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http://blog.goo.ne.jp/hosakanobuto/e/e0577cfce0c3203d21c87f734ff792fc から転載。
共謀罪、隠してきた米国留保の謎が解け始めている
共謀罪 / 2006年10月22日
まもなく東西の衆議院補欠選挙の投票が終わり、大勢が判明すれぱ、与党に勢いがあれば、いよいよ「共謀罪第2ラウンド」がやってくるし、たとえ与党に辛い結果であっても、11月19日の沖縄県知事選挙をうかがいながら「共謀罪成立」のための作戦を立ててくることは間違いがない。しかし、ずいぶん国会をなめた話ではないか。政府提案の共謀罪に問題が多々あったことも自民・公明の議員たちは認めた。だからこそ、数度にわたる「修正案」を出しては引っ込め、強行採決を準備してまた書き直しては急停車し、「民主党案丸飲み」で宙返りに失敗してからは、第3次修正案なるものを通常国会が閉会する最後の委員会で朗読して、迷走を重ねたのだった。
夏の間、私は「海外の状況」に関心を抱き続けた。外務省の答弁姿勢が妙におどおどしていて、何を隠している人たち特有の逆オーラが漂っていたからである。人間というのは面白いもので、何気ない表情や仕種が「言外に語る」ということもある。法務省によれば、「言外の意思表示」も共謀罪成立後は「要件が整えば沈黙の共謀と言えなくもない」などと言われてしまうだろうから、この法律がいかにディープな心の中に忍び込んでくるかは、『共謀罪とは何か』(岩波ブックレット)に詳しく書いておいたからぜひ読んでほしい。
そして、案の定「アメリカ合衆国」が国際組織犯罪対策条約を批准時に留保していたという重大事実を隠蔽していたことが明らかになった。この事情については、以前何度か書いている(今年の9月13日・10月5日・10月12日など)から省略するが、衆議院法務委員会で外務省は重大な虚偽答弁を行っていたのではないかとの疑いが20日の私の質疑で問題となった。昨日、昼過ぎに開いた毎日新聞の朝刊が次のように書いている。
「米国が「一部の州には限定的な共謀罪しかない」として、国際組織犯罪防止条約の一部規定を留保(特定の規定を自国に適用しない意思表示)していた問題で、外務省が米国の留保方針を知りながら「米国では特に問題なく法整備が可能だった」と国会で答弁していたことが分かった。同省の説明では、昨年10月12日に在米大使館から米国の留保方針の情報を得た。しかし、9日後の衆院法務委員会で小野寺五典外務政務官(当時)は「米国は共謀罪の規定を既に有し、条約との関係では特に問題なく法整備が可能だったと承知している」と答弁した。
20日の同委員会で保坂展人議員(社民)がこの答弁を問題にし、「留保について何も言及しないのはいかがか」と質問。松島みどり外務政務官は「基本的に米国(連邦法)には共謀罪がある。留保は一部に過ぎない」と答えた。(『毎日新聞』10月21日朝刊)
さらに同委員会では、アメリカの州法の中で共謀罪の規定が限定的な州はたとえばどこなのかという問いに対して、「アラスカ・オハイオ・バーモンド」であると答えた。これらの3州には殺人などの重大な犯罪にかかる共謀罪はあるが、その他の犯罪の共謀罪がない。だが、連邦法が幅広く適用されるので、実際上は条約批准の留保で「例外扱い(州法で犯罪となっていないので、連邦法も適用されない行為)は「ほとんどない」との回答を得ていると外務省西審議官は答弁した。つまり、アメリカは留保はしたが、条約が求める「長期4年以上の犯罪」はすべて共謀罪の対象となり「例外はほとんどない」とのことだ。
この「ほとんど」がひっかかる。ないなら、ないと断言したらいい。しかし、「ない」と断言すると、連邦政府は州政府に法改正を指示しなくてもいいことになり、条約批准にあたって「留保」をかける必要はまったくない。いや、それでも念のために「留保」をかけたのであるという外務省の主張だが、それだけ根拠薄弱な留保が簡単になされるのなら、日本もきちんと留保を考えようじゃないか。ピストルやマシンガンが平気で販売されている国と、銃刀法などで所持罪(これも、使用以前の予備段階で厳罰化されている)国と一緒にするのも、おかしな話じゃないか。
「アラスカ・オハイオ・バーモンド」という3州を外務省はあげたが、3州だけとは限らない。アメリカの各州の刑法で「限定的な共謀罪」を持っているのはどこなのかを読者の方で御存知の方はぜひ知らせていただきたい。おそらくアメリカ政府の留保によって犯罪とならない行為(共謀)を具体的にあげることが出来たら、日本政府が例外なく619種類の共謀罪を作ろうとしている正当性が問われることになる可能性がある。松島みどり外務大臣政務官は6月まで法務委員だった自民党の政治家だが、ジャーナリスト出身。「ほとんどないの例外的な事例が何に当たるのか調べて委員会に報告します」と答弁した。
こんな議論も「ええい、面倒だ。やればやるほど難しくなるから採決だ」と与党がなだれ込むとしたら、共謀罪というのは国際組織犯罪対策条約を悪用して国民を縛るために早く創設したい治安立法だという本質が明らかになってしまう。法務委員会の与党理事は、立派な見識と理性に溢れている人たちなので、ここは与野党問わずに法務省・外務省が議員に説明してきたことに嘘や、情報操作がなかったのかも含めて、検証していただきたい。
アメリカについて今日は書いたが、毎日、日替わりで色々な国の事例を書き続けるだけのデータは入手した。120カ国以上が批准したこの条約で国内法制化した国はノルウェーしかないということに注目してもらいたい。(私の質問主意書に対しての答弁書) 国際組織犯罪対策条約にグローバルスタンダートで歩調をあわせるのであれば、共謀罪創設は必要なく、既存の法律の一部改正などの手直しで十分だ。「民主党案じゃ批准できなない」(麻生外務大臣)という無知をさらけだしたのか、外務官僚の悪質なふりつけに乗ったのか、「越境性を犯罪成立要件」とした国まで存在していることを見ても分かる通り、批准は簡単に出来る。他の国は、「国連立法ガイド」に従って、自国の法体制を大事にしながらやっとるぞ。
皆さんからの指摘、提案もぜひいただきたい。
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