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核クラブと日本との間で決定的に違い始めた「北核開発」の防衛線=佐藤優 [SAPIO]
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投稿者 white 日時 2006 年 11 月 29 日 17:06:27: QYBiAyr6jr5Ac
 

□核クラブと日本との間で決定的に違い始めた「北核開発」の防衛線=佐藤優 [SAPIO]

 http://seiji.yahoo.co.jp/column/article/detail/20061129-01-0401.html

2006年11月29日
核クラブと日本との間で決定的に違い始めた「北核開発」の防衛線=佐藤優
 表面的な観察ではよく見えないが、北朝鮮の核実験を巡って、東京が国際インテリジェンス戦争の主戦場であることが再確認された。
 10月9日に北朝鮮が核実験実施を発表した直後、ロシア、中国はそれが「核実験」 であるとの認識を明らかにした。慎重な姿勢をとっていたアメリカが、16日にようやく「北朝鮮の核実験を確認した」(ネグロポンテ米国家情報長官)と公式に発表したことで、世界のインテリジェンス・コミュニティーの流れが固まった。
 この頃から東京に各国から情報のプロが次々と訪れてくるようになった。筆者は既に現役を離れて5年近くになるので北朝鮮に関する秘密情報はもっていない。それでも複数の国の情報専門家が筆者に接触してくるのは、東京でアクセスすることができる公開情報や噂を整理することで、高度の政治インテリジェンス情報が入手できるからだ。某国特使として金正日と直接折衝した人物や、過去に第三国で北朝鮮情報機関とミサイル問題で交渉した人物など、現役外交官時代に親しくしていた人々と久し振りに旧交を温めた。ちなみに筆者が刑事被告人で日本外務省と緊張関係にあることもこれら外国人は熟知している。筆者との接触が外務省に露見して、外務省側がコリント(協力諜報)に消極的になっても仕方がないと腹を括っている。情報源を曖昧にせざるをえないことについて、読者にお詫びせざるをえないが、複数国の専門家から聞いた興味深い話を披露したい。
 まず、日本人が考える「圧力」がインテリジェンスの国際基準に達していない点についてだ。某情報大国で謀略工作に従事したプロの話だ。
「日本は経済制裁以上の制裁を具体的に考えているのか」
佐藤「国連による武力を背景にした制裁は考慮に入れているだろう」
「国連のような“仲良しクラブ”の話じゃなく、プロによる制裁の話だ。端的に言おう。金正日もしくは金正日の息子たちをぶっ殺すというシナリオだ。北朝鮮は本気でこのシナリオを心配しているぜ。だから核で安全保障を考えている。欧州某情報大国がカダフィ大佐(リビアの元首)を脅しあげたときの事情を知っているか」
佐藤「具体的事情については知らない」
「イラクのサダム・フセイン大統領の2人の息子が殺害された直後、惨たらしい遺体の写真をもって某国の情報屋がカダフィに会った。そして『あなたは家族を大切にされたらよい』といって取引をもちかけた。インテリジェンスで『圧力』とはこういう手法をいう。金正日にとって朝鮮民主主義人民共和国という国家は金王朝のことであり、北朝鮮国民が飢えたり、死んだりしても関係ないよ。金王朝の内在的論理と噛み合う圧力をかけないと。日本には戦前の謀略の伝統があるじゃないか。国家意志さえもてば、金正日を脅しあげるくらいの謀略は簡単に組み立てられるぜ。とにかくそういう雰囲気を出して金正日を脅すんだ」
 暗殺をカードに使うことはスパイ小説の世界だけでない。インテリジェンスの裏外交ではときどき行なわれる「ごく普通の手法」なのだ。

