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石原都知事:文化事業めぐる親族、知人起用に批判高まる
毎日新聞 2006年12月16日 10時34分 (最終更新時間 12月16日 13時15分)
http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/wadai/news/20061216k0000e040019000c.html
(写真 トーキョーワンダーサイト本郷の入口にある石原都知事の四男がデザインしたステンドグラス=東京都文京区本郷で13日、兵藤公治写す)
(写真 石原都知事の四男がデザインしたステンドグラスがあるトーキョーワンダーサイト本郷=東京都文京区本郷で13日、兵藤公治写す)
来春の東京都知事選に3選出馬を表明した石原慎太郎知事(74)が、都の文化振興事業に画家の四男や知人を参画させていたことに批判が集まっている。石原知事は「余人をもって代えがたかったら、どんな人間でも使う」と言い切るが、身内びいきともとられかねない行為で、知事の姿勢が問われている。【北村和巳】
問題の事業は、若手芸術家育成を目的に石原知事の発案で01年度から始まった「トーキョーワンダーサイト事業」。作品発表や交流などのため都内に三つの施設が設けられた。今年度の都立文化施設への都費支出が02年度比で2〜4割カットなのに比べ、同事業は8.4倍の4億7152万円と突出。
知事の四男延啓(のぶひろ)氏(40)の関与は、同事業の開始当初からだった。最初にオープンした施設のステンドグラスの原画をデザイン。そして、03年3月の1カ月間と03年6月〜04年3月にアドバイザーとして事業の役職に就いた。
延啓氏は現代美術の画家で米国にも留学。国内各地で個展を開いている。石原知事は「息子でありながら立派な芸術家。交際範囲が広く若手芸術家仲間もたくさんいる」と評する。
その延啓氏が▽03年3月18〜26日のフランスなど訪問(旅費約55万円)▽同年6、9月の2回の国内視察(旅費計約6万円)で公費出張。石原知事が04年1月にスイスで開催したレセプションで、大鼓公演の舞台装置製作のため2回現地入りした際の旅費125万円も事実上、公費だった。
また、この事業を切り盛りするのが延啓氏の友人で建築家の今村有策氏(47)。01年12月に文化行政担当の都参与となり、同時に施設の館長を兼ねた。副館長には今村氏の妻が就任。夫妻の人選に石原知事は「現代美術に精通し、彼ほどの適材はいない。奥さんも芸術家に顔が広く語学も堪能。夫婦だからこそ、気脈が通じて運営がうまくいく」と説明する。
延啓氏のスイス出張の際、都職員と今村氏との電子メールが公文書として残っていた。そこには「大鼓演奏者に延啓氏へ舞台装置製作を発注してもらい、演奏者との契約の中に延啓さんの旅費を含める」との内容や、延啓氏への報酬の相談が記されていた。
都庁にはメールや電話で「公務への近親者起用は控えるのが常識」などと300件近い批判が寄せられている。石原知事は「彼(延啓氏)の企画でずいぶんおもしろいことをやった。(延啓氏の関与が)フォーカスされるのは、こっちにとっても息子にとっても心外。事業は充実してきて外国でも評価されている」と実績を強調する。
◇「丁寧な説明必要」
この問題について、延啓氏と面識のある美術評論家の千葉成夫・中部大教授(現代美術)は「延啓氏は大勢いる現代美術家の一人という認識」としたうえで、「為政者の立場にある人は、身内を使うべきではない」と指摘。前宮城県知事の浅野史郎・慶応大教授(地方自治)は「石原知事の木で鼻をくくったような弁明が反発を呼ぶ。都民の納得を得るには丁寧な説明が必要」と話す。
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