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http://www.asahi.com/politics/update/1125/002.html
衆院補選と知事選を3勝1敗で切り抜け、順調な滑り出しにみえる安倍政権だが、隠れた弱点がある。昨秋の郵政選挙で小泉圧勝の原動力となった20〜30代の若者層の離反がそれだ。自民党の広報戦略チームもその層を「プリクラ世代」などと名付けてひそかにリサーチを進めるが、もう一つの壁にぶちあたった。長期不況の就職難でニートやフリーターが多いこの「失われた世代」の関心は「改憲や教育改革より年金や景気」だという。つまり、政権が進める政策の方向性と微妙にずれているのだ。
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福島知事選に敗れ、世論調査で安倍内閣の支持率が急落した直後の今月14日。自民党本部4階の幹事長応接室に集まった「広報戦略チーム」(座長・中川秀直幹事長)は重い雰囲気に包まれた。
「郵政造反組の問題が効いている」。支持率急落について中川幹事長が復党問題に言及すると、出席者の一人は「小泉政権に比べ改革イメージが後退している。それが無党派や若者の安倍離れにつながっている」と指摘した。
政権発足に合わせ、世耕弘成首相補佐官や片山さつき党広報局長らが10月に立ち上げたこのチームはもともと、来夏参院選に向けいかに若者層を獲得するかに照準を合わせていた。電通など大手広告会社に依頼した世論調査と世代分析によると、以下のような結果が出ていたからだ。
(1)政権末期の小泉内閣への世代別支持率は、「Hanako世代」(40代前半)など他世代が30%前後なのに比べ、20代が中心の「プリクラ世代」が52%で突出していた。
(2)プリクラ世代の特徴は「モバイル好きでファッションはストリート系。ムードに流されやすく自分の生活や趣味を大事にする」。
(3)その上の団塊ジュニア世代(30〜35歳)の特徴は「目標や目的意識が明確。社会問題に関心はあるが、同時に自分らしさも追求したい」。
(4)この二つの世代は、安倍政権が掲げる憲法改正や教育改革には関心が薄く、景気対策や年金問題など身近な争点の方に反応する。
――教育改革と経済成長路線を二枚看板にしつつある安倍政権のアジェンダ(政策目標)設定が、こと若者層対策ではミスマッチになりかねないのだ。チームのメンバーの一人は言う。
「メッセージが弱い首相のあいまい路線、やらせ質問や教育問題での後手の対応、そして復党問題。若者層を離反させることばかりだ。企業寄りの成長戦略では若者層の支持は期待できない」
その不安は19日の沖縄知事選で勝った後も消えない。チームは年明けから本格化する参院選のマニフェストづくりにも参画する。世論調査と民間企業のマーケティング手法を駆使して世代や性別ごとに政策の感応度を測り、いわば「若者に売れる商品」たる政策を吟味するという。
格差是正を争点化しようとする民主党も若者層に視線を注ぐ。松本剛明政調会長は22日の記者会見で「社会保障に対する信頼の回復は、高齢者に限らず、実質的に年金を負担する若い人にとっても大きな問題。非正規雇用も大きなテーマになっていく」。若者層の獲得合戦が触媒となって2大政党の政策論争に影響が出てくるかもしれない。
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