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自治体の破産がはじまった
地方を切り捨てて愛国をいう安倍内閣
安倍政権は、「いざなぎ景気」を超す最長の景気をアピールし、これが「構造改革」の成果だと主張している。しかし、国と地方自治体の借金は増え続け、総額で1000兆円以上となった。「夕張メロン」で有名な北海道夕張市は、財政再建団体に転落した。国や地方自治体の財政破綻は、既に始まっている。
夕張市は「倒産」した
夕張市の標準財政規模は、約45億円だ。これに対し、累積赤字は600億円以上に膨らんだ。夕張市は、今後は民間企業が会社更生法や民事再生法を適用して倒産した場合と同じ扱いとなる。
夕張市は80年代に「炭鉱から観光へ」をスローガンに、巨費を投じてテーマパークやスキー場を建設した。施設の建設費や、これを運営する第3セクターへの債務保証、貸し付けが赤字の3割近くを占めたが、バブル崩壊後客足は伸びなかった。
財政破綻の責任をとって、約270人の市職員は4年間で70人まで減らされる。市長以下、職員給与の引き下げも行う。しかも、住民には重い負担がのしかかってくる。
夕張市を指導する立場の総務省は、住民の悲鳴を切り捨て、容赦なく「全国最低水準」を押し付ける構えだ。11月21日の記者会見で、菅総務相は「それなりの厳しいことは必要だ」と語り、まるで「自業自得」と言わんばかりの対応だ。
市民税の内、個人・均等割分は17%、所得割分は8%も増加する。これ以外にも、固定資産税5%、軽自動車税50%、下水道使用量66%が負担増となる。
現在47人が入居している市営の養護老人ホームは、08年度末に閉鎖される。その他に、図書館や美術館、市民会館など17の公共施設の休止・廃止も決まった。
11月18日から市が行っている住民説明会では、「憲法の下では誰もが最低限の生活をする権利がある」「この通りにやったら私たちは死んでしまう」と、住民から強い批判が噴出した。
一度財政再建団体に転落すれば、自治体は国の直接的な管理下に入る。「鉛筆一本買うのにも国にお伺いを立てる必要がある」と揶揄される通り、歳出入が国に厳しく管理されるのだ。
財政破綻の危機に喘ぐ地方自治体は夕張市だけではない。国の補助金、地方交付税に依存したまま、無駄な箱物を造り続けて借金まみれになっている地方自治体は多数存在する。
大阪府、東京都、神奈川県、愛知県など大都市圏の自治体すら、97年に相次いで財政危機を宣言した。自治体財政の公債費負担比率は、90年度半ば以降一貫して上昇を続け、都道府県レベルの平均は2000年度に19・2%まで上昇した。47都道府県のうち19の都道府県が、危険水準の20%を超える借金を抱えている。
ほとんどの自治体にとって、夕張市の窮状は「明日はわが身」なのだ。
三位一体改革は地方切り捨て
戦後日本を支配してきた自民党政権は、中央から地方へ税金をばら撒く利権分配型の政治を行った。箱物、公共事業に依存した土建国家日本の矛盾は、自民党支配と一体のものだ。
例えば、03年度に島根県民が享受した地方交付税や国庫支出金は、県民が収めた国税の2・9倍にも達する。同県出身の竹下登元首相は、バブル経済の最中に全国の市町村に一律1億円の交付税を振舞って批判されたが、地元では莫大な補助金・交付金をもたらした英雄だ。
こうした旧来の自民党支配を破壊すると豪語した小泉政権は、「地方に出来る事は地方に、民間に出来る事は民間に」とする三位一体の改革を掲げた。三位一体とは、国庫補助負担金や地方交付税を廃止・縮減すると共に、地方自治体に税財源の移譲を行うことだ。小泉・竹中の「骨太の方針」に基づき04〜06年度、国庫補助負担金は約4・7兆円、地方交付税は約5・1兆円削減された。
しかし、これに伴う税源移譲は約3兆円しか実施されず、地方自治体の財政事情は急速に悪化した。これまで自民党の「票田」だった地方の農村部は、「構造改革」の足かせだと見なされている。政府・自民党は、「自助努力」を盾にして地方切り捨てを開始したのだ。
それを端的に示しているのが、昨年12月に当時の竹中総務相が設置した「地方分権21世紀ビジョン懇談会」だ。ここでは、会社更生法の自治体版とも言える地方自治体破綻法制が議論された。
検討されている「再生型破綻法制」では、「自由と責任」をスローガンに、地方自治体が自由に起債できるようにする一方で、財政破綻しても国の後ろ盾を無くす方針がとられている。
これまでは、自治体の債務の支払いについては国が責任を負っていた。それゆえ金融機関は、借金まみれの自治体にも融資可能だった。新たな破綻法が制定されれば、すべて自己責任で始末される。自治体が財政破綻すれば、首長の責任が問われると共に、金融機関は債権放棄を求められるのだ。
こんな内容の破綻法が実施されたら、途端に地方債の利率は急上昇し、公債費負担比率の高い自治体はデフォルトに陥る。その結果地元住民にどれほど大きな負担がのしかかろうと、政府は「自己責任」の一言で切り捨てるつもりなのだ。
一方で、不良債権を抱えた金融機関の救済のために、総額で12・4兆円もの税金(公的資金)が投入された。国民の血税によって支えられた銀行は、ゼロ金利や法人税免除の恩恵を受けて過去最高の利益を出し、政治献金を復活する話まで出ている。
国民の生活基盤である自治体は切り捨て、銀行は救済しているのだ。こんな矛盾した政策は間違っている。郷土を破壊するのが安倍の「愛国心」の中味なのだ。
http://www.bund.org/editorial/20061205-1.htm
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