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イーホームズ藤田社長のメッセージを解説してみる
2006/10/24(火) 23:45:44
きっこの日記に連日掲載される藤田氏のメッセージを読んで,主旨と心意気は誰にでも伝わると思いつつ,やや専門的なことも出てくるので,ちょっと生意気に解説してみようかな,という気になった。
よく知っている人には当たり前の話なので読み飛ばして欲しい。また,細かいことはすっ飛ばすので,中には例外もあるかもしれないが無視するので,あまりその辺はつっこまないで欲しい。
■■まず,イーホームズとは何なのかということ。
■藤田社長自らが言うとおり「国家の指定確認検査機関」なのだが,そもそも「確認検査」とは何か。
建物を建てるときには,「建築確認申請」というものを,従来は行政に提出していた。そして,行政がその申請を「確認」するのだ。
気を付けて欲しいのは,「許可」でも「届け」でもなく「確認」である。
どうしてかというと,「許可」だと,「許可」した内容に行政が責任をもたなければならない。しかし,合法である限り行政は責任は一切取らない。雨漏れしようが,床が傾こうが,違法がない限りは行政は一切無関係である。だから「許可」とは言わない。
かと言って「届け」は無条件に受理するだけで,設計内容には一切口出しできない。
結局,口は出すけど責任は取らない,と言う意味が「確認」という言葉になったわけだ。
この作業を,従来は行政がやっていた。しかし,自由化とか行政改革とか言って,この作業を民間会社に委託するようになった。
最近,駐車違反を民間会社が取り締まるようになったのと同じである。
それで,藤田氏は自らを「見なし公務員」とか「公僕」と言っているわけだ。
■さらに,イーホームズは藤田氏曰く「唯一の独立系検査機関」であったらしい。つまり,ほとんどの「民間」検査機関は,天下り組織か,大手住宅メーカー等が出資する会社だということ。
私の知る限りでも,そのように見受けられる。
今度の耐震偽装事件でも,何故かほとんとお咎め無しだった日本ERIも,大手出資の会社である。こちらのホームページを見ると,ミサワホーム,大和ハウス,パナホーム,三井ホーム,積水化学工業(ハイム)などが並んでいる。
他の検査機関も,ここを見ると並んでいるが,分かる限りではいかにも天下りの財団法人か,ゼネコン,電力,ガス,などの大手出資の会社。
ちなみに,私はどちらもイヤなのでフランスの外資系の会社をよく使う。まあ,気持ちだけの問題だけれど。
それはともかく,大手や天下りのパイプが弱かったイーホームズという姿はよく分かる。
■■次に,耐震偽装の核心であった「構造計算」とは何か
■大きな流れは,だいたいこうなる
1. 建物の形,大きさ,重さから,地震の時と台風の時に,どの部分にどのくらいの力が掛かるのか計算する。
2. 掛かる力には万が一を考えて安全率を1.5〜2倍かける
3. 設計されている建物の各部分が,どのくらいの力に耐えられるのか計算する
4. 掛かる力(安全率みたもの)と耐えられる力を比較して,耐えられる方が大きければOK
いわゆる,「1.0を下回る」とか言われるのがこれ。耐えられる力を掛かる力で割ったとき,1.0より大きければOKということ。
■構造計算書は膨大な量になる
ちょっとしたマンションならば,軽く本一冊分くらいの書類にびっしりと計算式が書いてある。正直,私も木造が専門なのでちんぷんかんぷんだ。
これを,検査機関がするのだが,この費用はどうなっているか。
たとえば,ファミリータイプが50戸程度のマンションならば,検査費用は20万円くらい。そのうち構造が半分として,10万程度。半分が担当者の給料とすると5万円。ということは,だいたい2日で検査してしまわなければならない,ということ。
同じソフトに入れ直すようなことならばできるだろうけれども,ソフトが正しいかどうか検算するようなことは,2日ではとっても無理だと思う。
結局,計算の手順が正しいかどうかを見る程度で,計算の中身まで見ていたら,検査会社は倒産する。
■そこで登場するのが「図書省略制度」だ。
藤田氏のメッセージの中で,重要な位置を占める。
