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http://news.goo.ne.jp/article/asahi/politics/K2006112703970.html
国際組織犯罪防止条約を批准するために必要とされてきた「共謀罪」創設法案をめぐり、与野党の攻防のテーマとしてクローズアップされてきた問題がある。代表的な批准国である米国が、条約の国内法への適用を一部除外する「留保」をして批准している点だ。与党は共謀罪の今国会での成立をいったん断念したが、衆院法務委員会の理事たちはここに来て審議入りに執念を見せている。
これに対し、野党は「留保」問題に関する質問主意書を提出して政府を追及。回答を得るまでは審議入りに応じないと主張し、水面下の攻防が激しさを増している。
日本の刑法では、罪に問われるのは、実際に犯罪を遂げた「既遂」が原則で、「未遂」は例外。やり始める前の「予備」は例外中の例外だった。さらに前段階の「共謀」を幅広く罪に問おうというのが今回の法案だ。政府案では、600種類以上の犯罪に適用される。
政府は、こうした広範囲な共謀罪を国内法で整備しなければ条約を批准できずに「国際社会から孤立してしまう」と説明。一方、野党や日弁連は「英米法が源流の共謀罪は日本の社会になじまない」と反対してきた。
ところが、共謀罪の本家、米国は05年、条約を批准した時に「一部の州では非常に限定された犯罪に関する共謀罪しか設けていない」と宣言、条約の一部条項を留保したことが表面化。野党はこの事実に飛びついた。
政府は今国会の一般質疑で、米国の留保について知っていたと認めた上で、「連邦国家では連邦法が前提になっており、一部の州について留保されていても全体の連邦法でカバーされている」として「問題ない」と説明。限定的にしか共謀罪を設けていない「一部の州」として、バーモント、アラスカ、オハイオの3州を明らかにした。
野党が調べたところ、アラスカ州法で共謀罪があるのは殺人、性的暴行、パイプラインの破壊など20種に限定されていた。バーモントでは15種程度、オハイオでは約20種だったという。
野党側は主意書で「共謀罪の対象範囲をさらに限定することは条約上できない、というこれまでの政府の説明はうそではないか」と追及した。
与党側は「自分たちが知らなかった部分もあり、こうした点を明らかにするためにも審議をするのが正しいやり方ではないか」と応酬。審議入りを強行する可能性をちらつかせ、野党を揺さぶっている。
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