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海上自衛隊:インド洋派遣6年目
米英などによるアフガニスタンでのテロ掃討作戦を支援するテロ対策特別措置法が11月から1年延長され、海上自衛隊のインド洋派遣は6年目に入った。他国艦艇への無料給油は先月27日で、延べ700回に達した。日本から1万8000キロも離れた洋上の活動の実績はどうなっているのか。【反田昌平】
◇具体的成果めぐり賛否
「来年のゴールデンウイーク明けには、無事に戻ってきます」。先月12日、海自の呉港(広島県呉市)から補給艦「とわだ」(8100トン)がインド洋に向け出航した。山下正和艦長(54)は、見送りの海自幹部や家族ら約300人に、こうあいさつして乗り込んだ。
出港から帰港まで約5カ月。「とわだ」は今回で6度目の派遣となる。5度目の派遣となる隊員も多く、精神的・肉体的負担に加え、家族の苦労も大きい。また、海自の補給艦は5隻しかなく、派遣前後は通常任務の訓練、整備などもこなさなければならない。
米英などの艦船は、アラビア半島周辺のインド洋で武器やテロリスト、資金源となる麻薬が行き来しないよう、01年9月の米同時テロ以降、阻止行動を続けている。04年1月に大麻約1.5トン(110億円相当)を押収し、アルカイダに関与するとみられる乗員15人を拘束した。同5月には、銃器約560丁、実弾約1200発を押収した。
海自の補給艦は、これら他国の軍艦艇航行しながらホースをつないぎ、無料で燃料や水を補給する。いわば「洋上の給油スタンド」の役目だ。
過去5年で派遣された海自艦は延べ55隻、活動した隊員は同約1万600人。11カ国の艦艇に提供した燃料は46万キロリットル(ドラム缶230万本分)で海自の艦艇が使用するほぼ1年分に相当する。5年間で203億円分の燃料を提供したことになる。
だが、支援の具体的成果は見えにくく、1カ月の補給回数は、最盛期の03年5月の32回から13回程度まで減少している。国民の関心も少しずつ薄れているのも否めない。
今年2月、内閣府は「自衛隊・防衛問題に関する世論調査」を実施した。自衛隊が取り組んでいる国際平和協力活動について複数回答で挙げてもらったところ、▽イラク再建への協力(88.4%)▽国際緊急援助活動(68.9%)▽国際平和協力業務(45.3%)が上位を占め、「国際テロリズム対応」は28.5%の4位にとどまった。
久間章生防衛庁長官は「イラク戦争に反対したフランスなども参加した活動であり、テロ撲滅に効果を上げている」と話す。一方、民主党の笹木竜三衆院議員は「本当に役立っているのか、活動の実態が見えない。米国のような力で抑える行為は限界であり、日本は違う貢献の道を探すべき」と批判する。
91年の湾岸戦争時に政府が支出した130億ドル(当時で約1兆3000億円)に比べれば少ないが、活動が続けば支援額は今後も増える。海自幹部は「テロとの戦いは50年はかかると思う」と話し、長期化を覚悟する。
◇テロ対策特別措置法 01年9月11日の米国同時多発テロ後、米英軍がアルカイダの拠点があるアフガニスタンを攻撃。これを受けて同年11月、2年間の時限立法として成立した。米軍など他国軍への協力支援・捜索救助活動などを定め、03年に2年間、昨年は延長幅が1年に短縮され、今年11月で3度目の延長。当初は補給艦、護衛艦計5隻態勢だったが、現在は補給艦、護衛艦の計2隻に縮小された。
毎日新聞 2006年12月1日 13時11分 (最終更新時間 12月1日 14時38分)
http://www.mainichi-msn.co.jp/seiji/feature/news/20061201k0000e010075000c.html
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