★阿修羅♪ > 政治・選挙・NHK27 > 943.html ★阿修羅♪ |
Tweet |
http://www.nikkeibp.co.jp/style/biz/feature/tachibana/media/061026_ichizoku/index1.html
最近、安倍首相の総理大臣としての適格性を疑わせるような記事が、たてつづけに週刊誌で報じられている。
一つは、このところ「週刊現代」が3週間にわたって追及している北朝鮮との秘密外交の問題である。
つづけさまに次の3本の記事が出た。
10月21日号「安倍晋三は拉致問題を食い物にしている」
10月28日号「安倍晋三首相が密約した『北朝鮮ロビイストに5000万ドル』」
11月4日号(「安倍晋三外交顧問『朴在斗』の正体」)
要するに安倍首相が、小泉内閣の官房副長官時代から幹事長時代にかけて、拉致問題の解決で功を焦ったのか、韓国人の「希代の詐欺師」にマンマと欺されていたという話である。
詐欺話の演出者を“先生”とあがめる
蓮池さんら、4人の拉致被害者は帰ってきたが、その後の展開が開けないで困っていたところ、安倍が小泉首相(当時)の親書を持って訪朝すれば、北朝鮮の中枢的指導者と会談できる上、蓮池薫さんの2人の子供、地村保志さんの3人の子供、曽我ひとみさんの夫ジェンキンスさんと2人の子供の計8人を日本に連れて帰ることができるようにしてやるという話が北朝鮮側から伝わってきた。
これはその後ほとんどその通り実現するのだから、半分以上ほんとの話だった。
ところが、秘密交渉の過程で安倍が頼りにした男が詐欺師だったため、話はどんどんおかしくなり、安倍は北朝鮮側の信用を失い、8人を連れて帰るという華々しい成功をおさめるチャンスを失ってしまう。それどころか、詐欺師に乗せられて、仲立ちの北朝鮮ロビイストに5000万ドルを渡す寸前のところまでいっていたというのだ。
http://www.nikkeibp.co.jp/style/biz/feature/tachibana/media/061026_ichizoku/index1.html
驚くのは、この詐欺話の演出者である「希代の詐欺師朴在斗=パクジェドゥ」を安倍が「朴先生、朴先生」とあがめ、「安倍晋三外交顧問」の名刺まで作らせ、北朝鮮側の人物と秘密会談を持つときには、その場に立ち合わせたばかりか、通訳までさせていたというのだ。
実在しない朴在斗の肩書き
この詐欺師、「自分は長年金泳三(キムヨンサム)元大統領の秘書をつとめてきたといい、90年代の後半、日本に来るにあたっては、「朝鮮日報」に頼んで東京特派員にしてもらっていたというふれこみになっていた。
安倍首相はこの人物に全幅の信頼を置いて朝鮮半島問題は何でも相談していた。そして、飯塚洋政策秘書を3回にわたって北京に送り、その地で秘密外交をつづけたときも、その通訳兼折衝役として朴をいっしょに行かせたという。
ところが、この朴在斗なる人物について、「週刊現代」編集部が、ソウルの金泳三事務所に問い合わせたところ
「そのような人物が金泳三元大統領のもとにいたことは、1度たりともありません」
と、怒りに満ちた返答が返ってきたという。
また、朝鮮日報の東京支局も、ソウル本社も、そのような人物が朝鮮日報に所属していたことは1度たりともないと、明確に否定している。
要するに、朴は完全な詐欺師なのである。
「週刊現代」には、朴に2億円欺し取られた横浜の不動産業者の話、700万円欺し取られた広告代理店業者の話が出てくるが、それらの事件では、朴は、韓国大使館を詐欺の舞台としてうまく利用している。被害者はその舞台装置に欺されて、怪しげな儲け話にうまうまと誘い込まれている。
http://www.nikkeibp.co.jp/style/biz/feature/tachibana/media/061026_ichizoku/index2.html
朴在斗と安倍首相の深い関係
朴がなぜ韓国大使館をそのような詐欺の舞台に利用できたのかというと、朴が安倍との深い関係を利用して得たさまざまな情報を韓国大使館に持ちこんで信用させていたからだという。
情報だけではない。詐欺の被害者を欺す席に、安倍の政策秘書を同席させたりもしている。
安倍の政策秘書が同席した上、安倍の外交顧問という名刺を持つ男が、この話は、韓国政府の後ろだてがあるから間違いなく儲かる話だ、などと切り出すのだから、たいていの人は欺されてしまうわけだ。
そこまでいっては、安倍首相が詐欺の片棒をかついでいたといわれても、いたしかたあるまい。
「週刊現代」によると、安倍首相の政策秘書が責任を取る形になって、すでに辞表を提出しているという。
これら一連の話の中で、安倍首相が積極的に人をだますことに荷担したというわけではない。安倍首相もまた被害者といえば被害者なのだろうが、読めば読むほどあきれるのは、安倍首相のワキの甘さである。
安倍首相自身が、詐欺師にこんなに簡単に欺された上、その詐欺師との深い関係が人を欺す材料にこんなに簡単に使われ、それをすこしも知らないでいるような男に、日本の国をまかせてしまってよいのだろうか。
日本の外交のかじ取りをこんなに欺されやすい男の手にゆだねていいのだろうか。
http://www.nikkeibp.co.jp/style/biz/feature/tachibana/media/061026_ichizoku/index3.html