核兵器を放棄した南アの 「その後」を研究する北朝鮮
 ある国の対北朝鮮外交専門家はこういう。
「わが国家元首は激怒して、金正日を徹底的に懲らしめろといっている。今回は本気で怒っている」
佐藤「なんでそんなに怒っているんだ」
「金正日のクソ野郎はわれわれを騙した。何度もだ。核開発はしないと約束した。ウソつきの睾丸を縮み上がらせ、後で金正日が寝室で睾丸袋のシワを伸ばしながら、反省するような機会をつくってやる」
佐藤「北朝鮮の体制転覆を考えないのか」
「無理だ。金正日体制を叩き潰すことはできない。金正日に触れば核とミサイルが破裂する仕掛けができている。北朝鮮の原発を攻撃しても、死の灰が中国とロシアに降ってくるだけだ。風向きによっては日本にも降ってくるよ」
佐藤「どうやって金正日が睾丸袋のシワを伸ばしながら反省する機会を作るんだい」
「当面は圧力を強化するけれど、あるタイミングで対話に切り替え、北朝鮮内部の権力バランスの変更につながる経済協力を行なうことで、金王朝へのわれわれの影響力を強める」
佐藤「“先軍政治(軍事優先)”の北朝鮮で軍隊以外の受け皿があるのか」
「“先軍政治”の構造内で権力バランスの変化を考える。軍将官の金正日への忠誠競争に介入し、わが国の影響力を拡大することならば、歩留まりはあるが、可能だ」
 外国人情報専門家たちと話すうちに、国際インテリジェンス・コミュニティーのコンセンサスがだいたい見えてきた。情報のプロたちは歴史の教訓を重視する。いったん核兵器を手にしたにもかかわらず、国際社会の圧力に屈して廃絶した例は南アフリカ共和国(南ア)しかない。その結果、国際政治に与える南アの影響力は著しく低下し、経済状態も悪くなった。核不拡散体制に対抗し核実験を強行したインドとパキスタン、さらに公式の表明はしないが核保有国と見られているイスラエルは核カードを用いて国際社会における発言力を格段に強めている。このような事例を深く研究した北朝鮮が核兵器を放棄する可能性はないというのが、インテリジェンスの世界でのほぼ満場一致の分析だ。
 その上で、表面上は「核放棄を求める」
というカードを出しながら、現実には、北朝鮮の核兵器やミサイルの技術が外国に移転することの阻止を防衛線にしている。焦眉の課題はイランへの移転阻止である。朝日新聞の西村陽一政治部長が「第一の懸念は平壌からテヘランへの連鎖反応だ。イランは北朝鮮の動きにじっと目をこらしてきた。北朝鮮を先行モデルに核開発を進めれば、中東の力関係は塗り替えられ、イスラエルとの軍事的緊張が高まるだろう」(10月10日付朝日新聞夕刊)と指摘しているが、鋭い洞察だ。

悪魔とでも手を握る核クラブのエゴにどう対処すべきか
 米中露3国の「核クラブ」は不拡散のために北朝鮮という悪魔と手を握ることになると筆者は見ている。兆候はすでに出ている。3国首脳で対外インテリジェンス専門家としての履歴をもつのはプーチン露大統領だけだが、10月25日にはじめての本格的シグナルを出した。
「ロシアのプーチン大統領は25日、テレビの生放送に出演し、約3時間にわたって国民からの質問に答えた。北朝鮮の核実験については『北朝鮮を追い込むべきではない』と述べ、各国に寛大な対応を求めた。(中略)北朝鮮に近いロシア極東ナホトカの市民からの質問に対し、プーチン大統領は『(核実験は)まったく許されない』との見方を改めて示した。一方で『緊張を高める以外方法がないような袋小路に相手を追い込む必要はなかった』と、米国を念頭に批判。『安全保障と平和目的の核開発が保証されれば、北朝鮮に6者協議復帰の用意があると聞いている』と述べた」(10月26日付朝日新聞朝刊)
 インテリジェンスの常識で、この種の話が国家元首の口から平場に出てくるときは、裏での工作は相当進んでいる。米CIA(中央情報局)がヒュミント(人的諜報)体制を強化しているというのも、このような裏外交・裏工作に備えてのことなのである。
 日本のマスコミは新聞もテレビも、国際社会が圧力を強化することで、北朝鮮に核放棄という決断をとらせることが可能との幻想にもとづいた紙面や番組を編成しているが、これは読者、視聴者に対して不誠実と思う。「核クラブ」は核保有国のエゴを剥き出しにしている。各国の個別事情も重要だ。中国は国内に朝鮮系少数民族を抱え、北朝鮮情勢の混乱による大量難民の流出を懸念する。韓国は北朝鮮を封じ込めることよりも、歴史認識で日本を攻撃することに魅力を感じている。ロシアは北朝鮮の核やミサイルが拡散し、チェチェンや中央アジアのイスラム過激派に渡ることを懸念している。
 各国が露骨に国益を追求している状況下では、日本は日本の国益を断固追求するしかないのだが、具体案が筆者にも見えてこない。日本が核武装を唱えれば「核クラブ」のエゴに叩き潰される。金正日暗殺カードで北朝鮮を揺さぶる謀略能力もない。いずれにせよマニュアルで対応できない事態に日本は直面している。自分の頭で考える外交戦略を構築できないならば、日本国家が生き残れなくなるような深刻な事態が現在生じつつある。(起訴休職外務事務官)

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