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□キューバ:米禁輸措置のブーメラン効果 [JANJAN]
http://www.janjan.jp/world/0610/0610213163/1.php
キューバ:米禁輸措置のブーメラン効果 2006/10/26
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【ハバナIPS=パトリシア・グロッグ、10月3日】
キューバ外務省が公表した報告書によると、米政府の対キューバ禁輸措置は、米国経済に影響を与えるだけでなく数百万の米国市民からキューバ医学の進歩の恩恵に浴する機会を奪っているという。
同報告書は、40年以上に亘り米政府がキューバに課してきた禁輸措置の停止の必要性について審議を行う11月8日の国連総会に提出される。(同審議は毎年行われており、今回で15回目)同報告書は、「禁輸規則」により、小児脳癌治療のためのキューバ製剤TheraCIMの米国内臨床テストを行うことができないと述べている。
ThereCIMは、2004年に癌治療用ワクチンの開発、製造のため米国のCancerVAX社と契約を結んだキューバ細胞免疫学センターが製造したもの。
同薬は、頭部および首部の癌の治療薬としてキューバだけでなく海外でも登録されており、癌の塊を縮小させる効果が証明されている。同報告書は、同薬の使用により米国およびその他の国の子供達に利益をもたらすことが出来ると指摘。
また、禁輸措置がなければ、糖尿病を原因とする足部の壊死を食い止め切断手術のリスクを減少させるユニークな特殊薬剤Citoprot Pを使った治療方法で糖尿病に苦しむ数百万人の米人患者が救われるとしている。
Citoprot Pは、キューバ遺伝子工学・バイオテクノロジーセンターが開発したもの。外務省報告によると、米国では約2080万人の人々が慢性的不治の病とされる糖尿病に苦しんでいるという。
同報告書は、キューバは封鎖、米国は禁輸と呼ぶところの同規制により、キューバは総額861億ドルの損害を、2005年だけでも40億ドルの損害を蒙っていると述べている。
国連は昨年、賛成182票で禁輸解除動議を可決した。同動議は、1992年の総会前に初めて提出されたのだが、(当時)決議に賛成票を投じたのは僅か59カ国であった。
同報告書は、米国のキューバ観光禁止措置により、米国の旅行代理店は、米人観光客100万人当り5億6500万ドルのビジネス機会を失っていると述べている。
また、キューバ観光を希望する米人の数は、2005年で180万人と予測されており、米旅行代理店業界は、禁止措置により9億9600万ドルの潜在収入を失ったとしている。
更に、米国は年間14万8000tのニッケル、約1万tのコバルトを「遠距離市場」から輸入しているが、封鎖措置がなければ、米国は僅か200?先のキューバからこれらの資源を購入できると指摘している。
現在キューバは、年間約7万7000tのニッケルを生産しているが、合弁の鉱山開発会社の拡大、近代化のため2005年3月にカナダと合意した投資プログラムにより増産が計画されている。
キューバのニッケル埋蔵量は8億tと検認されているが、20億tとの予測もある。公式筋によれば、コバルト埋蔵量は、世界の約26%を占めるという。
キューバのブルーノ・ロドリゲス外務副大臣は、10月2日の報告書提出に際し、ブッシュ政権は、戦略的鉱物であるニッケルの販売を監視、妨害するため、政府内に特別チームを設立したと語った。
ハバナ政府は、米企業は、フロリダから僅か137?地点にあるメキシコ湾海底油田開発への参加を禁止され、もう一つのビッグ・ビジネスであるエネルギー分野でも機会を失っていると述べている。
キューバの北部海底には10〜93億バレルの原油および1兆9000億〜22兆立方フィートの天延ガスが眠っていると予測されている。
キューバ外務省の報告書に盛り込まれたこれら予測はU.S. Geological Survey(USGS)によるもので、成功の確率は95%と述べている。
キューバは1999年にメキシコ湾水域11万2000平方?を51のブロックに分け、外国企業の試掘事業入札を認めた。
スペイン・アルゼンチンの合弁企業Respol UPFは、現在6ブロック、1万700平方?の試掘権を取得した。しかし、今年に入りリスクを薄めるためインドとノルウェーのジョイント・ベンチャー2社にそれぞれ株の30%を売却している。
カナダのSherritt International 社も4ブロックの契約に署名している。
米議会は2000年、禁輸措置の例外として対キューバ食糧販売を承認。2001年から実施することとした。
2001〜2004年にキューバは、米企業から総額10億ドル強の現金購入を行った。
2005年には、米国からの食糧輸入予算として7〜8億ドルを確保したが、米政府の対キューバ貿易規制強化により貿易額は4億7400ドルに減少した。
キューバ報告書は、封鎖政策による貿易障害により、米農業輸出業界は約2億ドルの収入を失い、その金額は他市場へ回ったと述べている。
経済、通商、金融禁止措置は1962年2月3日に正式発効した。ロドリゲス外務副大臣は、キューバ市民10人のうち7人が封鎖政策下で生まれ育ったことになると語っている。
世代の違いで、禁輸措置に関する見方も変わる。例えば、アントニオ・ディアズさん(70)は、「この国が進歩しないのは封鎖のせい」と言うが、30歳、匿名のタクシー運転手は、「禁輸は、経済非効率の口実以外の何ものでもない」と語っている。
一部専門家によれば、もし禁輸措置が解除されれば、米/キューバ二国間貿易は200億ドルに達するという。
砂糖会社に勤めていたディアズさんは、「禁輸解除だけでは不十分と考える人々に賛成だ」と告白している。彼は、IPSに対し、「国の建て直しには変化も必要だ。我々の働きがまともだとは思わない。封鎖があろうとなかろうと修正が必要だ」と語っている。
ロドリゲス外務副大臣は、キューバ人を空腹、絶望、苦痛にさらすことが規制の唯一の目的で、同氏によれば、それは経済戦争および大量虐殺行為であると語っている。(原文へ)
翻訳=山口ひろみ(Diplomatt)/IPS Japan浅霧勝浩
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