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http://www.asahi.com/national/update/1130/OSK200611300070.htmlより転載。
住基ネット「同意なければ違憲」 大阪高裁が削除命令
2006年11月30日23時53分
住民基本台帳ネットワーク(住基ネット)に生年月日などの個人情報を接続されてプライバシーを侵害されたとして、大阪府内5市の住民16人が各市を相手取り、本人確認情報の提供禁止などを求めた訴訟の控訴審判決が30日、大阪高裁であった。竹中省吾裁判長は「住基ネットには個人情報保護対策で無視できない欠陥があるうえ、提供を拒否する住民に運用することはプライバシー権を保障した憲法13条に違反する」と判断。原告の請求を棄却した一審・大阪地裁判決を変更し、同府箕面、吹田、守口3市の住民4人の住民票コードを同ネットから削除するよう命じた。
1人当たり5万円の損害賠償のみを求めた12人の訴えは退けた。02年8月に稼働が始まった住基ネットをめぐる訴訟は各地で起こされているが、違憲と認定し、住民側が勝訴した判決は05年5月の金沢地裁判決以来2件目。高裁レベルでは初めて。
判決はまず、自己のプライバシー情報の取り扱いについて自己決定する権利(自己情報コントロール権)は憲法で保障されているプライバシー権の重要な一つになっているとし、住基ネットが扱う氏名、生年月日、性別、住所の4情報について「私生活上の平穏が侵害される具体的危険がある場合は、自己情報コントロール権が侵害されたことになり、本人確認情報の利用の差し止めはできる」との判断を示した。
情報漏洩(ろうえい)の危険性については、自治体でセキュリティー対策が施されるなど具体的な漏洩の危険は認められないとしたが、個人情報を利用する国の事務が270種を超えて拡大し続けている現状などを指摘。行政機関が住民票コードをマスターキーのように使い、個人情報が際限なく集積・結合されて利用されていく危険性があるなど、住基ネットの制度自体に欠陥があると断定した。
こうした欠陥が主原因となり、「多くの個人情報が本人の予期しないところで利用される危険があり、住民の人格的自律を著しく脅かす危険をもたらす」と述べた。
04年2月の一審判決は「個人情報保護のための種々の措置がとられており、危険なシステムとは認められない」として、同府内の8市の住民計58人の損害賠償請求を退けた。このうち16人が控訴していた。
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