神がかりなパワーで北朝鮮問題を占う
この詐欺話よりもっとあきれるのが、週刊朝日11月3日号の、「新興宗教慧光塾と安倍家のただならぬ関係」という記事である。
この「慧光塾(えこうじゅく)」というのは、経営コンサルタントを名乗っているものの、そのやっていることは、怪しげな「パワー」を売りものにする新興宗教といってよいような奇怪な組織である。
「同塾では、代表の光永氏の手のひらから顧客にパワーを送り、そのエネルギーで病から快復させたり、活力を生じさせたりする『エネルギー付け』、対象に手をかざすだけで善しあしを見極めて、『この取引はよい』などと判断する『読み取り』、会員企業の社屋などに大量の塩をまき、悪縁を断ち切らせるという『お清め』など、新興宗教まがいの不可思議な経営指導」
をして高額の謝礼を受け取る組織なのである。
以上のような説明を聞いただけで、普通の頭をしている人なら、「ナンジャそれは」と首をかしげるだろう。そのような怪しげな商売をしている連中に近づくことを避けようとするだろう。しかし安倍首相は、全くそうではなく、ホテルニューオータニで2002年11月に開かれたこの経営塾代表の誕生パーティーに出てきて、こんな挨拶をしている。
「私は毎年光永さんの誕生会にお邪魔させていただいております。父の代からの長い長い付き合いでございます」
その上、自分の成功も
「本当に光永さんのご指導のおかげだなと感謝しているところでございます」
とお礼を述べている。それだけではなく、ちょうどその頃、北朝鮮の問題で、北朝鮮との交渉が平壌で進行中であったが、
「ぜひ光永さんのパワーをですね、今、北朝鮮と交渉中の大使に送っていただいて、このパワーで北朝鮮を負かしていただきたい」
などと語っている。
http://www.nikkeibp.co.jp/style/biz/feature/tachibana/media/061026_ichizoku/index4.html
新興宗教に入れ込む安倍一族
こんな話を聞くと、わたしなどは、この人大丈夫かねと思ってしまうが、安倍首相は大真面目なのである。
なにしろ、この会には、安倍家のゴッド・マザーである安倍洋子(岸信介の娘)さんまで出てきて、
「先生とのお付き合いも随分長くなるわけでございますけれども、亡くなった主人も大変お世話になりました。今、息子の晋三もいろいろご指導いただいておりますけれども、今後とも、健康のためにもまた政治の道でも道を誤ることのないようよろしくお願いします」
などと挨拶をしたりしている。安倍家は親子2代にわたって、この新興宗教まがいの怪しげなパワーの持主にドップリつかってしまっているのである。
安倍家は光永家と家族ぐるみの付き合いをしていて、昨年4月、光永氏の長男が結婚した際には、安倍晋三夫妻が媒酌人をつとめたりしている。
イワシの頭も信心からだから、安倍首相がこのような怪しげな「パワー」の持主を信じきってしまっていても、そのこと自体を非難するにはあたらないのかもしれない。しかし、そのパワーの持主が怪しげな金儲け話をあちこちにふりまき、その儲け話に乗せられた人たちが、次々大損をさせられた上、自分の会社を倒産させられてしまうような悲劇がつづいているとなったら話は別だ。
http://www.nikkeibp.co.jp/style/biz/feature/tachibana/media/061026_ichizoku/index5.html
スマートな外見とは似ても似つかぬ内面世界
この「週刊朝日」の記事は、奇々怪々な話の連続で、安倍家の住む世界は、ほとんど魑魅魍魎(チミモウリョウ)の住む世界と見えてくる。
もともと政治の世界がチミモウリョウ世界なのか、それとも、安倍家がきわだってそのような側面を持つ家系なのか(そういえば、祖父の岸信介は「妖怪」とまで呼ばれていた)解しかねるが、そういう世界にそれだけコミットしている安倍晋三は、あのスマートな外見とは似ても似つかぬ怪しげな内面世界をあわせ持つ人物のようだ。
ちなみに「週刊現代」も「週刊朝日」も、これらの記事に書かれたことについて、安倍側に質問状を出しているが、安倍側からまともな返答が返ってこなかったと記している。
安倍首相はなべての問題について、自分に不利な事実が出てくると、逃げてばかりいたり、あるいはあいまいな答えしかしなかったりする性癖があるようだ。
そういう点から見ても、総理大臣としての適格性に欠けているといわざるをえない。
立花 隆
評論家・ジャーナリスト。1940年5月28日長崎生まれ。1964年東大仏文科卒業。同年、文藝春秋社入社。1966年文藝春秋社退社、東大哲学科入学。フリーライターとして活動開始。1995-1998年東大先端研客員教授。1996-1998年東大教養学部非常勤講師。2005年10月-2006年9月東大大学院総合文化研究科科学技術インタープリター養成プログラム特任教授。
著書は、「文明の逆説」「脳を鍛える」「宇宙からの帰還」「東大生はバカになったか」「脳死」「シベリア鎮魂歌—香月泰男の世界」「サル学の現在」「臨死体験」「田中角栄研究」「日本共産党研究」「思索紀行」ほか多数。近著に「滅びゆく国家」がある。講談社ノンフィクション賞、菊池寛賞、司馬遼太郎賞など受賞。
▲このページのTOPへ HOME > 政治・選挙・NHK27掲示板
フォローアップ: