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憲法と平和に関して、2006年に起こった一番大きな変化は、間違いなく9月の安倍総理大臣の誕生だろう。小泉前総理もタカ派だったが、安倍総理は輪をかけてタカ派だ。その安倍総理は就任後、さっそく日本の軍事大国化への道を歩み始めた。まずは、教育基本法案を臨時国会の会期中に、強引に成立させる予定だ。
そもそも臨時国会は、安倍総理のお披露目興業のようなもので、本格的な審議を行う時間的な余裕がもともとなかった。しかも、いじめ問題やタウン・ミーティングでのやらせ質問などが審議の過程で大きな議論となったために、教育基本法の一番の問題点である「愛国心」についての議論がほとんどなされないままになってしまったのだ。もちろん、そうした問題は極めて重要な問題で、審議は必要だったのだが、教育基本法が学校教育の基本を定めるものなのだから、十分時間をかけて、国民のコンセンサスを形成すべきだった。
安倍総理が急いだのはなぜか。それは、教育基本法が憲法改正の前段に位置付けられているからだ。現行憲法でも教育基本法がその前に作られているのだ。
もちろん、憲法改定に向けて、幼少時から思想教育を強めたいという思いはあっただろう。しかし、安倍総理の狙いは、あくまでも憲法改定だ。今年は教育基本法改定で、憲法改定に向けての第一歩を踏み出したことになるのだ。
もう一つの、法律面での大きな変化は、防衛庁の防衛省への「昇格」だ。この法案については、民主党までが賛成をした。庁が省になると、法案の提出権や閣議の招集権が与えられるというのはよく知られているが、外局から省に昇格するということは、あらゆる意味で独立性を確保するということにつながるのだ。
防衛庁というのは内閣府の外局で、総理大臣の管理下に置かれる。私も総理府の外局だった経済企画庁に勤務したことがあるのだが、例えば海外出張ひとつするのにも、長官ではなく、総理大臣の許可印が必要だった。外局というのはそういうものなのだ。
それでは防衛庁を独立性のある防衛省に昇格させると、何が起こるのか。すぐに何が起こるというわけではないが、総理大臣の管理から脱却するので、発言力は強くなり。暴走の可能性も高まると考えるべきだろう。それは、日本の軍国主義化への大きなステップになる。
就任時に70%以上を誇った安倍内閣の支持率はすでに50%を切るところまで下落してきている。郵政造反議員の復党問題や国民への説明があいまいで分かりにくいことが原因とされている。安倍総理はリーダーシップが弱いと批判されることもしばしばだが、こと憲法改定に向けての動きでは、短い臨時国会のなかで教育基本法、防衛庁の防衛省への昇格法案と、2つも大きな法案を通した。安倍総理の関心は、おそらく自分と憲法改定だけに集中している。そして興味のあることに関しては、きっちり仕事をしているのだ。
安倍総理は、5年以内に憲法改定を目指すと明言している。しかし、このスピードを見ると、憲法改定までの期間は、5年もかからないかもしれない。
http://www.magazine9.jp/morinaga/index.html
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