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□<近聞遠見>「顔が見えない」と言われ 岩見隆夫 [毎日新聞]
http://seiji.yahoo.co.jp/column/article/detail/20061202-01-0301.html
2006年12月4日
<近聞遠見>「顔が見えない」と言われ 岩見隆夫
しょっちゅうテレビに顔を出しているのに、
「顔が見えない」
と言う。安倍晋三が首相に就いて約2カ月、世間や政界で目立つ声だ。
顔とは何か。本音、本心と言い換えればわかりやすい。本音が伝わってこないもどかしさである。
さらに、本音を伝えようとする姿勢、気迫、話法などすべてに目が注がれる。首相はさらし者だ。テレビ登場回数が多ければ多いほど批判が強まる、という皮肉な現象も起こりうる。
視聴者(国民)は敏感だ。こじれた郵政造反組の復党問題で、安倍首相が、
「参院選は来年7月、まったく関係ない」
と言い切ると、だれもが、ふーん、と思う。首相の立場上、
「関係ある」
と言えないことぐらいはわかっていても、別の表現法があるのではないか、正直さに欠けるのではないか、という反応になる。その分、顔が遠ざかる。
歴代首相の話法もそれぞれだった。的場順三官房副長官が<四者四様の元総理>という興味深い一文を書いている。(著書「座して待つのか、日本人」に収録)
的場が内閣の内政審議室長をつとめたころの話で、首相から昼食を食べながら案件についての説明を求められる。その時の言い回しだ。
中曽根康弘は、
「的場君、君はおれと一緒に飯を食えることを光栄に思っているか」
と聞いてくる。うーん、と思いながら、首相の権威というものをよく心得た方、と気づく。
竹下登は対照的で、
「悪い、悪い。もっとうまい飯を食べながら聞きたいのだけれど、すぐに教えてほしいものだから、すまんな」
と謙虚そのものだ。人柄の違いを思い知らされる。
宇野宗佑は勉強熱心で、のっけから、
「君、今日は何を教えてくれるの」
海部俊樹は、
「ちょっと待てよ。君に教えてもらうんだったら飯なんか食っていられない」
と言って、大学ノートを開いた。素直な人柄、と的場は思う。
<どれがいいとか悪いとかではなく、パーソナリティの差、経験というものが現れていて、多くのことを学ばされる>
と書いている。
4人のなかで、首相の時、顔がいちばんよく見えたのは中曽根だった。批判も少なくなかったが、発言にメリハリがあった。その中曽根は、
<どうもいまのリーダーたちは、自らの国家についての哲学を国民に語ろうとしない。クラゲのように、背骨のない軟体動物のごとくふわふわと浮遊しているのが、私には気がかりでならない>(「日本の総理学」PHP新書)
と嘆いた。2年前の嘆きだから、安倍はすでに首相候補としてリーダーの一人である。
本音で政治哲学を語る。それなしには、顔は見えてこない、ということだろう。安倍哲学はまだ漠然としている。
ところで、大蔵省OBの的場は72歳、首相官邸に陣取る安倍ブレーンの最年長者だ。先の4人とも的場の年長だったが、安倍は20歳も若く、親子関係に近い。
昼食をともにしながら、何を語り合っているのだろう。師弟関係にあった後藤田正晴元官房長官の<5訓>を、的場はいまも拳々服膺(けんけんふくよう)しているという。3番目は、
<勇気を持って自分の意見を言え>
だ。官僚に向けた訓示だが、安倍らリーダーにも当てはまる。(敬称略)
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