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□TBS「報道特集」が「北朝鮮帰還事業〜その大罪」を放映
http://blog.goo.ne.jp/harumi-s_2005/e/17cda53cde4da181380754934fdedf16
TBS「報道特集」が「北朝鮮帰還事業〜その大罪」を放映
坂井貴司です。
転送・転載歓迎。
ここ2,3ヶ月間はずっと北朝鮮特集をやっているTBSの「報道特集」が、
1950年代から70年代にかけて行われた「北朝鮮帰国事業」の特集を今日
(12月17日)放送します。
TBS「報道特集」
http://www.tbs.co.jp/houtoku/
「いよいよ再開!6か国協議〜北朝鮮の戦略」
「北朝鮮帰還事業〜その大罪」
名作として名高い映画「キューポラのある街」(1962年制作)で、このような
場面が出てきます。
在日コリアンの友人が北朝鮮へ「帰国」すると告げられらた主人公のジュンが、
うれしそうに
「まあ、朝鮮へ帰るのね。よかったわね」
と喜びます。友人は複雑な表情をします。
当時、ジュンのようにほとんどの日本人は、在日コリアンは「祖国」北朝鮮へ
「帰国」するものと思っていました。だから「帰国事業」と言いました。
私もまた、最近までそう思っていました。
しかし、多くの人々が重大な事実を見落としていました。
在日コリアンの90%以上は38度線以南の韓国部出身者であったことです。
沖縄出身者が同じ日本だからと言って北海道に「帰国」するようなものです。
「帰国」する在日コリアンにとっては、見知らぬ北朝鮮への移住というのが実
情でした。しかし、そのことを一番よく知ってい朝鮮総連や、社会主義国家に過
剰な思い入れをしていたジャーナリストが多かったマスコミ、旧社会党、共産党、
そして、在日コリアンをアカで生活保護に寄生する厄介者と見なしていた日本政
府や自民党、日本赤十字社は、一体となって「帰国」を煽りたてました。
ある人は差別と貧困から逃れるために、ある人は「祖国」で成功を夢見て、あ
るいは教育を受けるために、続々と「帰国」して行きました。それを見てほとん
どの日本人は、彼らは「祖国」で幸せに暮らしている思いました。
しかし、日本に残った在日コリアンたちは「帰国」した家族や友人たちからの
手紙で、北朝鮮は「地上の楽園」ではなかったことを知りました。手紙のほとん
どが婉曲な言い回しで生活の苦しさを伝えていたからです。また、行方不明が続
出しました。そのことをマスコミはあまり伝えませんでした。
そして、1997年ごろから急増した北朝鮮難民(脱北者)の中に「帰国」し
た在日コリアンがいます。人々は訴えます。
「北朝鮮は祖国ではなかった。私たちはパンチョッパリ(半分日本人野郎)と
罵られ、事あるごとに南朝鮮(韓国)のスパイ、米国や日本の工作員と疑われ、
監視された。逮捕されて処刑されたり、強制収容所に送られた人もいる。出身成
分(身分)は動揺階層と規定され、結婚も就職も進学も差別された。日本からの
送金や援助物資のみで生きている人がたくさんいる。
何が地上の楽園だ。私たちは騙された!」
在日コリアンのオペラ歌手、田月仙さんの二人の兄は、希望に燃えて北朝鮮に
「帰国」しました。その直後行方不明になりました。10年にわたる必死の探索
の末、あまりにも悲惨な事実が明らかになりました。二人とも北朝鮮に到着直後、
韓国のスパイとして逮捕され、強制収容所に送り込まれました。一人は拷問で殺
され、一人は釈放されたものの、辺地の農場に送られ強制労働を課せられました。
その後、田さんは北朝鮮を訪問してその兄と再会します。部屋に盗聴器が仕掛け
られているため、自由な会話ができませんでした。兄は目をギラギラと光らせて
必死で訴えていたと田さんは証言します。そして、二人の兄にそのような仕打ち
をした最高権力者、金日成を讃える歌を田さんはその男の前で歌わされました。
大阪にあった旧陸軍の兵器工場跡地に眠る金属スクラップを掘り出して売り飛
ばす在日コリアンの姿を描いた小説「夜を賭けて」(ヤン・ソギル著)で、朝鮮
高級学校に通う少年が登場します。彼は北朝鮮に「帰国」を希望しています。小
説では彼の父親は「帰国」に賛成します。そして「帰国」した直後、行方不明に
なります。父は「帰国」させるべきではなかったと後悔します。
映画では逆に「帰国」に反対します。
その小説の主人公の息子も、父の反対を押し切って「帰国」しますが、不遇の
内に死亡します。
同じくヤン・ソギルの小説「骨と血」の最後で、主人公の金俊平は突然北朝鮮
に「帰国」します。それも「帰国」希望者がほとんどいなくなった1980年代
にです。家族のためにはびた一文たりとも使わなかった彼は、1億円近い全財産
を北朝鮮政府に寄付します。その彼を北朝鮮政府は餓死で報いました。映画では、
薄汚れた家の粗末なベッドの上で金俊平は息絶えます。済州島から大阪に移住し
た若き日を思い出しながら。
私は、日本人拉致事件以上に、この「帰国事業」ならぬ棄民事業に怒りを覚え
ています。最後の望みをかけて、あるいは夢と希望に燃えて「帰国」した同胞た
ちを金日成体制は使い捨ての奴隷労働力として、また金づるとして冷酷に扱いま
した。これは犯罪です。そして善意だとしても「帰国事業」に協力した日本人た
ちも責任があります。もちろん左だけでなく、これでやっかい払いができると後
押しした政府や自民党、日本赤十字社などの右もです。
日本人拉致被害者と同じぐらい、「帰国事業」に関心を持ってもらいたいと思
います。
坂井貴司
福岡県
E-mail:suikyounomizu@cnc.megax.ne.jp
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