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□<近聞遠見>平沼赳夫の「ここ一番」 岩見隆夫 [毎日新聞]
http://seiji.yahoo.co.jp/column/article/detail/20061118-01-0301.html
2006年11月20日
<近聞遠見>平沼赳夫の「ここ一番」 岩見隆夫
憲法第43条は、
<衆参両議院は、全国民を代表する選挙された議員でこれを組織する>
と規定している。議員は<全国民の代表>だが、そのことと所属政党の党議拘束との関係はたえず微妙である。
拘束を厳格にしすぎると、<全国民の代表>としての憲法上の立場が揺らぐ。いま自民党をにぎわしている郵政造反組の復党問題は、そうしたことにからむ重大なテーマだ。
復党交渉窓口役の中心人物、平沼赳夫元経済産業相は政治家としての正念場に立つことになった。平沼の決断は政党政治の今後のあり方に一石を投じるからだ。
なぜなら、郵政民営化法案に反対して自民党を追われた無所属議員12人のうち、平沼一人だけが、昨年9月の衆院選後の特別国会に再提出された同法案に、再び反対票を投じ(あとの11人は賛成票)、信念を貫いた。
採決の前に、安倍晋三幹事長代理(当時)から、
「憲法や教育基本法の改正が控えているので、なんとしても賛成し、自民党に戻ってほしい」
と懇願されたが、平沼は、
「郵政民営化反対は私の政治信念だ。ここで賛成すれば政治家としての分(ぶん)が立たない」
と断ったという。分は、本分という意味だろう。
これまで、平沼はその理由として、
一、郵政民営化はアメリカの要望に盲従したにすぎず、改革の名に値しない。
一、民営化法が成立すれば、国民の虎の子ともいうべき総額340兆円もの郵貯・簡保資金が海千山千の外資の餌食になる恐れが十分だ。
一、従って、この<えせ改革>には、国家的見地から信念をもって反対する。
――などと述べてきた。2度目の反対のときは、無所属だから党議拘束はなく、<全国民の代表>としての1票である。
今回の復党条件として、中川秀直幹事長は、自民党の政権公約の順守などをあげ、
「踏み絵を踏んでもらう」
としてきた。平沼には郵政民営化賛成に切り替えることを求めているわけだ。
平沼はどう対応するのか。
「私の復党は若干タイミングがずれるかもしれないが、戻ることは確実だ。幹事長が踏み絵を踏ませるのであれば、やり合おうと思う」(11日、岡山県の講演で)
と述べ、いまのところ、賛成に転じるのを拒む構えをとっている。これまでの言動から、当然の心境だろう。
最後まで平沼が信念を通した場合、自民党はどう裁定するのか。最終決定者である安倍首相が逆に<踏み絵>を踏まされるハメになる。
麻生太郎外相らは、
「たったひとつの法案で意見が合わなかったからといって、離党に追い込んだのは、基本的にやりすぎだ」
と小泉純一郎前首相の徹底した排除主義を批判するが、信念を曲げない平沼の復党を受け入れれば、結果的に安倍が小泉のそうした<やりすぎ>を認めたことになる。
同時に、党議拘束が緩められ、小泉以前の融通の利く自民党に戻る。だが、小泉側近として、ただの法案でなく、<改革の本丸>と位置づける郵政法案に取り組んできた安倍にとっては、苦しい選択になるだろう。
最近の核論議にしろ、一政党のなかで多様な意見が渦巻く時期だ。党議拘束のシバリをかけ過ぎるのは、政治の活性化のうえからも好ましくない。
平沼問題の行方は、<全国民の代表>としての比重を高めるかどうかに深くかかわってくる。平沼の、ここ一番を注視したい。(敬称略)
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