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http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20061205it02.htm
国による科学技術施策の「格付け」作業で、国が沖縄振興の目玉として推進している「沖縄科学技術大学院大学」構想の評価が、関係閣僚や内閣府沖縄振興局の強い要請を受けて、公表直前に最高の「S」ランクに“修正”されていたことが関係者の話でわかった。
科学技術の専門家が審査し決定した評価が覆るのは極めて異例で、評価過程の不透明性が問題となりそうだ。
この評価制度は、科学技術予算を適正に配分するために、総合科学技術会議(議長は首相)が、省庁の枠にとらわれず、総額1兆円規模の概算要求の妥当性を審査し優先順位をつけるもの。専門家である同会議有識者議員と外部委員の計約100人が審査し、判定をまとめる。ランクはS(積極的に実施)、A(着実に実施)、B(問題点を解決して効率的に実施)、C(内容や計画の見直しが必要)の4段階。
評価結果は予算額に直接跳ね返る。2006年度予算の場合、S評価をうけた施策の予算は合計で前年度比15・7%と大幅に伸びているのに対し、Aは同1・9%増とほぼ現状維持にとどまっている。B、Cはそれぞれ同2・6%、30・3%のダウンだった。
200〜380件程度ある評価対象施策のうち、Sが取れるのは、最近3年間では9〜15%。予算要求元の省庁や研究者らが、S評価を勝ち取ろうと、しのぎを削っているのが現状だ。
関係者の話を総合すると、同大学構想に対する評価の付け替えが行われたのは05年度と06年度予算分。いずれも専門家らの判定は「A」だった。〈1〉開学時期〈2〉研究・教育の組織〈3〉教育カリキュラム〈4〉学則・教務規則〈5〉学生の生活環境――などが不備であることを指摘し、「早急に具体化し、開学までの明確なスケジュールを示すべきだ」と注文を付けていた。
ところが、指摘事項はそのままなのに、公表された評価はSに変わっていた。総合科技会議の関係者らは「関係閣僚が政治判断で、S評価維持を強く求めた結果、不自然に覆った」と証言している。総合科技会議の専門家らが下した判定に対し、関係閣僚が直接見直しを求めること自体、極めて異例だ。沖縄振興局も強く見直しを要請していた。
同大学構想は01年に提唱され、03年度から予算が付いたが、評価制度が始まった02年(03年度予算分)から5年連続で「S」とされている。5年にわたって施策全体がS評価を受け続けているプロジェクトは、ほかに1件もない。
この構想については03〜04年の施政方針演説で小泉首相(当時)が推進を表明するなど、政治主導で計画が進んでいる。大学構想の事業費はこれまで172億円がつぎ込まれ、来年度予算概算要求には94億円が盛り込まれている。
沖縄振興局新大学院大学企画推進室の板谷英彦次長は「大学構想の予算は一層、増額する必要がある。そのためにはS評価の維持が欠かせない」と話している。
(2006年12月5日9時20分 読売新聞)
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