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株式日記と経済展望
http://www5.plala.or.jp/kabusiki/kabu133.htm
http://blog.goo.ne.jp/2005tora/
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安倍首相の曖昧戦略に関して。結論的に言うと、これは恐らく
90年代前半までは通用した手法で、現在は無理だと思う。
2006年12月15日 金曜日
◆安倍政権雑感など 12月12日 カワセミの世界情勢ブログ
http://kawa-kingfisher.sblo.jp/article/2255931.html
ここしばらくテレビなどで断片的に報道されている話題に関して軽く感想など書いてみる。現在の安倍政権に関してだが、どうも潮目が良くない。手堅い顔ぶれと思っていたが妙に浮世離れしているのである。
まず中川官房長官。いくつかの雑誌で報道されている所によると、復党問題は当選している12人については世論の反発も少ないと踏んでこのような形を取ったと言われている。その真偽はともかく、議員を辞めるという事まで条件を付けたというのは異様な話である。言うまでも無くその権利は本人と有権者にしかないのであり、せいぜい自民党から追放するというのが最大限の処罰であろう。これはまともに政権を担える政党が自民党しかないという意識の無意識な反映なのだが、こういう点に自覚的になっておかないと足元を掬われる。復党問題に関しては以前にも書いたが、素直に別の政党として政治活動をすれば良いだけの話だ。その上で連立政権なり閣外協力を考えれば良いだろう。
この種の世論との乖離はこれまでの自民党の政治も良く出てきた。その本質は、自民党の国会議員が立法府そのものを軽視しているという問題である。党の中でどう地位を得るか、行政府に属することが可能かどうか(つまり大臣等の役職につけるかどうか)という事に一義的な関心があるからだ。これは野党の無力がその大きな原因の一つなのだが、構造上の問題も無視できない。大統領制と違って内閣が法案を提出可能であり、委員会の権威が例えば米国などのそれと比較して低いからだ。これを改革するには、議員の数をかなり減らすしかないと思う。特に参議院に優秀な人材を集めるべきであろう。
次に久間防衛庁長官。先日も米国向けのミサイルは実質的に迎撃できないという発言をしていたが、今回も小泉政権時のイラク戦争支持は公式見解ではない云々という話をしていた。これらの発言はそれぞれ法理的な原則や実質的な部分を重視した、いわゆる行政官僚の意見に近い。恐らく久間氏は自民党内で各種立法作業における実力は高いと認められていた人物に違いない。にも関わらず、地位と人物の関係は実に微妙である。内閣総理大臣の下、国防に関して首相に準じる最高クラスの権限を持つ人物の発言としてはどうであろうか。理念的な原則を示すのは首相としても、その下で戦略を示す最高責任者が枝葉末節に口を出している印象は否めない。ミサイル防衛に関しても、野党に対して毅然と「日本国憲法の平和主義を、やるべき事をやらずに済ませる言い訳に使うのは憲法を貶める事に他ならない。同盟国の人命を尊重しないそのような意見には、護憲派を自認する政党が真っ先にその道義性を非難するのが自然な事であり、そうでない事には驚きを禁じ得ない」とでもコメントしておけば充分であろう。
これで思い出したのが、先日竹中氏が閣僚時代のエピソードを語っていた記事である。この「戦略は細部に宿る」という部分は、ただ読むとそうかと聞き流してしまう。が、このエピソードは日本の政治の問題点も如実に示している。ここでは、「大きな戦略のためには細部の積み重ねが重要である」という言い方に抑えなければならない。なぜなら、閣僚がそのレベルに口を出すべきではないからだ。ここでは竹中氏が「1m先へ行け」と示したとしている。しかしそれは本来閣僚の仕事ではない。やはり10Km先の目標を断固として示し、そこに至る経路に関して行政官僚の複数のチームに出来れば各々複数の案を作らせ、それらの案を取捨選択、整理統合し、最終案を決定するべきである。もちろんやや大きなマイルストーンが見込まれる場合には閣僚自ら示しても良いが、それは二次的な問題である。
最後に安倍首相の曖昧戦略に関して。結論的に言うと、これは恐らく90年代前半までは通用した手法で、現在は無理だと思う。曖昧と報道されている時点で失敗で、柔軟と報道されなければならない。即ち、核になる理念や政策があって、それを実行するための手法は臨機応変に対応しますよ、というメッセージが国民に伝わってなければならない。現時点では出来ていないと思う。コアになる短いメッセージを発して、実力のある閣僚を信頼して任せているとせねばならないだろう。実際、主要な民主主義国で人気のあるリーダーは明確に理念を語っているのである。日本も例外ではないというだけであろう。長々としたスピーチを魅力的に出来るかといえば、それは日本人に少ないタイプなのかもしれないが。
それにしても小沢民主党は困ったものである。安倍内閣はそれほど良いものとは思えない。個々人の能力は恐らく歴代内閣でも高い部類であろう。しかし、有機的な繋がりをもって行動しているかというとそうは思えない。国民の政治家に対する要求水準が高まっている今はチャンスなのだが、今の野党がそれを生かせそうも無いのは残念だ。なまじ来年の参院選では健闘しそうなのが逆に残念でもあるくらいだ。