この図書省略制度とは,国交大臣認定の構造計算プログラムを使えば,確認申請に構造計算書を付けなくていいですよ。という制度。
だから,この制度を使っていると,構造計算の検査はもちろんできない。することは,大臣認定のプログラムを使っていたかどうかの確認だけだ。藤田氏のメッセージの中で,佐藤信秋事務次官(当時)が「図書省略制度においてヘッダーの印字を見落とした単純なミス」と言ったというのは,このことである。
しかしこの物件は,図書省略制度を適用していなかったので,この事務次官の発言はデタラメだと,藤田氏は言っているわけ。
■図書省略制度の問題
で,この省略制度の前提になる,プログラムの大臣認定であるが,大臣が直接ソフトをいじって認定するわけではない。実際は,天下り団体=財団法人日本建築センターが性能評価をし,それに基づいて大臣は認定をしている。
そして,今回のように,容易に偽装できるプログラムが,日本建築センターで評価され,大臣が認定していることを,藤田氏は糾弾している。
というか,もっと大きな枠組みで見ると,確認申請を民営化し,なおかつ確認検査会社が倒産しないために,強引にプログラム評価=図書省略という制度を作ったことを,糾弾しているというべきだろう。
本来手数料と税金で賄っていた確認検査行為を,手数料だけで賄うのだから,どこかで手抜きさせたあげないと倒産する。その手抜きが「プログラム認定」「図書省略制度」であったということだ。
■■財団法人日本建築センター
この偽装可能なプログラムを評価したのも日本建築センターであるが,さらに,この日本建築センターは自分で確認検査会社もやっている。
そして,あろうことか,自分でもイーホームズと同じように,偽装に気が付かずに確認をおろしていたのだ。
そのことを,藤田氏は以下のように書いている
日本建築センターの偽装を公表しないのですかと田中課長補佐に問い質したところ、「確かに、偽装はされていました。しかし、再計算を行なったところ、1.0を下回るどころか、1.0を大きくクリアしていたのです。だから、偽装はされていても、低減していないので公表しません」と言いました。
確かに,日本建築センターのウソばればれと言える。なぜなら,再計算で1.0を上回るのならば,偽造する必要がないからだ。
イーホームズやヒューザーは逮捕され消滅し,日本建築センターや日本ERIやアパグループはのうのうと生き残るのでは,まったくもって理不尽である。
■■200万棟以上の耐震偽装の可能性について
■じつは,もっとひどいというのが私の考え。
藤田氏のメッセージ中にある「新耐震基準」というのは,1981年5月以降である。それ以前の建物は,基準がだいたい7掛けだったから,いわゆる1.0で比較すると0.7程度の偽装並の強度しかないはずだ。
■現存する日本の住宅は5300万戸(総務省統計)。うち,新耐震基準のものは,およそ3000万戸。
以上から判断すると,2300万戸は偽装並の旧基準。3000戸の内,北側大臣が発見した偽装率15%を掛けると,450万戸に偽装の可能性あり。
すなわち,2750万戸,実に日本の住宅の半分以上が,偽装か偽装並。
これは,古い住宅の耐震診断をする経験からも,たぶん当たらずとも遠からずだろうという実感がある。
■星の数ほど不正があるならば,まず,時の権力者の近くから断罪すべし。
権力に近いものが甘い汁を吸って,末端の悪党だけが締め上げられるような,まるで時代劇のようなことが行われている。
同じ悪事を働いたならば,まず権力=安倍晋三に近いものから罰しなければならない。そうでなければ,腐敗が腐敗を呼ぶ,腐りきった世の中をもっと腐らせてしまう。
藤田氏が,いま,安晋会副会長のアパグループを断罪するのは,そういう意味であろうと思う。
馬淵議員は,今更・・・みたいな調子で,あまり追及の姿勢がないけれども,あらためて今,(補選も負けたことの挽回も含めて)がっちりと追及していただきたい。
■■専門用語など,耐震偽装について分かりにくいことは,どうぞコメント欄に質問を書いていただきたい。可能な限り,回答したいと思う。
一応これでも,建築家の端くれなので。
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