは別に、海外で女性を求める市場がある限り、問題は続き、悪化するだろうと述べている。活動家たちは、セックス・トレードに目をつぶる国々に対策を強化するよう求めている。
「女性たちはイラクから国外に連れ出され、最も大切なもの、すなわち尊厳を剥奪されます」とサリムは言う。
人身売買と売春は湾岸6カ国では不法だが、この湾岸地域が、人身売買された女性が連れ去られる先として多い。サハラ以南のアフリカや東欧、アジア、中東の一部から、推定1万人の女性がUAEでセックス・トラフィッキングの犠牲になっていると、6月に発表された米国国務省報告『人身売買』は述べている。
湾岸のギャングたち
シャーラ・ムサビーはドゥバイの人権活動家で、虐待を受けたり人身売買された女性のシェルターを運営している。彼女は、UAEのセックス・ワーカーは大多数がホテルで活動しており、その多くに組織ギャングが絡んでいるという。
「ギャングはUAE国内で組織されているわけではありません。国外に組織マフィアがいて、UAEのホテルを所有し、それを組織しているのです・・・・・・けれども、一方で、移民関係のUAE人はそれを憂慮し、何かしようとし、関心をもっています」。
ムサビーによると、少女たちは家事労働をするという約束で連れてこられ、セックス・ワークを強制されるのがよくあるパターンだという。「少女たちはまずUAEに来るために1万ドルを払うと聞きました。彼女たちは、一晩で20ディルハム[6ドル]から2万ディルハム[6000ドル]の支払いを受けます。客によります」。
米国国務省報告によると、UAEの政府は、こうした侵害があるのに、この問題に十分な対処をしていない。
「そのかわりに、[人身売買の]犠牲者の多くが、犯罪者とともに投獄され、国外に追放される」と報告書は書いている。「セックス・トラフィッキングで起訴される者の数は、問題の規模から考えると極端に少ない」。
同報告書によると、2005年に性的搾取を目的とした人身売買をめぐり100件の告訴がなされているにもかかわらず、UAE政府によるとセックス・トラフィッキングの罪で有罪とされたのは22件だけである。
しかしながら、米国国務省報告は、UAE当局が送り出し元の国の大使館でビザ申請を厳しく検査しているとしており、人身売買犯罪を調査するために人身売買部門を設立し、警察と検事、判事、そのほかの政府職員に人身売買問題の訓練をしているとして、UAE当局を讃えている。
この問題について、ドゥバイの移民局からも警察からもコメントはもらえなかった。
シリアへのトラフィッキング
人身売買されたイラク人女性の行き先はUAEだけではない。トラフィッカーにとってシリアが売買の目的地として人気を増していると人道関係団体は語る。
5月に国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)、ユニセフ、世界食糧計画(WFP)が公開した報告書は、シリアで「セックス・トレードに関わる組織的なネットワーク」があることに言及している。この報告書は、イラク市民の状況が悪化の一途を辿っていることと、イラク人の売春とセックス・ワーカーの人身売買が増加していることとの間に関係があるとしている。
「イラクからシリアへのトラフィッキングの問題がどのくらいの規模かはわかりませんが、それが存在していることはわかっています」と、ダマスカスのUNHCRにいる保護担当官アン・メイマンは言う。「人々はそれについて話すことを恐れているので、表面化しない問題なのです」。
シリアの地元活動家たちは、この、攻撃対象となりやすい、またますます搾取が酷くなっているコミュニティを守るためには、今よりはるかに多くのことをしなくてはならないと語る。
9月、国際移住機関(IOM)は内務省と共催で、人身売買に対する意識を高めるためのワークショップを開催した。
ダマスカスのIOM施設代表マリア・ルンマンは、、IOMはシリア政府の委員会が人身売買禁止法案を起草するのを助けており、人身売買の犠牲者を支援するために計画されているシェルターを実現するために国際的なドナーを待っているという。そうした施設がなければ、シリアに売られてくる人々の数を調査することさえ不可能だと彼女は語る。
「政府は新たな法律とシェルターが必要であることに同意しました」とルンマンは言う。「けれども、米国をはじめとするドナー諸国からは、この1年間、何の返事もありません。ドナーからの貢献があれば、私たちはすぐにでも行動を開始します」。
このニュースは国連人道ニュース・情報サービスIRINから届けられるが、必ずしも国連やその機関の見解を反映するものではない。IRINの文書はすべて無料で再ポスト・再プリントできる。使用条件については、IRINのコピーライト・ページを参照のこと。IRINは、国連人道問題調整局のプロジェクトである。