(私のコメント)
安倍政権も三ヶ月が経ち様々な安倍内閣論が出てきましたが、どうしても小泉内閣と比較されてしまう。小泉内閣でも官房長官などを歴任してきたから、タウンミーティングの問題など攻撃されても当事者だから回避する事ができない。小泉首相なら例によってはぐらかしの答弁で誤魔化せるのでしょうが、安倍総理には性格的にその手が使えない。
復党問題についても小泉前首相がよく復党に了承したなと思うのですが、復党に了承するくらいならなぜ解散総選挙までして郵政反対組みを自民党から追放したのかわからなくなる。株式日記では分らない事があるとアメリカの陰謀だと書きたてるのですが、郵政法案の成立はそれくらい小泉内閣にとっては最優先課題でありアメリカからの厳命だったのだ。
アメリカに対する公約を果たした以上、内閣が代わって復党させれば問題はないと見ていたのでしょうが、中川幹事長が予想以上に問題を長引かせて大問題にしてしまった。株式日記では中川幹事長に任せたりせずにリーダーシップを持ってやれと12月3日に書きましたが、小泉流の敵を作って攻撃するといった手法は国民には受けても自民党が壊れてしまうから出来ない。
安倍内閣支持率も41%まで落ちてきましたが、小泉内閣のように中国や韓国を挑発して靖国批判させたらどうなるのだろうか? ネットのブログなどを見ても安倍首相が訪中訪韓してから熱が冷めてしまってしらけた雰囲気が満ちてしまっているのですが、中国や韓国が政権の支持獲得のために反日を利用しているのだから、日本も対抗して反中反韓反北で支持率を上げたらどうだろうか?
もっともこのような事はアメリカの指示がなければ出来る事ではなく、そのアメリカがイラクでふらついているのだから安倍内閣も穏便な外交で様子を見なければならない。アメリカは中国にイラクと北朝鮮で王手飛車取りで攻められてアメリカの財務長官とFRB議長などの大型の代表団を送ってドルを売らないでくれと懇願している。
安倍内閣がなすべきことは当面は小泉内閣が残した外交や内政の後始末をする事であり、外交は訪中と訪韓で何とかカバーできたが、内政では復党問題などで内閣の指導力が問われて支持率を下げている。小泉内閣の失政をカバーする事だから国民の反感をかうのはある程度やむをえない事ですが、復党問題は安倍内閣が登場した時点で隠れた公約みたいになっていた。
更に支持率が下がり気味なのは内閣における指導力で軋みが聞こえてくるのですが、久間防衛庁長官の失言や道路特定財源における塩崎官房長官の失態は政権の行く手に悪い予感を感じさせる。教育基本法や防衛庁の省への昇格などあまりにもスムースに行ってしまったので気が抜けてしまったのかもしれないが、野党もだらしがないので政治に緊張感がなくなってしまった。
日本の総理大臣はアメリカの大統領よりも権限が集中しており、情報も一箇所に集めるように出来ているが首相一人でそれらを裁く事は不可能であり、だからこそ官邸を強化して側近を増やしたのですが、それがあまり機能していない。首相補佐官といえば総理の手足とならなければならないのに各省庁からスポイルされて機能していない。大臣ですらお客様なのに補佐官では相手にされないのだ。
最近の歴代の総理大臣を見ても在任中に大平総理や小渕総理などが過労とストレスで亡くなっている。よほど図太い神経をしていないと持たないポストなのですが、日本が核保有国になったらそのボタンを押す権限まで与えられるのだから更にストレスは増加する一方だ。その点で安倍総理はおぼっちゃん育ちで一抹の不安があるのですが、小泉総理ですら在任中はなかなか眠れなかったそうだ。
そのために日本では総理の在任期間が短くて二年ほどで内閣を放り出してしまう総理が多い。政治家を志す以上は総理を目指すのが当然なのですが、日本の政治家は小沢一郎のようにいつでもなれたのにしり込みしてしまう政治家が多い。日本の政治のトップリーダーともなると一人で決断しなければならない事柄も多く、欧米のトップとも資質が互角でなければやっていけなくなってきている。
小泉総裁には飯島秘書が汚れ役を一手に引き受けていましたが、安倍氏にはそのような人材はいない。総裁ともなると毎日が分刻みのスケジュールで考える暇がなくなり参謀的な人材はどうしても必要だ。だから首相補佐官は国会議員よりも政治のプロ中のプロがなるべきなのだが、個人的な繋がりが必要だ。しかしそのような人材を養成するシステムは日本には無い。
議員秘書も選挙対策で追われて政策担当秘書は機能しておらず、議員秘書は使い捨て要員で大事にしない議員も多いようだ。公的な総理秘書は各官庁から出向で来てはいるが連絡役でしかない。だから小泉総理のようなアドリブの受け答えが出来ないと役人からのレクチャーに流されてしまう。するとどうしても無難な曖昧な答弁が連発される事になる。それでは国民は総理のリーダーシップに不安を持つようになる。
株式日記は政治関係者や各官庁の役人からアメリカ行政機関から米軍にいたるまでの広い読者がいる。政治や経済や外交など広い分野を分析しているからですが、見当はずれな事は書いていないことはバックナンバーを見ていただければわかるはずです。安倍総理のスタッフにも読んでいただいて役に立っていればいいのですが、それは分からない。
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