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http://www.tokyo-np.co.jp/00/sha/20061024/col_____sha_____003.shtml
これだけ疑念が指摘された法案も珍しい。共謀罪の創設に、日本弁護士連合会は数々の矛盾を指摘し、あらためて反対を唱えた。国民が納得できない以上、政府は白紙に戻して議論する覚悟がいる。
「テロを封じ込めることが大切。この法案は必要だ」と、安倍首相は国会で答弁したが、テロ対策の法案という認識自体が間違いだ。
共謀罪はあくまでマフィア・暴力団など組織犯罪集団に対する法案だ。国連が採択した国際組織犯罪防止条約の批准のために、政府が創設を急いでいる。
政府案は六百以上もの犯罪が対象で、社会全体に投網を打つような法だ。日本の刑法は法を犯す意思だけでは罪に問わず、「既遂」を原則としているから、まるで刑罰法規の“新体系”をつくるようなものだ。
日弁連が指摘する矛盾の一点は、これである。実は一九九九年の国連での条約起草段階で、日本政府自身が「わが国の法的原則と相いれない」と意見を述べていたのだ。
しかも、国内で「条約の一部を留保することはできない」とも政府は説明してきたが、米国は重要な条文に留保をつけて批准していたことが判明した。これも説明と矛盾する。
法務・外務の両省はいずれも反論したが、日弁連との間でさらなる論争が続いている。
また、先の国会終盤で、麻生外相が「民主党の対案では条約を批准できない」と発言したが、国連は各国の法審査をしていない。批准書の送付だけで締結手続きは可能だ。
日本には既に共謀・陰謀・予備という未遂前の段階で処罰できる法律が五十八ある。共犯処罰も広く行われている。国連が求める組織犯罪の未然防止が可能な法制度は、確立しているといえる。共謀罪のような“劇薬”をあえて飲む必要はない。現行法でも条約の批准が可能だと、日弁連は訴えているのである。
組織的な詐欺や人身売買の犯罪は、予備段階で処罰できないが、それぞれについて、新たな定めを設けるべく検討すれば済むはずだ。
米国や英国では反戦デモの処罰などに共謀罪が適用されているという。法ができれば捜査当局に都合よく運用される恐れがある。この点は十分に留意されねばならない。
主要八カ国では、日本だけが条約を締結していない。「国際社会への責務が果たせない」という政府の焦りは分かるが、日弁連が投げかけた問題には、納得のいく説明をすべきだ。国会審議の行方が注目を浴びている。法の要・不要の原点に立ち返って考えたほうがいい。
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