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http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/wadai/news/20061208k0000m040097000c.html
旧ソ連のシベリアなどに戦後抑留され強制労働させられた旧日本兵たちが求めていた未払い賃金は、補償されないことがほぼ確実になった。7日の衆院総務委員会で、抑留期間に応じ特別給付金を支給するとした野党3党提出の法案が否決されたためだ。「国のために戦ったのに、見捨てられたまま死んでいくのか」。抑留経験者らからは落胆の声が上がった。
民主、共産、社民の野党案は、1人当たり30万〜200万円を支給する内容だった。一方、補償はせず、10万円の旅行券の支給を想定した慰労品贈呈の与党案は、この日の委員会で可決され、今国会で成立する公算が大きくなった。
傍聴席には関東各地から約30人が詰めかけた。東京都板橋区の野口富久三さん(83)は抑留中に病気になり、46年にソ連支配下の朝鮮北部に送られた経験を持つだけに「国に何度も捨てられた」との強い思いがある。「むなしい。国になおざなりにされていいのか」と唇をかんだ。
抑留経験者らでつくる全国抑留者補償協議会(全抑協)会長で宇都宮市の寺内良雄さん(82)は「ただ金がほしいのではないが、賃金が未払いのままでは『奴隷』と同じ。このままあの世に旅立ちたくない」と今後も運動を続ける意向だという。
抑留経験者への補償は56年の日ソ共同宣言でソ連への請求権が放棄されたうえ、ソ連側から労働証明書が発行されないため、日本政府からも補償されなかった。
全抑協などは、70年代から運動を開始。80年代以降、国への補償金支払いを求め東京地裁などに相次いで訴訟を起こしたが、いずれも敗訴が確定。このため、特別立法での補償を求める運動を続けてきた。
日本政府は補償問題は解決済みとの立場。88年に「平和祈念事業特別基金」を作り、記念碑建立や遺骨収集を中心とする慰謝事業を続けるとともに、慰労名目で10万円相当の国債や銀杯を抑留経験者に支給してきた。
しかし、基金が官僚の天下り先になっているとの批判から、自民・公明の与党両党が基金を廃止する法案を昨年提出。与党は、法案成立を前提に取り崩した基金の出資金400億円の約半額を原資として、抑留者に10万円相当の旅行券を支給することで合意していた。【青島顕】
▽シベリア抑留 第二次大戦後、中国東北部や朝鮮北部などに駐留した旧日本兵ら約60万人が、旧ソ連によってシベリアを中心とする旧ソ連各地やモンゴルに連行された。最長11年も森林伐採や鉄道・道路建設の強制労働をさせられ、1割に当たる約6万人が死亡したとみられる。南方で連合国の捕虜となった旧軍人には日本政府から労賃相当額が支払われたが、シベリア抑留の補償は実現していない。抑留経験者は帰国後も就職差別などに苦しんだ。現在の生存者は10万人未満と推定される。
毎日新聞 2006年12月7日 21時07分 (最終更新時間 12月8日 0時10分)
http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/wadai/news/images/20061208k0000m040130000p_size6.jpg
衆院総務委を傍聴するシベリア抑留者ら=国会内で7日午前11時5分、藤井太郎写す
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