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我ら言葉のほかに失うものなし
天木・筆坂熱血インターネット対談
2006/12/17(Sun)
外国から眺める日本の姿(天木)
外国から眺める日本の姿
天木直人
北京に2日ほど滞在して日本に帰ってきた。私は個人的な事業で北京を往復する事が多いのであるがその度に感じることがある。それはひと言で言うと、猛スピードで国際社会の主役の一員になろうとしている中国の姿と、その逆に世界から疎外されつつある日本の姿である。
今回の北京訪問でもそうであったが、わずか2日の滞在で見た現地の報道やホテルのCNNから流れるニュースと、帰国して接する日本の新聞やテレビの報道を比較してそう感じるのだ。勿論私が中国で読む新聞は宣伝色の強い英字新聞デイリーチャイナである。またニュースの表面を一瞥しただけで判断するのはあまりにも皮相的だという批判もあるだろう。しかし官製ニュースやニュースの皮相という制約を割り引いても、なお否定できない大きくかつ明瞭な流れがそこには確実にある。
北京で連日一面に訪問されていたのは米中経済戦略対話であった。元ゴールドマンサックス会長のポールソン財務長官をはじめ閣僚クラスの人物が押し寄せ米中経済関係の懸案を協議する史上初の戦略対話の中心は肥大化する対中赤字を理由に人民元の切り上げを迫る米国とこれに抵抗する中国の駆け引きであった。そして今回もまた中国は譲歩しなかった。それでも米中は、お互いの違いを公然と批判しながら、その一方でお互いにとっての重要性を認めて、更なる米中経済交流の進展に合意したのである。
いまから20年ほど前同じく対米黒字を批判され、円通貨の切り上げを迫られた日本政府が、「いくら切り上げればよろしいでしょうか」と米国の言うままに譲歩し、その結果日本経済を破滅に導いたのと、あまりにも対照的である。
近く北京で始まる北朝鮮を交えた6カ国協議でも主役は中国と米国だ。これ以上核開発を進めない、テロに核を渡さない、といった条件と引き換えに米国は米朝関係を進展させるのではないかという推測時事がここに来て飛び交っている。パレスチナ問題では米・欧・国連・ロシアのいわゆるカルテットに中国も参加して和平実現に貢献してほしいとアラブ側から要望が出されたという報道もなされている。中国は確実に国際政治の場で存在感を高めている。
帰国して目にした日本のニュースは、防衛省格上げ法案や教育基本法改正法案の成立をめぐる野党の無力な抵抗、増税一色の税制改革、タウンミーテングのやらせに対する安倍総理の謝罪による幕引きなど、どれ一つとっても国民にとって何のプラスにもならないもの、無益、不要な事ばかりである。日本の再生、活性化、国民の暮らしの改善にとって喫緊な政策課題は山ほどあるのに、すべて先送りされている。しかも国民はそれらを奇妙な沈黙で認めている。日本は政府も国民も、急速に変転する世界のパワーバランスから確実に取り残されつつあるのだ。
おそらく日本は、明るい見通しが持てないまま、それでも深刻な事態に至ることなく、なお暫く危機感のない閉塞状態が続いていくであろう。それはまだ日本には余力があるからである。国民にはまだ暮らしていける所得を辛うじて持っているからである。
しかし事態はより深刻さを増していくことは間違いない。政府の不作為を見過ごせないほど社会や経済が行き詰まり、さすがの国民も悲鳴をあげる時がくるであろう。政府もそれが分かっているに違いない。だからこそ国家権力を強化する体制を急速に進めているのではないか。政府に抵抗する国民を取り締まり、国民同士を離反させて国民の抵抗力を弱体化させようとしているのではないか。
これまた後ろ向きの姿勢である。本来は国民の自由と人権の回復を目指したはずの戦後の日本政府が、自らの保身のために歯向かう国民を押さえにかかる。わずか60年で過去の日本の歴史は逆戻りしつつあるような気がしてならない。
http://www.tembosha.com/kd_diary/kd_diary.cgi?20061217
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