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クローズアップ2006:自民、復党手続き着手 大義名分、乏しく
「郵政造反組」の無所属議員 自民党は21日、郵政民営化造反組の復党に向けて党紀委員会が非公式に意見交換するなど、党内手続きに着手した。当面は現職議員の復党を先行させる方針だが、「刺客騒動」を繰り広げた衆院選からわずか1年余りでの転換だけに、大義名分に乏しい。「民営化賛成」の踏み絵を拒む平沼赳夫元経済産業相や、落選議員らの処遇をめぐり党内の対立はエスカレートしており、世論をにらみつつ着地点を探る執行部の立場は厳しい。【中川佳昭、鬼木浩文】
◇「平沼氏処遇」で亀裂
「(復党問題は)小泉改革の後遺症だな。これまでも節目節目で筋を通してきた。あまり変なことはしたくない」
無所属議員12人のリーダーでもある平沼氏は、最近周辺にこう語り、持論の郵政民営化反対の取り下げに難色を示した。
昨年の衆院選から1年余りで自民党が造反組の復党に動くのは、来夏の参院選で焦点となる1人区対策には造反組の協力が不可欠、との計算がある。青木幹雄参院議員会長ら参院幹部は平沼氏ら12人だけでなく、落選組も含めた造反組の一括復党と繰り返し主張。こうした流れで調整が進むかに見えた。
ところが、執行部の調整役である中川秀直幹事長は、こうした流れにブレーキをかけた。もともと大義名分に乏しく世論の批判を招きかねないだけに、まずは現職議員と落選組を区別。現職についても「郵政民営化賛成」が条件との基準を明確にした。造反組の無所属議員全員が16日の衆院本会議で教育基本法改正案に賛成し「復党への環境整備」との見方が党内で出た際も、中川氏は「復党の踏み絵にはならない。あくまで郵政民営化だ」と強調、賛成を明確にしない平沼氏をけん制した。
こうした中川氏らの考えに青木氏ら参院幹部は猛反発。青木氏は周囲に「郵政民営化が踏み絵などと全く無意味なことを言っている」と語り中川氏を批判した。青木氏の盟友、森喜朗元首相も、長年の側近である中川氏への批判を強めていた。
安倍晋三首相は、元々親密な平沼氏の復党を巡って「中川VS森・青木」の間にはさまれた格好。ただ首相も先の衆院統一補選、沖縄県知事選勝利の立役者である中川氏には遠慮があり、政権ナンバー2との意見対立は避けたいのが本音。「造反組への世間の批判は想像していた以上だ。中川氏とよく相談して決めたい」と周辺に語り中川氏への一任をほのめかす。
中川氏は「復党願」の提出を条件とし、党改革実行本部での意見聴取も手続きに含めるなど、平沼氏のハードルは次第に高まっている。青木氏も中川氏主導の調整もやむなしとの考えに傾いているようだ。ただ、仮に「現職先行」で軟着陸しても、かつての「刺客」が残る小選挙区での公認調整が難航することは必至だ。
◇落選組、心境は複雑
造反組の復党の審査にあたるのは、党紀委員会(笹川尭委員長)。21日に会合を開き、意見交換を行った。しかし、自民党には離党者の復党に対する明確な基準らしいものはなく、その時の政治状況に応じてのさじ加減次第というのが実情だ。
現に、90年代前半の政界再編で新党結成に参加したものの、後に自民党に復党した議員は、二階俊博国対委員長、野田毅元自治相、船田元・津島派事務総長、園田博之元官房副長官ら枚挙にいとまがない。党紀委員長の笹川氏自身、旧新進党からの復党組だ。
93年の政権転落から約1年で政権に復帰した自民党は、橋本政権下で当時の野中広務幹事長代理らが新進党からの離党者を「一本釣り」した。政権の安定を図る「多数」志向が復党への無原則さを助長してきたとも言える。
今回、中川氏らが現職議員と、落選組を区別する基準として挙げるのが2度目の郵政民営化法案採決で賛成したことや首相指名選挙での安倍首相への投票。平沼氏を除き復党のハードルは比較的低いとみられるが、切り離されかねないのが落選組。そもそも、国会で採決にのぞむ機会はないだけに、21日の党紀委員会後、笹川委員長は個人的意見と断ったうえで「(落選組を)差別する理由はどこにもない」と語った。
とはいえ落選組は、じっと党内の論議を見守るしかない。安倍首相の信頼が厚かったが、昨年の衆院選で片山さつき衆院議員が「刺客」となり静岡7区で落選した城内実前衆院議員は「復党問題は平沼さんに一任している。平沼さんと安倍首相が決めること」と言葉少なに語った。岐阜4区で落選した藤井孝男元運輸相も「協議を見守るしかない。こちらから条件を付ける話ではない」と静観。党内には来夏の参院選に出馬する前職を優先的に復党させるという議論さえある。
◇現職「年内」なら、交付金が2億5000万円増
自民党執行部が復党問題の年内決着にこだわる背景には、年内に復党すれば来年の自民党への政党交付金が膨らむという事情がある。仮に現職無所属組が復党すれば約2億5000万円超の増額で、党にとっても議員にとっても、無視できない問題だ。過去にも政党の離合集散は年末に繰り返されており、今回も駆け込みの色合いが濃いと言えそうだ。
政党交付金は政党助成法に基づき総人口に250円を掛けて総額を決定。その半分は1月1日時点の所属議員数の割合、残り半分は直近の国政選挙の得票率を基に各政党に配分される。自民党の来年の交付金を試算すると、12人の年内復党なら約2億7800万円、11人なら約2億5500万円増える見通し。
年明け復党だと交付金は増えない。また、落選議員の復党も配分には影響せず、執行部が現職を優先させる要因になっているようだ。
過去のケースを見ると、02年12月に保守党と民主党からの離党議員が保守新党を結成した際にも政党交付金目当てとの批判が上がった。96年12月の太陽党結党や97年12月の新進党分裂のタイミングなどにも政党交付金が影響したといわれる。
毎日新聞 2006年11月22日 東京朝刊
http://www.mainichi-msn.co.jp/seiji/seitou/news/20061122ddm003010043000c.html
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